第6話 地球外生命体:リセ
相変わらず地球からの水分の持ち出しは厳重に管理されていた。また、他の惑星からの水分調達も地球環境を脅かす生命体の繁殖の切っ掛けになっては本末転倒である為、固く禁止されており地球内に運搬出来るのは無機物のみとされていた。
地球以外の水分を持つ惑星として「ジュピター【木星】の衛星(エウロパ)や、サターン【土星】の衛星(エンセラダス)やプルート【冥王星】」等が液体の水分を持つ惑星として確認はされているが、地球からの距離が遠過ぎてテレポーション機能を使っても行く事すら不可能であるのだ。
そして、無機物だけだと思っていた鉱物の中には稀に有機物も混在している事もあった。その中には、何と「生命体」の確認もあったのだ。しかし、生命体の情報は一部の人間にしか伝えられずに極秘にされていた。その生命体は多細胞生物ではあったが、地球上では害のない生物であり危険度は1~5の中の1に位置付けられ、ほぼ危険は無いと判断されている。そして、国の「重要機密事項」として扱われ研究が進められていた。
すると、研究結果から人間や動植物の様に、地球に存在する生命体の遺伝子とかなり類似していて「地球の生命誕生の源」ではないかと、ほのめかす研究員も数名いた。
だが、その生命体の遺伝子には数か所納得のいかない部分がある。その遺伝子は何と日々形が変化しているのだ。全体的な遺伝子の配列はそのままの形を維持しているのに対し、一部の遺伝子は毎日の様に少し変化が見られる。それが、何を意味しどの様な事に繋がって行くのすら解明が出来ないでいた。
遺伝子の変化の意味は依然として謎であったが、最新の研究でこの生命体は人類にとってかなり有効的な性質を備えている事も分かって来た。この生命体の細胞と人類の細胞は融合率が非常に良く「医療分野」で利用出来る望みが高くなってきたのだ。
医療分野で有効となれば人類にとってもかなりの恩恵がある。しかも、上手く行けば莫大な「金」を生み出す事も期待できるとなれば、国家を上げてのプロジェクトとする国も名乗りを上げた。
だが、人類に有効的な効果があるのであれば自国だけのものとせず「各国共有して使用し更なる研究を重ねて行きましょう。」という事になり、研究結果を周期的に発表する場所も提供される事になった。
そして、動物実験等を繰り返しついにこの細胞の能力を意図的に引出し、更に能力を劇的に向上させる事に成功した国が「我が国 日本」であるのだ。
この細胞は動物に投与する事で、傷の回復速度が人類の持っている治癒力の数十倍から数百倍もの速さを引出す事が出来る。また、その体がもともと持っている潜在能力も大きく引き出してくれる力も兼ね備えていた。
特に優れている所は、動物の細胞との融合性に富んでいる所で融合の仕方によっては、更に優れた能力も発揮するのではないかという研究結果も同時に発表されている。
しかし、分かっている事は体内にあるホルモン「ノルアドレナリン」という物質が分泌され、細胞がこのホルモンを吸収して身体に変化をもたらすという事だけであった。
また、治癒力はもちろんだが病気や怪我で損傷してしまった箇所を完治することが出来るのだ。例えば、病気で失明してしまった視力を元に戻したり、事故などで動かなくなってしまった手足や色々な機能の完全回復である。この細胞を利用すれば死者ですら蘇らせる事が可能になるのではと研究を進めたが、流石に一度失った生命は元に戻す事は出来なかった。
人類はこの細胞の事を Regeneration Cell (再生細胞)と呼び、頭文字の二つを取って「RESE」リセ と名付けた。
リセを使った治療は様々な分野で利用され、これにより通常の事を諦めていた人達に夢と希望をもたらした。そして、もう一つ分かって来た事があった。それは、日々変化を続けていた遺伝子の謎である。その謎は、リセ細胞が遺伝子を介し動物の脳と強く結びつく事である。これは逆の事も言えるのだ。つまり、脳から発せられた電気信号(情報)をリセが受け、遺伝子と細胞へと伝達するという事だ。
何も望まなければ何も変わらないのであるが、頭の中で思い描く夢の様な出来事をより細かくより繊細に考えイメージする事で身体が変化して行くのだ。
それは、単純に思えば「夢」でしか無い空想の「考え」であるのだが、夢が現実になったらどうなるだろう? 答えは簡単だ。
全員が喜びを感じる事だ。これ一択だ。
しかし、リセの能力が発揮されるのには条件がある。リセを投与され体が治癒されている間に「夢」を見る事が重要である。脳内で見る夢がイメージ化され電気信号となり、リセを介し遺伝子へ伝達。そして、遺伝子及び各細胞へと指令が行き渡る。
これが、リセの仕組みである。
リセが「凄い」のは誰しもが分かっている。だが、本当に凄いのはリセを介し指令された通りに新化する人や動物の中にある「細胞」なのではないだろうか。
▽ようやく少しずつだが「リセ」の事が紹介されて来たな。もっと早く出てくれば良かったと思うが、まぁ順番があるしな。
◆そうね、ここまで読んで来たけど何か昔の小説って感じで「説明文」を読んでいる様だわ。読者は多分退屈よね。 でも、この後リセを使った色々な事が起こりそうで期待したいわ。
▼いや、甘いな。この展開はやな、この長ったらしい説明がまだまだ続く様な気がするで。厄介な話やな。 でもな、それを我慢してやな読んで行った奴だけが、おいしい思いを体験出来るっちゅうオチがあるんや。
俺は気合で読むしかないと思っとる。
▽そうだな、もう少し読んで行く事にしようか?
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