第15話 フラッシュバック
【気の弱い友人が、いじめられている所に遭遇した。彼はこちらを見て「助けてくれ」と訴えている様だ。しかし、僕はそれが出来ない。だって、そんな事をしたら次は自分がいじめの対象になってしまうからだ。でも、本当は助けてあげたい。何故なら、いじめはどう考えてもダメな事であり許せない事であるからだ。
それに、僕の中の正義感が「助けに入れ」と僕自身に訴え掛けて来る。もう一人の正しい自分との葛藤が始まる。いくら考えても答えが出ない。いじめを目の当たりにしているのに答えが出せないでいる。
しかし、僕は負けた。完敗だ。正義感に負けたのだ。
僕は気が付くと、いじめをしている奴らの前に立っていた。そして、どういう分けか心にも思っていない言葉が出た。
「弱い物いじめをする奴等は僕が許さないぞ!」
僕は何を言っているのだろう?自分でも分かっていないのだ。しかし、言ってしまった以上引っ込みがつかなかった。もちろん、いじめっ子達の矛先は生意気な僕へと向けられた。そして、その後は話したくも無い結果だ。
友人の助けに入ったが友人は逃げてしまったのか姿は無かった。全身アザだらけの僕はヨロヨロと壁づたいに歩きながら家路へと向かった。フラフラしながら角を曲がると人影がある事に気付いた。さっきの連中かと思ったが、いじめられていた友人であった。助けに入り身代わりになってしまった僕に何か言いたいのだろう、黙ったまま下を向いている。
僕は早く家に帰りたかったので端的に聞いた。
「サトシ大丈夫かい? 怪我は無いか? 僕は家に帰るから、君も気を付けて帰りなよ。」と言って別れようとした。
すると、彼が口を開いた。
「ゴメン、本当にゴメン。怖かったんだ。怖くて怖くてどうしようも無かったんだ。」「雷次が助けに来てくれた時、もの凄くうれしかった。でも、怖いという気持ちの方が勝ってしまい、気が付いたらあの場所から逃げていた。」
「僕は卑怯な人間だ。自分の行動を悔やむよ。僕を殴ってくれ。」
僕はサトシに聞いた。
「逃げてしまった今の気持ちは、どんな気持ちなの?」と。
するとサトシは答えた。
「こんな情けない気持ちになるのなら逃げない方が良かった。次は逃げない。約束する。だから許してくれ。」
その言葉を聞いて僕は安心した。そして、僕はこう返した。
「僕も怖かった。足も震えていた。でも困っている人がいたら見捨てられない。何故だか分からないのだけど、多分自分のしている事が正しい事だからだと思う。」
「たまには、頭で考えるよりも心に決めてもらう事もスッキリして良いかもね。」
そして、僕は家路を急いだ。
サトシは泣いていた。後ろを振り返らなくても泣いている事が解かった。
そして、もう一つ解かった事がある。彼はもう逃げないだろう。】
そして、雷次は遠く幼い頃の記憶から目覚め現実が目の前に入って来た。
雷次
「弱い自分ではダメだ。強く諦めない気持と、相手を打ち負かす頭脳が必要だ。」
「どうする。どうする。光 雷次。良く考えろ!」
脳ミソをフル回転させて考えた。
「水道の水・・・地面が濡れている・・・敵は直ぐそこにいる・・・やれるのか。」
動く手に意識を集中させ力を込め全身の細胞から電気エネルギーを集め出した。
すると、手の中に練習の時とは違う色の電気の塊が集まり一つの球になった。その色は、薄い紫色を帯びていて「バチバチ」と激しく音を立てていた。
この感触は「変電所」で雷次が浴びた6000Vの電圧と同じ様な気がした。
その電気の球を濡れた地面に力いっぱい押し付けた。
「ぬおおおおお-! はじけろー!」
掛け声と同時に電気の球は勢い良くはじけて、濡れている地面を電流が電光石火の如く走り、蛇口から出ている噴水の様になっている水にも伝わって行き、上と下から高電圧を帯びた電流いや、「電竜」となり辺り一帯を覆った。
「バリバリバリ ドドーン ゴロゴロゴロ・・・」
その電竜を上と下からまともに食らった怪物は悲鳴すら出せないうちに炎が一瞬にして消え去りその場に倒れた。
倒れた怪物からは煙が立ち上っていた。
雷次
「やった。やっつけた。」
「よっしゃー! どんなもんだい。俺様をなめるなよ。」
雷次は横に倒れながらガッツポーズをしている。端から見ればどちらも倒れているので「相打ち」にしか見えないが・・・。
しかし、少しすると体から煙が出ている怪物が動き出している。死んではいないのだ。雷次は焦った。さっきの超電スパークで体に溜めてあった電気を全て使い果たしたのだ。
「ヤバイ、もう攻撃すら出来る状態では無いぞ。体も動きやしない。」
そして、怪物は立ち上がりこちらを見てゆっくりと近づいてくる。怪物もフラフラだが、人一人殺すくらいの力は残っていそうだ。
雷次の頭を、またもや「死亡」の二文字がよぎった。
その時、騒動を聞きつけた「警ら隊」が公園まで戻って来たのだ。
「ザッザッザッザッザッ・・」
それに気付いた怪物は咄嗟に姿を消し、何処かへ逃げて行ってしまった。
安心した雷次は、そのまま気絶してしまった。
▽なるほど、初のバトルだな。これで例の映画との違いが分かっただろう。パクリでは無いという事だ。そもそも、小説や漫画には何処かで少しづつ内容が似てしまう事もあるものだし、しょうがない事だと思う。何故ならば、それが面白い内容に繋がって行くからだ。
▼まぁーな。兄貴のいう事も分かるで。面白くないと誰も読まんからな。そもそもこの小説、誰か読んどるんかいな? 出だしが昔風やから、中々取っ付き難いでこれ。
◆そうね、その為にも私達が盛り上げて行かないとダメな分けよ。この小説の良さをどんどんアピールして宣伝しないと。作者にも言ってあげてよ、私達に「プレゼン」の場を提供しなさいよって。
▼▽ははははは、それは無理やな。ですね。
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