第9話 結果と説明と

 携帯へ連絡が来て、夕方の帰りに井長クリニックへ入って行く。


 看護師さんから呼ばれて、先生に通される。


 分厚いファイルを手元に、真剣な眼差しで、

「結論から言うと直ぐに、関西労災病院へ入院をしてください。

 先方には、紹介状と連絡はしてますので、お仕事もあるとは思いますが、お休みをして出来るだけ早く行かれてください。

 日程は、連絡して調整して下さいね。」

 と先生から急に飛び出した言葉。

 私は

「何か分かったんですか?」


 分厚いファイルの出番である。


 心電図の測定記録があった。

 見ても、よくわからない。

 いくつもの付箋の中から、開かれた脈の振れる図?で、一定の間隔でない事は理解する。

 心拍数が、覚醒時の平均が40回くらい、睡眠時の平均が20回くらいと言われどうも遅すぎる様だ。


(そう言えば、スポーツ心臓と言われたこともあったなぁ。)


 そして、脈が飛ぶせいで心臓が10秒近く動いてないらしい所を指し、原因は分からない。


 そこで、設備の揃った病院での更に詳しい検査をした方が良い、との事であった。


 本当に僕の記録なのだろうか、何か自分の事じゃないような感じで聞いていると、我に返るキーワードが、

「今の状態では、いつ死ぬかわからない。

 駅のホームや階段だけじゃない。

 康弘さんの心臓が止まったら助けようがない。」


 僕は、徐脈を治す薬とかないのか聞いてみたが、

「ある条件で効果が期待できる物はあるが、原因不明の状態で単に徐脈に出せる薬は、無いんです。」

 頻脈に対応出来る薬はあるが、逆はまだ無いらしい。


 突然の言葉に、頭を抱えながらため息をつく。

(何で、俺が!)


 それから、瞳と誠也にどう説明したらいいのか。


 僕は考えても、オブラートに包む事は出来ないようだと思考を諦めた。


 瞳をまた、泣かせてしまうことになると思うと、僕の頬には涙が流れてしばらく止まることはなかった。

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