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いまから、七九年まえ――
ドイツ、アメリカ、ソ連の枢軸国と、日本、イギリス、フランスの連合国が激突した二次大戦が終戦をむかえた。
敗戦国となった日本は枢軸国によって、ふたつに分断された。
東にはアメリカ、ソ連により、日本王国(通称・東日本)が建国され、
西にはドイツにより、大ゲルマン太平洋共和国(通称・西日本)が建国された。
ふたつにわかれた日本はまじえることなく、現在にいたるまで独立をたもっている。
◇
「おはようございます」
私とブリッツは色々準備をして、皆がいる部屋にきた。
そこはおちついた和室だった。
畳に障子、そとにひろがるのは本格的な枯山水。
真ん中に西洋風のテーブルがおいてあるのがどうかと思うが、まぁいいだろう。
部屋にならべられた座布団のうえに皆はいた。
「おはようッス」と元気よくあいさつしてくれたのは阿部淵ホムラ。
「おはようだし、春姫ちゃん」と笑顔であいさつしてくれるのは中部十花。
彼女は私たちが所属する『特別佩刀課』の課長。
特別佩刀課とは凶悪な犯罪やテロリストに対抗するために、特別に佩刀および犯罪者の殺害をみとめられたチームのこと。
「よーし、これで全員そろったしっ!」
中部が私たちを見まわした。
「ちょっとまて……木梨田がいないッスよ」
ホムラがわざとらしくキョロキョロとまわりを見わたす。
「ここや、ここ!」
声がした方向をむく。
そこには背のたかい女性が座布団にすわっていた。
つばのおおきい黒い帽子と、黒いコートをきている。
「いつのまにッス……!」
「いつのまにもなにも、ずっとここにいたわボケカスゥ!」
女性は機嫌がわるそうに、ぼやいた。
彼女は木梨田青伊。なにかと目立つ格好をしているが、影が超薄いのだ。
「木梨田、ホムラ、おまえたちあいかわらずだな」とブリッツがぼやくと「「ふん!!」」とふたりは同時に顔をそむける。
「はいはい」中部の手を叩く音で、まわりが静まり返った。
「全員そろったし、そろそろはじめよう」
中部は神妙そうな面もちで手を合わせると……。
「いただきます」と威勢よく放った。
そう。これから、朝食なのだ。
西洋風のテーブルの上にはご飯と味噌汁と焼き鮭の食事が並んでいる。
「米粒ひとつ残さないで食べるんッスよ」
今週の食事係はホムラ。彼女の料理は比較的美味しく、彼女が食事係の週は楽しみなのだ(少なくとも一週間、三食レーションになる中部よりはマシだ)。
「はい、春姫」
ブリッツが箸でご飯をつかんで、あーんをしてくれる。
「いつもありがとう」
「いえいえ」
ご飯を口に含むとほっかりしていて、美味しかった。
私の笑顔を見てか、ブリッツも笑顔になる。かわいい。
「今日はワカメか……」
ブリッツがお味噌汁に手をつけた瞬間だった。
チーン――チャイムが和室中にひびきわたる。
この音は……エレベーターの……。
その場にいたみんなはゆっくり――おなじタイミングで、和室の入り口をむく。
入り口の扉が開くのと同時に、軍服を着た女たちがなだれ込んできた。
その手には銃を持っており、私たちに向けている。
「動くなッ!」
女のひとりが叫び、私たちは手をあげたまま動けなくなる。
この人たちは――『国防軍』!
国防軍とは、この国、西日本を守護する軍隊のこと。
それがどうして、ここに……?
軍隊の中から、黒い背広の女がでてくる。
おとなしそうで清楚な雰囲気だ。
「党首閣下!」
中部が叫ぶ。
そう。
彼女はこの国の元首である党首閣下だ。
閣下は私たちを見わたした後、口をひらいた。
「警視庁特別佩刀課の皆様。あなた方を党首官邸へ連行します」
閣下の言葉が理解できなかった。
理解できないまま私たちは連行された。
剣をもてなくなった天才剣士がブロンドの少女に恋をする話 セクシー・サキュバス @Succubus4443
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