第3話 初戦闘
島に来てから3日たった。
1日目は特に戦闘が起こった気配はなかった。
全員が誰か戦いを仕掛けないか様子見をしていた。
2日目は戦闘が起こった。
それを皮切りに次々と戦闘が起こりもう10数名はこの世界からサヨナラしていると思う。
まあ実際見ていないので本当のことはよくわかっていないんだけど。
俺はというとまだ誰とも戦っていない。
人が目に入ったら隠れるようにしている、
スキルも魔法も上手く扱えない今戦うのは自殺行為だ。
戦った相手が優しかったら殺されないかもしれないが、普通に考えて人数は減れば減るほど有利だ。
逃がした相手が強くなって自分を脅かすかもしれない。
それはあまりにも危険だ。
よって倒した相手を生かすメリットはあまりない。
そして今日3日目、朝からドカーンという音が聞こえてくる。
こんなでっかい音を出せるのは序列最上位のやつだろう。
スキルも魔法属性もつい先日教えてもらったばっかなのになんだこの差は。
俺はスキルも魔法も全く使えない。
教えてもらったスキルをイメージするがどう考えても使える気がしない。
「魔力があるっていうのはわかるんだけどな...」
こんなにも使えないってことは俺のスキル間違ってるんじゃないだろうか。
誰かと取り違えたとか。
あれから2日間で習得したのは魔力による肉体強化、魔力の放出などの魔法といえるかどうかも分からないものだ。
少なくとも戦うことはできるが勝てるかどうかは分からない。
(俺のスキルはもっと...)
そこまで考えたところで近くの草が音を立てた。
「誰だ!」
そう叫ぶがあたりは静まりかえっており誰かがいる気配はない。
「気にしすぎか...」
そう思い胸を撫で下ろした瞬間、背後に圧を感じた。
振り返ると目の前にナイフの切っ先が飛び込んできた。
びっくりして尻もちを着いたおかげでギリギリナイフを交わすことが出来た。
顔を上げるとふたたびナイフが視界に飛び込んできた。
それに慌てて魔力による肉体強化をすることで何とか交わす。
俺も反撃しようと殴りかかるが一瞬で姿を消され俺の攻撃は空をきった。
(どこだ...。どこに行った?)
次の瞬間胸に衝撃がはしり、口から血が溢れてきた。
「は?」
遠のく意識の中で血まみれの剣を持っている人の姿が見えた。
◇◇◇
(これで4人目...)
今殺したので4人目だ。
たいして順位は高そうには見えなかったが一応殺した。
思ったとおり順位は入れ替わらない。
次の獲物を探しにその場を立ち去ろうとすると背後から、
「あー、死ぬかと思ったー。」
と呑気な声が聞こえてくる。
(ありえない...。
胸を切り裂いたんだぞ。)
間違いなく致命傷のはずだ。
「これが俺のスキルか....。」
1人でブツブツ言っている。
(生きていても問題ない。
もう一度殺す。)
スキルにより影の中を移動して死角からの全力の一撃をぶつける。
これが必勝法だ。
しかし攻撃を当てる直前で突如体が動かなくなる。
それに冷たい。
(やばい....。
反撃が来る!)
「パーンチ!」
間の抜けた声と同時にとんでもない衝撃が体にはしり地面に叩きつけられた。
◇◇◇
「あー、死ぬかと思ったー。」
まさか土壇場でスキルを使えるようになるとはな。
止血もできてるし、とりあえず命に別状は無さそうだ。
それにしてもやっぱり聞いてたスキルと俺のスキルは全然違う。
通りで使えなかったわけだ。
俺のことを襲ったやつを見ると驚きすぎて言葉も出ていない。
(当たり前か。
殺したと思ってたのに生きてたんだもんな。)
とにかく生きててよかった。
「それにしてもこれが俺のスキルか....」
そう呟いているとまた襲撃者が剣を抜いた。
次の瞬間には俺の懐に入り込んでいるが全くもって問題は無い。
相手の動きを止め、殴り飛ばすだけだ。
「パーンチ!」
思っていたよりも俺のパンチの威力は高くて襲撃者は地面にめり込んだ。
殺す気は全くもってない。
ずっとコソコソしていたおかげで情報が不足している。
貴重な情報源を失う訳にはいかない。
どうやって情報を聞き出そうか考えていると腕に痛みがはしった。
ふたたび攻撃されたと思い襲撃者を見るが気絶している。
腕の痛みがはしった部分を見てみると腕の数字が変化していた。
(こういう感じで変わるのか!)
これ逃げた場合とかどうなるんだろう。
負けを認めたということで順位が入れ替わるのか、戦闘不能ではないとして順位に変動は無いのかどっちなんだろうか。
まあそんなことはどうでもいい。
答えが分からないことを考えるのはやめだ。
テン・サバイバーズ~生き残りをかけた戦い~ ダチョ太郎 @okitadx
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。テン・サバイバーズ~生き残りをかけた戦い~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます