定年して日向ぼっこが趣味になったA氏。

その日も縁側で寛いでいると

口の中に違和感を覚えた。

左頬に何か薄い物が張り付いていて、

舌で触るとそれはどうやら紙のようであった。

口を開け、指を突っ込み指先で優しく剥がして取り出すと、

それは筆で文字が書かれた長方形の紙で、どこからどう見てもお札であった。

驚いた彼が「うわあ！」と叫びながら放り投げると、それは煙のように消えてしまった。

彼は、その体験をしてから数日間、原因も何も分からないことに気分を悪くしていたが、

現在は特に何事もなく元気に暮らしている。

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