第六章 冬です

 翌週、僕が喫茶店に入ると彼女が先に来ていた。僕は彼女の正面に座った。

「おはよう、今日はちゃんと授業出るよ。」

 まだ少し悲しそうな笑顔だったが、先週よりは多少元気になっているようだった。

「単位落としたら、元も子もないからなぁ…。」

 彼女はミルクティー、僕はモーニングセット、いつもの注文をして、彼女が一方的に喋り、僕が相槌を打つ。

 いつもの火曜日の朝がそこにはあった。

 年内最後の講義の日、僕はいつも通りにモーニングセットを食べていた。

「クリスマスはどうするの?」

 突然、彼女から聞いてきた。あまり僕のことを聞いてくることはないので、少し驚いたが、大して予定もない身の上なので、隠すこともない。

「別に何もないよ、寒いから家で大人しくしてると思う。」

「そうなんだ~、ワタシも家で過ごすかな…。」

 ここで、どこかに誘ったりするほど、僕は機転が利かない。そんなことをして、この関係が壊れてしまう方が嫌だ。

「その方がいいよ、風邪なんか引いたら、冬休みが台無しになるし…。」

 僕は適当にこの話を流すことにした。

 そのあと、やはり彼女が一方的に喋り、僕は相槌をうち、時間になり、講義に向かった。

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