第三章 ようやく冒頭
店を出たあと、僕は近くにある、比較的賑やかな喫茶店に向かった、まだ講義の開始まで時間があったのだ。
彼女は一応着いてきている、多少愚痴めいたことは話しながらだが。そして、目的の店に入ろうとする僕の背中に
「また?」
呆れた声を掛けた。僕は気にせず店に入り、窓際のテーブル席に座った。彼女も僕の正面に座った。
「とりあえずモーニングセット、コーヒーで」
「私はミルクティーで」
注文を終えたあと彼女は僕に言った
「え?また頼むの?さっきの店でも頼んでたよね、モーニングセット…。
朝から喫茶店ハシゴするのも変だけど…。
また、モーニングセット頼むの?」
ハシゴする原因は、君なんだよ…、と言えるわけもなく、僕は黙って頷いた。
「ホントにモーニングセット好きなんだね…。」
別に好きなわけじゃないんだが…、弁解するのもなんか違うなと思い、僕は黙っていた。
料理が運ばれてきたとき、彼女がゆで卵を手に取った。
「卵は1日1個までだよ、だからこれは私がもらうね。」
僕が呆気にとられてると、彼女はゆで卵の殻を剥き始めた、仕方なく僕はトーストを齧った。
「あ〜、美味しかった〜。」
ゆで卵を一気に頬張って、飲み込んだ彼女が満足気に言った。
「美味しかったのなら、なにより。」
時計を見ると、そろそろ講義に向かう時間になっていた。
「そろそろ行きますか?」
彼女に声をかけた
「行きましょ。」
彼女は答えて立ち上がった。
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