第3話 卒業そして関西へ

 瞳は、子供を産む決心を私に伝えてくれた。

 意外にも、笑顔で「2人で、頑張れば何とかなるわ。」

 私は、「ありがとう。」抱きしめながら、「瞳と子供の為なら、僕は何もいらない。」と、瞳は私の胸で泣いていた。

 それから、両親へ挨拶周りと友人達へ報告のバタバタ行脚だった。


 親は怒ってはいた物の、責任は全て私の至らなさであった事、それから半年で卒業出来ることから、今の就職で自立して行ける事を説明して、了解を得た。


 大学では、卒業論文で後半はメンバーに頼り切ることになると伝えたが、1人を除いて誰もが「頑張れよ」と励ましてくれた。

 反対していた1人は、「お前は、始めは全く来なかったのに、康弘にソレはないだろ。」と言い負かされていた。

 バイト先にも、相談をしてシフトを増やして貰った。


 あらかた、やる事リストが終わると、僕は瞳と家族に自分の親と兄弟を集めて、改めて小さな祝宴と結婚の報告をした。

 まだ、緊張という感情を持っていたので、「ここで、はっきりとみんなの前で言わないと!今、集まったのは何の為だ。」と言われた。

 結婚指輪は、婚約指輪で贈ったもので取り繕った。情けないが仕方ない。

 キスの誓いは無かった・・・。


 その後も、早産しかかったり、逆子になったり、入院したりでバタバタしたが、何とか僕も瞳も乗りきった。

 12月になった頃、大学の友人で特に仲良くしていた仲間からカンパを貰った。

 皆もまだ、苦しいだろうに座布団に置かれていくお金を「気にするな、俺達は応援したいから使ってくれ。」と感極まり、「ありがとう、みんな。」涙が止まらなかった私の方を肩を叩いて励ます仲間たちに感謝を胸に、「本当に、ありがとう。大切に使わせてもらう。」


 それからは、あっと言う間に年が明け、無事に産まれてきた。

 小さかったので、抱くことも出来ずに保育器に入れられて見ることしか出来なかった。

 瞳には、「ありがとう、良く頑張ったね。」と感謝した。


 退院後、仲間たちに直ぐ合せに行った。「うわっ、ちっちゃいなぁ。」「計算しやすいな!」と言われ「何が?」と返すと久川が「この子と、これからの俺達の付き合いが年齢で分かりやすい!」

「あぁ、そうか。」「なるほどね。」とまだまだ、長い付き合いになりそうだと瞳も嬉しそうに笑っていた。


 ※ ※ ※ ※


 大学を卒業する頃には、小さな赤ちゃんが家族になった。

 先生からも、「おめでとう。頑張れよ。」と言ってもらった。


 明るい家族計画は、無いものの、何とかするしかない。


 先ずは、単身赴任で関西へ




 ※ ※ ※ ※


 仕事で、関西へ就職したわたしは、始めは単身で寮にいた。片道2時間半。6時の電車に揺られて、まだ何もない部屋へと帰る日々。瞳は、産まれたばかりの聖也はどうしているだろうか?


 ワンルームの部屋で、キッチンの電気をつけて本を読み「おやすみ」と呟きながら眠りについた。

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