第七章 年明け、そして

 年が明けて、また講義のある火曜日が来た。僕は相変わらずモーニングセット、彼女も相変わらずミルクティー。彼女が喋り、僕が相槌を打つ。時間が来れば講義に向かう。

 いつもの火曜日のいつもと変わらない光景、それも、次の春までで終わってしまう日常、終わりは近づいて来ているのはわかっていたが、別に何も思わなかった。ものすごく楽しい、とか、ずっと続けばいいとか思うわけでもなく、喫茶店から講義までが1つのセットのような感覚で、特別なものではなかったのだ。

 そして、最後の講義の日を迎えた。

 その日も、いつものように喫茶店で彼女が喋り、僕が相槌を打ち、講義に向かい、テストを受け、それぞれ別の講義に向かった。

 さよならとかありがとうとかまたねなんかない、いつも通りの別れ方だった。来週も火曜日の朝、喫茶店に行けば会えそうな別れ方、お互いに来る必要はないのだから、そんなことはないのに、そう思ってしまうぐらい、いつも通りだった。

 翌週、単位がちゃんと取れているのを確認して、本当に毎週火曜日のルーティンが終わったのを実感した。

 今後、朝イチの講義なんか絶対取るもんかと心に誓った。

 ふと、彼女は単位取れたのか気になったが、確認する術がない。連絡先の交換とかしてなかったからだ。

 きっと取れてるだろう、そう思うことにした。

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