第28話 日常と異変と
早いもので、もう2年が経とうとしていた。
酷い頭痛もなく、吐き気も余り感じなくなってきた。
胸は相変わらず痛い。時には、『ズキン ズキン』と痛みが続くが、痛み止めは効かないのである。
長くて30分程で、治まるので様子見のまま。
それから、脈は先生から「今回の結果でも、改善の兆候が見られるよ。」「数値的にはどのくらいでしたか?」
と聞くと、「日中で、60くらいで睡眠時は、40くらいまで持ち直してきてる。」「おー、凄い。何が原因だったのかなぁ。」「まぁ、結果は出てるし、いい傾向だね。」
「検査も、年2回でいいよ。」「良かった。」心からそう思った。
帰宅して、瞳と聖也に「結果は、良かったよ。検査も2回で良いって。」
先生からの結果を伝えると瞳は「よかった。」と泣いている。
「何もして無いけど、普通に近い普通に戻ったかな。」と笑いかける。
冬も過ぎ、春になる頃だった。
僕は、左足首を痛めていた。何処かで、捻ったのか赤みがさす。
秋に、また左足首を痛めていた。今度は、右の膝も痛い。患部は赤く少し腫れていた。
次の春、また左足首と右膝を痛めていた。
夏になると、またまた左足首と右膝に加えて、右足首も腫れていた。
(これは、おかしいな。コケてもないし、捻ってもいない。)
歩くのが辛くなって来ているが、近い整形外科に行った。
レントゲンと血液検査で、骨に以上はない。ただ、血液検査で『ある』数値が高い。
「お酒、よく飲むの。」笑いながら「痛風じゃないかなあ。」と言われる。
「お酒は飲み会くらいで、年に何回も飲まないです。煙草も3年ほど前から禁煙してます。」と伝えたが、笑い返され痛風予防の薬と痛風発作の痛み止めを出された。
その後、1年掛けても発作は起こるし間隔も短く痛みも肘や膝に、水も溜まるように酷くなっていった。
(痛風なのか?予防になって無いし痛み止めも効かない。)
僕は、他の整形外科にも行ってみたが、反応は同じだった。先生たちは、僕が、酒を飲まないと言ってることを信じてくれない。
会社には、痛風持ちが居たが「それ、痛風じゃないと思うよ。」と言われる。
瞳も段々と酷くなる症状に、病院探しや付き添いと支えてくれる。
またもや、迷惑を掛けてしまった。
1年また、1年と「もう、痛風になったの。」「まだ早すぎるでしょ。」と心無い言葉で対処療法をする先生たち。
ある日、膝の水を抜いてもらう為に、病院へ行くと先生に、「本当に痛風なんですか?」と再度確認をする。
「ん〜。君の場合は、特異なんでしょう。」と返され処置をする。
水を抜いて炎症止めを注入する。
それからも、繰り返す発作に、リウマチ科へ行ってみたらと瞳の提案を受け、検査を受けるが「リウマチや隠れリウマチの反応はありませんでした。」と結果をもらう。
(このままでは、仕事が続けられなくなる。)
焦る気持ちが、伝わるのか、瞳も困った表情だった。打つ手が見つからない。
年に定期的に数回やってくる発作に悩ませられたが、家では楽しく、発作がない時は出来るだけ、皆で遊びに行くことにした。(動けなくなる日が、近いかもしれない。不安で一杯な心に風を通すように、家族との想い出を作った。)
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