第16話 親友の相方
気が付くと雷次はまた、コンプリート・Jの病室のベッドに寝ていた。あれだけの怪我を負っていたにも関わらず、体の方は完治していた。完全に回復している雷次は、する事が無いのでベッドから起き上がりストレッチをしていると病室のドアを「コンコン」と誰かがノックをしてきた。
「入っても良いかな?」
雷次は「どうぞ。」と言い中に招いた。
何と入って来たのは、コスモスタッフとして雷次と組んで作業にあたっていた相方だ。
相方の名前は「宇野 宙治(うの ちゅうじ)」という雷次の親友である。
宙治は小学校の時からの幼馴染で、気心の知れた何でも話せる奴だ。背は175㎝くらいで髪は短髪、目が大きく愛嬌がある顔立ちだ。性格はおっちょこちょいだが、やる時はやる男である。
宙治
「らっ雷次ー!すまーん! 本当にすまなかった。」
と言うと、いきなり「土下座」をして来たのだ。
まぁ言うまでもないだろう。宇宙作業中に機械の操作ミスにより雷次を押しつぶしてしまった張本人だ。
宙治
「俺の言い訳を聞いてくれ。」
「マシンを操縦している時に宇宙船の隙間から、太陽の光が入って来てくしゃみが三連発出たのだけど、それと同時に鼻水も出てしまったんだ。そこ宇宙空間じゃん、鼻水が「びよ~ん」て浮きながら伸びたと思ったら、俺の顔の方に来たからそれを全力で避けようと体をひねったら、肘がパネルスイッチにぶつかってしまい・・・
それで、お前を潰してしまったという事なんだ。 本当にゴメン。」
雷次
「なっ何ー! 俺はお前の鼻水を避ける為に潰され、生死をさ迷っていたと言うのかぁー!」
宙治
「だからこうやってお詫びに来たんじゃないか。本当にごめんよー。」
雷次
「お前な、すまんの一言で済む問題じゃ無いぞ。下手したら死んでいたところだ。」
「それを、『ゴメン』だの『すまん』だので許してもらえると・・・」
宙治は雷次がしゃべっている最中に何かを手渡した。
宙治
「これで許してくれ。」
雷次
「何だこれは。俺は死ぬ所だったのに、こんな物持って来たって許す訳無い・・・。」
「こっこれはー。あの超有名な予約が一年先なってしまうという『東京浅草名物 皇室お墨付きの限定和菓子 雷神様の雷おこし』ではないですかぁー!」
「ハアハアハア・・・。まぁまぁまぁ、人間誰でも間違いはあると思うし事故の原因も生理的現象が原因では仕方の無い事だ。次からは気を付けてくれよな。」
宙治
「良かったー。お前ならそうに言ってくれると思っていたよ。これからも宜しくなー。」
というやり取りで、宙治は何とか信頼関係を取り戻したのだ。雷次が「雷おこし」が何よりも大好物である事は、宙治の頭の中に昔からインプットされていた。
と、そこに・・・
「ちょっと邪魔をしますよ。」
と見知らぬ男性が入って来た。
その男性は年にすると50代後半から60代半ばといったところか、髪には白髪も混ざり髭にも白い物が混ざっていた。しかし、見るからにダンディーな感じで懐が深そうな印象を受けた。すると・・・。
「失礼、私はこういう者である。」
といきなり名刺を渡された。
そこには「サイエンス・フュージョン・コーポレーション」と書いてあった。
▽おーっと、私達の出番もここまでだな。もう余計な説明もいらんだろう。ここからは継続して読んでいってもらうのが一番だからな。
◆そうね。この私達の茶番的なやり取りも必要ないわね。でも、少しづつだけど、面白くなって来てるわよね。登場人物も少しづつ増えて来て良い感じじゃない?どう思う?
▼そうやな。まぁまぁじゃないか。これからこのあんちゃんが友達と一緒にデカい事してやな、ボスと戦い地球を救ってハッピーエンドって感じのストーリーが展開する様な気がするんや。これ、そろそろ終盤やろ?
◆やっぱ、あんたアホね。
▽では、この辺で失礼するとしますか。二人共帰りますよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます