第15話 検査入院と孤独な夜5

 僕が、気が付くと看護師さんがICUに運ばれて、一昼夜意識が無かったと聞く。


 何かチューブやら点滴やらで、繋がれている。


 様子を見て、変わりがないようなら部屋に戻れるそうだ。


 夕方、担当の先生から許可が出たので、直ぐに戻りたいと伝える。


 次の検査まで、酸素チューブを器官へ入れておくか、鼻の下にチューブを、固定して置くかマスクでもいいが、付けない選択はなかった。


 また、食事もこのままチューブから流動食を、取ってもいいと言われた。


 結果、僕は

「酸素を、鼻の下にチューブで固定して、食事は普通に取りたいと答えた。」


(出来るだけ、自分で食べないと味を感じないのもストレスになる。)


 先生から

「次の検査で、外さないといけないから、今回は選択する事ができたんだよ。」

 と言われて、

「追加で、ちょっとした検査をしたい。歩いたり、台に上がったり降りたりするだけだから。」

 と聞いたので、

「分かりました。」

 と答える。


 翌日中は、安静に寝るだけだったが。


『ガラガラ』と部屋へ瞳が入っきた。


 早足で、近づくと僕の胸に手を置くとそのまま、顔を埋めながら泣き出した。


 僕は、緊急の連絡を受けたのだと悟った。


 瞳の頭を撫でながら、

「もう、大丈夫みたいだよ。

 こっちに、戻ってきたし。」

(嗚呼、駄目だな僕は。瞳からまた笑顔を奪ってしまった。)


 僕は、瞳の肩より少し長いストレートの髪が好きだ。


 僕は、瞳の髪をずっと撫で指でかき分けながら、黙って見つめていた。


 しばらくして、落ち着いた瞳は、目尻を赤く腫らして私の手を握り締めると、ゆっくりとキスを交わす。


「心配ばかりさせて、ごめん。」


 謝る事しかできなかった。


 それから殆ど言葉をかわすこと無く時間が過ぎていく。


 瞳の帰り際に、看護師さんから動けそうなら、明日に検査をすると教えられた。


 眠れぬ夜が、またやって来た。


 日とともに心まで沈んでいく。


「ははっ、何やってるんだろう。」


 自分に、言っても返ってくる言葉がある訳もなく。


 朝が来るまで、眠れることは無かった。

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