第26話 遅れたMerry Christmasと新年の準備と
僕は、部屋へ戻ると1番に瞳へ連絡した。
「はーい、今日は早いね〜。どした〜?」「29日に帰れるって。」
「本当に?」「そんな、嘘つかないって。やっと帰れるよ~。」「良かったね。」
瞳は、『ほっ』と胸を撫で下ろしたかの様な声で喜んでくれた。
「何食べたい?」
僕が、病院食に飽きていたので、早速、腹を掴みにかかる。
「何でも良いけど、チキンにしようか?遅くなるけど、今年のクリスマスをしよう。」
と僕の提案に、
「凄くいいね。ケーキも準備しておくね。」
弾む話しと明るい話題で、あっという間に時間が立っていく。
気分が凄くいい。瞳との会話に笑顔が見えた気がした。
夕方に看護師さんから
「おめでとう。退院が決まったって聞いたわよ。」「ありがとう。」「もう、1ヵ月かぁ、もっと前からいた様な気がする。」
何処かで聞いたことのあるフレーズに、子供の頃の1ヶ月と大人になり、家庭持ちの1ヶ月は重みが違うと感じながら「取り敢えず、帰れるよ。」と答えた。
(僕は、何とかなる物だ。適切な処置が、何なのかは分からない。しかし、頭痛や吐き気、胸痛も残ったままだが、心臓は動いている。瞳と聖也に、元気で暮らせる。と嘘でも良いじゃないか。誰にも壊させないと思い願う。)
退院の日、瞳が迎えに来て挨拶とお礼をしながら病院をでた。
『寒い。』
「さぁ、帰ろうか。」とタクシーに荷物をいれて、乗り込む。
家について、荷物を置くと今度は聖也を迎えに行く。
僕達を見て、ニコニコしながら駆寄ってくる。
抱き上げながら、「じゃ、行こうか。」と声を掛ける。
4日遅れのクリスマスパーティー、料理は出来てる物、下拵えは済んでいる物、ケーキは帰りに受け取って来たので、聖也と遊んで待っていた。久しぶりの食卓に、会話も弾み疲れてしまったのか、ウトウトと頭が揺れる。
「お風呂に入って、寝たら。」と言われるがまま、聖也と久しぶりに一緒に入る。
その夜は、久しぶりの川の字でゆっくりと眠ることが出来た。
と、日が開ける。大晦日前日!掃除を済ませ、今度は年越しの準備だった。
お節は、食べたい物を買って重箱に入れていくだけなので、スーパーに商店街を歩きながら選んで行く。蕎麦の方は、麺と海老天、蒲鉾にかき揚げが食べたくなり追加で購入した。
「結構、いっぱいになったね。食べきれるかな~。」「ゆっくりすれば。まだ、無理しちゃダメよ。」と諌められる。
「初詣は、願掛けに行こうよ。」「近くじゃないとダメよ。」「もう、ダメが多いなぁ。」「仕方ないでしょ!・・・仕事も復帰したら、体に負担がかかるし、休める時にゆっくりしなきゃ。」
瞳の言葉に、温かい気持ちになる。
(こんな、僕に居場所をくれて、ついてきてくれてありがとう。)
結局、近くのえびす神社に決定した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます