第2話 芽吹く命
その後、これといったことも無く、もう大学4年の春だった。
幸樹も、無事卒業できそうだった。
卒業後の事も、考えないといけない時期に来ていた。
私は、就職活動で、関西へ行った時の夜。
ホテルで、面接を控えて休んでいた時に電話が鳴った。
瞳からだった。しかし、深刻そうな声で、「こんな時に」と詰まる言葉を聞こえた。
私は、「大丈夫だから、どうかしたの?何を聞いても大丈夫だから教えて欲しい。」と彼女の返事を待つ。
瞳は、「今じゃなくても良いと思ったけど、早く伝えたいと思って、ごめんね。」
私は、「いいよ。どうかしたの?」
瞳は、「うん。実は最近来てなかったんだ。それで、検査キットで確認したら陽性だったの。」
それは、彼女の中に小さい命が芽吹いたとの内容だ!
まだ、在学中だがあと少しで卒業でもある。
急に頭をフル回転したが、答えは出てこない。
私は、瞳とこの小さな命を守って行けるのだろうか?
でも、ありがとうと不安で迷っていた。
「分かった。教えてくれてありがとう。先ずは、明日の面接を頑張ってくるよ。それから、詳しくは考えていこう。大丈夫だからね。心配しないで無理をしないでね。」
瞳は、「うん。ありがとう。それじゃ、お休みなさい。」
「うん。お休み。」と電話を切ると、あまり実感の無い感覚が、切羽詰まって電話してきた瞳の顔が浮かんでくる。(「ほっ」としているかな~。)
戻ってから、直ぐに瞳に会いに行った。
私は、「先ず、産むか中絶するかを瞳に決めてほしい。」と伝えた。
そう決断を、彼女に任せる事にしたのだ。
友人たちからは、「自分からハッキリ言わないと駄目だ。」
「心細く想っているのは、瞳ちゃんじゃないのか!」と言われる始末、自分でも分かっていたが、私からは、「どちらにするか、判断は任せるよ。ただ、産んでくれるなら、僕が必ず、一生守ってみせるから」と・・・
将来は一緒になろうと話し合った仲だ、瞳も子供も守ってみせると心に誓い、瞳との未来を胸に誓った。
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