第3話 地球以外の惑星からの掘削
話は宇宙から地球に変って・・・
人類の文明は発達を続けているが、地球上からの掘削つまり陸、山脈、高原といったほとんどの場所から資源となる物質を取りまくった結果、地球の土壌からは人類が必要とする まとまった資源が採取出来なくなってしまった。
このままでは物を作る事が出来ない、便利な生活が営めなくなると判断した人類は宇宙にある惑星や衛星に目を向けた。
先ずは、地球から一番近い衛星「ムーン」月をターゲットにした。地球からの距離は38万㎞と近い位置にある。月の環境は過酷であるが海が無い為、土壌の回収が容易であるのだ。
当初計画されていた案より、簡単に鉱物を掘削し回収する事が可能であった事から集中的な掘削が始まった。
更に月には「クレーター」という質量(隕石)が衝突して出来た凹みが無数有り、その中心には少量だがレアメタルが数多く存在している事も明らかとなった。
この事から、この広い宇宙には人類が手にした事の無いとんでもない「レア」な鉱物が無限大にあるのだと悟ったのである。
しかし、月は地球の1/4程度の質量しかない小さな衛星である為、鉱物の乱獲が懸念されるのも事実である。
数年の月日が経ち世界各国が月から鉱物を掘削回収した事により、月の形が変わってしまった。これ以上の月からの掘削は地球にも悪影響が及んでしまうと考える人々も少なくなかったが、人類は掘削を止めなかった。
それは、月がレアメタルの塊であったからだ。
するとある日突然、地球環境に変化が現れはじめた。それは潮の満ち引きである。この現象は月の引力によって起こる現象だが、月の形が変わった事により月の重力にも変化が現れ、潮の満ち引きが無くなり生態系にも深刻な問題が起き始めてしまったのだ。
月には水も大気も無いが、わずかだが引力はある。
地球の引力に比べて弱く、地球の1/6(100N)だという。軌道上のISS(国際宇宙ステーション)の中では、ほぼ重さは無くなってしまう様だ。この弱い引力の為、水分が定着せずに宇宙空間へと出て行ってしまうのであろうか。
もし月に地球と同じもしくは地球以上の重力があったのだとすると、地球と似たような「生命」が宿る水の惑星になっていた可能性はあったのであろうか? 噴火や地震も確認出来ないので、ただの質量の塊に過ぎないのであろうか?
そして、地球から見る月は既に「満月」が確認出来なくなっていて月の明かりを必要としている植物や、動物たちに多大な影響を及ぼしていた。
潮の満ち引きや月の明かりを頼りに移動や産卵をしていた海洋生物(例:ウミガメ・カニ・・・)等、あらゆる種別の動物達が月からの恩恵を受けられなくなり、多くの生物が絶滅していった。
人間の食料でもある海洋生物の水揚げが無くなってしまうと人類も滅亡してしまうと考え、人類はようやく月の掘削を終了させた。
だが時すでに遅し。地球からの確認が難しいとされる「月の裏側」は乱獲によりほぼ形が無くなっていた。国を挙げてルールを守らず乱獲する国家があるのだ。
人間とは何と自分勝手な生き物であろうか。自分達が快適で豊かな生活、自分達が喰いっぱぐれない様に調整をする・・・本当に愚かな生き物だ。そうに考える人達も少なくないであろう。
しかし、レアな鉱石が必要である人類は地球に影響の出ない惑星からの掘削を考えた。その惑星は「マーズ」火星である。観測上、火星にも表面上には海は無く重力も地球の1/3程度しか無い為、掘削には適しているのだ。
火星は地球の半分くらいの質量だが、地球からの最接近時なら7,528万㎞の距離にある。その為、地球への影響は無いと判断し人類は火星の鉱石を急加速で採取し始めたのだ。
この最接近は2年2ヵ月の周期で行われている為に、この周期に合わせて集中的に人類を火星に送り、掘削作業を行い約19.5ヶ月後から徐々に地球への帰還が始まる。また、地球から一番の遠距離になってしまう13ヶ月後の帰還は実質行われないのだ。無駄な時間と燃料費の事を考慮しての事だろう。
月に比べ火星との距離はかなり遠いが、宇宙船には「テレポーション機能」が施されており、移動にそれほど時間は掛からないのだ。科学の賜物である。しかし、機体の耐久性等を考慮し往復で2回と限定されているが。
そして、火星には月にも地球にも存在しない鉱物が数多く有り、これによって人類の生活は更に豊かになっていった。
しかし、その一方で月や火星から資源を地球に入れてばかりいた為、地球上が使い終わった物資で溢れてきた。これでは地球がゴミの惑星になってしまうと考え、月や火星から調達し使用済みとなった物資を宇宙へ「捨てる」計画をしたのだ。
宇宙は無限大に広い。ゴミをいくら放出しても全く問題無いと判断したのだ。
ただ、宇宙ゴミとして出してはならない物が一つだけあり、それは全人類の決め事として法律で固く守られていた。
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