第19話 検査入院と孤独な夜9

「しまった!」


 僕は、もう仕方がなく瞳を呼ぶ、「もう、終わったの?」


 瞳の問に、僕は

「ごめん、1人じゃ出来ないみたい。」


「はっ?」

 と察した瞳に

「悪いけど、手伝って」

 と言った。


 瞳の心が『やっぱりぃ』と言っているのが顔に出ていた(笑)


 お互いが、初めてで(ちょっと?引いている)瞳と見つめ合う目と目。


 観念したのか、持ち上げた瓶を、股間に当て

「入ってるの?この角度でいいの?」

 と話しながら、

「こぼれないなら、問題ないし斜めってないならいいんじゃない。」

 と答えてタオルケットで隠してはあるが、音は隠せない。


 何がいけなかったのか一瞬の出来事だった、「きゃっ!」と瞳の声と共に瓶がまた足へ挟まった。

『失敗だ』じゃ~と外へ流れだす。


 僕は、ボタンを押し

「はいっ、どうしました?」

 と看護師さんへ失敗したことを伝へた。

「今、行きまーす。」


 瞳は両手が濡れている。

「そこで洗って来て。 ごめんね」

 と声を掛ける。洗いながら

「ごめんね」

 と瞳も話しなから笑っていた。

 よく分かってない聖也は、退屈そうにしている。


(先ず、手が届かないなんて、思わなかったし、見られるのを最小限にしたかったと考えたが、これでまた皆に見られる。ガックリである。)


 看護師さんがやって来ると、笑いながら手早くタオルケットやシーツ、寝間着などの後始末をしてくれた。


「すいませんが、先生にチューブでお願いって言ってください。」

 と僕は伝えた。


 瞳が聖也に

「最初から、こっちにしといたら良かったね」

 と話しながら、作戦の失敗を笑いあった。


 後は、検査の結果であった。


 何を言われるか、原因は何なのか?


 先ずは、情報をしっかり集め何が出来るのか、出来ないのか。


 それから、解決方法だ。



 先生が、処置してくれたチューブの挿入は、痛かった。違和感しかない。

(嘘つきである。痛いやん。)



 それにしても、瞳が笑って話せることも内容が何であれ、嬉しいと正直に思った。


「早く家に帰りたいなぁ。」

 と呟く。


 もう、暗く静かな部屋で、1人になると寂しさが込み上げてくる。


 今、瞳と聖也は何をしているだろう。


 全てにおいて、不変な物は無いが可能ならば、この家族と最後まで一緒にいたいと願いながら眠りについた。

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