第16話 抗争勃発
いつものように廃倉庫で集まっていたある日の午後。平穏な日々を切り裂くような事件が起ころうとしていた。
「リーダー!た…た…大変だ!」とアスモデウスのメンバーの1人が慌てた様子で駆け込んできた。
「騒がしいな。一体どうしたんだ?」と猛が鋭い眼差しで聞く。
「『HMK』が最近、この辺りで暴れ回ってるって情報が入ったんです。彼らはうちの縄張りを侵食しようとしてるみたいで…」HMKとはリーダーの雛形を筆頭に勢力をつけているチームでアスモデウスとはここ最近よく揉めているようだ。
「それは聞き捨てならねぇな」と猛は低く呟いた。その目には冷たい怒りが宿っていた。
「みんな、ここでHMKなんかに舐められてたら負けだ。売られた喧嘩は買うのがアスモデウスの流儀だぜ!」と猛は声を張り上げ、チームの士気を高めた。アスモデウスのメンバーたちも一斉に気を引き締め、戦いの準備を始めた。
「奴らに思い知らせてやるんだ。アスモデウスがどれだけ恐ろしい存在かをな!」
龍之介もその場にいた、彼も猛の士気に煽られ。そして自分の居場所を守るため、何よりも自分の存在を証明するために、戦う決意を固めた。
こうして、アスモデウスとHMKの抗争の火蓋は切って落とされた。港の廃倉庫からは激しい怒声と足音が響き渡り、次第に緊張感が高まっていく。
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アスモデウスのメンバーたちが準備を整える一方、HMKのリーダー、
「おし、行くぞ!」と雛形は低い声で命じる。
「はい!」と、HMKのメンバーたちは一斉に動き出したが、誰も雛形の肩に乗っているひよこのオブジェに触れることはなかった。彼らはそれが雛形にとって特別なものであることを知っており、見て見ぬふりをしていた。
「ひっひっひ…アスモデウスのヤツらは、リーダーの大事な物をバカにしましたからね」と、雛形の横から現れた不気味な男の名は
「そうだ…アイツらは俺たちの大事な物をバカにした。徹底的にやってやる」と雛形は静かに呟いた。その声には確固たる決意と冷酷な覚悟が滲んでいた。
アスモデウスとHMKの抗争は避けられない運命にあった。雛形の強大な影響力と、その肩に乗ったひよこのオブジェが、何か奇妙な象徴のように戦いの行方を見守っているように見えた。
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アスモデウスとHMKの抗争は、日に日に激しさを増していった。夜の街角や路地裏、人気のない工場跡地での衝突が日常茶飯事となり、どちらのチームも互いに一歩も引かずにぶつかり合っていた。
ある夜、廃倉庫の前で激しい喧嘩が繰り広げられた。アスモデウスのメンバーたちはHMKに対抗するために立ち上がり、激しい応酬を繰り返した。拳と叫び声が飛び交い、金属の音が響き渡る。どちらのチームも一歩も譲らず、抗争は続いているように見えたが、その均衡は崩れてゆく。
「くそっ、卑怯だぞ…」とアスモデウスの一人が叫ぶが、その声は次第に弱まり、地面に倒れ込む。HMKの猛攻により、アスモデウスのメンバーは次々と戦線を離脱していった。疲れ果てた体で立ち上がることすらままならない彼らを見て、HMKのメンバーたちは冷笑を浮かべる。
「ひっひっひ…これがアスモデウスか、意外と大したことねぇな」と蛭間が挑発的に言う。
その言葉に触発されたアスモデウスのメンバーは、怒りに燃える目で相手を睨みつける。「黙れ!いつも闇討ちばかりしやがって!俺たちはお前らみたいなヤツには負けない!それに、まだ猛さんや龍之介がいる!」
しかし、その時点でアスモデウスの戦力は大幅に減少していた。メンバーたちの多くが怪我を負い、戦闘不能に陥っていた。蛭間の闇討ちなどの冷酷な計画、そしてHMKの圧倒的な攻勢により、アスモデウスは次第に追い詰められていった。
ついにHMKはアスモデウスの拠点である廃倉庫にまで乗り込んでくる。雛形 明勅が先頭に立ち、その巨体と威圧感で場を支配する。彼の後ろには、筋骨隆々とした部下たちが続き、廃倉庫の扉を強引に押し開けた。
「おい、アスモデウス。ここが終わりの場所だ」と雛形は野太い声で言い放つ。
廃倉庫の中では、残ったアスモデウスのメンバーたちが最後の抵抗を試みようとしていた。しかし、その数は明らかに劣勢で、彼らの顔には疲労と絶望の色が浮かんでいた。
「ひっひっひ…」蛭間はその様子を冷静に見つめながら、心の中で笑っていた。彼の計画通りに事が進んでいることを確信し、次の一手を考えていた。
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