第9話 完璧な一日

今宵も「Hell’s Gatekeepers」のサバトが開幕する。踊り狂う「華」達。狂乱の舞台の中、超絶技巧なギタープレイと華麗なるステージングが響き渡る。神山 指音、ステージネームは「シオン」。端正な顔立ちで長いまつ毛が印象的。自分の美しさに絶対の自信を持っている。そんな彼の日常が始まる。


朝、指音の豪華っぽいマンションのベッドルームっぽいところに陽光が差し込む。指音は目覚まし時計のアラーム音に目を開けるが、すぐには起き上がらない。彼はベッド?の中でしばらく伸びをし、ゆっくりとその長いまつ毛をパチパチと瞬かせる。


「今日も美しい一日が始まる…」と呟きながら、ようやく起き上がる。まず向かうのはバスルーム。鏡の前で自分の顔をチェックし、完璧なスキンケアを施す。彼の朝のルーティンには、美容液やクリームの塗布が欠かせない。鏡に映る自分に満足し、髪を整える。


朝食は豪華なダイニングテーブルっぽいところでいただく。食卓にはシンプルながらも美味しいトースト、フレッシュなサラダ、そしてエスプレッソが並ぶ。指音は食事を楽しみながら、最新のファッション雑誌をパラパラとめくる。


「今日も完璧な一日を過ごすために…」と呟き、エスプレッソを一口飲む。


玄関に立ち、いつものように右足から靴を履く。完璧なルーティンだ。


するとドタバタと慌ただしく走る足音が近づいてくる。「にいちゃん!にいちゃん!」この騒がしい2人は双子の妹と弟だ。


ポニーテールの妹の歌音かのんは小学生にしてはしっかり者で、夜、両親が仕事でいない時は家事をしてくれる。弟の玖音くおんはやんちゃでよく泥だらけになって帰ってくる。


「どうしたんだい?」と双子に聞く指音。


「帰りに商店街のお肉屋さんコロッケ買ってきてほしいな」と目をキラキラさせて頼み事をする双子。


「OK、わかったよ。いつもの「beef croquette」だね」と指をパチンと鳴らして答える指音。英語の発音は完璧だ。


「そうだよ。普通のビーフコロッケだよ。あれ好きなんだ。僕、楽しみにしてるからね」と玖音。


「いってらっしゃい。気をつけてね」と歌音。


「じゃあ、行ってくるよ。」と妹と弟達に見送られ、優雅に扉を開ける指音。「あぁ…今日も太陽が僕をより美しく照らしてくれる」


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颯爽と学校に向かう指音。商店街のアパレルショップのウィンドウを見て何やら物思いに耽る。「あぁ…美し。」ウィンドウに映る自分の姿にうっとりと見とれる。ウィンドウの中の服は素敵だが、自分の美しさはそれ以上だと心の中で自賛する。


「これほどの美貌を持つ人間がいるなんて、まるで奇跡だ…」と、つぶやくように自分に言い聞かせる。しばらくその場でポーズを変えながら、自分の姿を楽しむ。


昨日は雨だったせいか地面には水溜りが出来ている。水溜りを覗き込み、また何やら物思いに耽る。「あぁ…なんて美しい」水面に映る自分の顔に見とれ、その完璧な造形に再び感嘆する。


「まるで芸術作品のようだ…この自然の鏡に映る自分の姿も、また一つのアートだな」そう言いながら、水溜りの前で髪を整える。


さらに、学校のガラス窓に映る自分の姿にも目を奪われる。「あぁ、こんなにも完璧なシルエット…本当に神が作り出した傑作と言っても過言ではない」ガラス越しに自分の姿を確認し、軽く微笑む。


教室に着いても、教科書の表紙に映る自分の顔に目を留める。「この角度から見ると、さらに完璧だな」と満足げに思う。


指音は自分の美しさをどんな場所でも見逃さず、心の中で常に自画自賛しているのだ。


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学校帰りに双子に頼まれたコロッケを買いに行く指音。商店街を歩きながら、自然と目に映る自分の姿に満足感を覚える。


「いらっしゃい!お、指音ちゃんじゃないか。相変わらず綺麗な顔してるね」肉屋のおじさんが笑顔で声をかける。彼は幼い頃からの付き合いで、指音のことをよく知っている。


「何にするんだい?」とおじさんは注文を聞く。


「あぁ…beef croquetteを6つお願いする。」と指をパチンと鳴らして答える指音。


「あいよ。相変わらず指音ちゃんは発音がいいね。どこかの貴族と間違えそうだよ」とおじさんはにっこりと笑いながら答える。


おじさんがコロッケを包んでいる間、指音は再び自分の姿に見とれる。ショーケースに映る自分の顔を見て、「あぁ、今日も完璧だ」と心の中で自賛する。


「はい、ビーフコロッケ6つ、どうぞ。」おじさんが手渡すと、指音は感謝の意を込めて微笑む。


「いつも、ありがとう」と礼儀正しく言って、コロッケを受け取る。


こうしてコロッケを買って帰る指音。彼はどこか満足気だ。自分の美しさを再確認し、双子の笑顔を思い浮かべながら、幸せな気持ちで家路に着く。


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「おかえりなさーい」と双子のお出迎え。両親は今日も仕事で遅くなるみたいだ。


「ただいま、二人とも」指音は微笑みながらコロッケを差し出す。双子の目がキラキラと輝く。


「やったー!ありがとう、にいちゃん!」と玖音。「早く食べよう!」と歌音が食卓の準備を始める。


指音も手伝い、三人で食卓を囲む。和やかな雰囲気の中、楽しい会話が弾む。コロッケの美味しさに、みんなが満足する。


「さぁ…お風呂に入る時間だ」と指音が言うと、双子は素直に頷く。指音は二人をお風呂に入れ、丁寧に体を洗ってあげる。


「さぁ…そろそろ寝る時間だ」と指音が言うと、双子は布団に入り、指音に「おやすみなさい」と微笑みかける。


「あぁ…おやすみ、二人とも」指音は優しく二人にキスをし、寝かしつける。


そして最後に自分自身を磨き上げる時間がやってくる。スキンケアを念入りに行い、髪を整え、身なりを整える。


「あぁ…今日も完璧な一日だった」と呟きながら、指音は鏡に映る自分に満足げな笑みを浮かべる。


指音はベッドに入り、充実感に包まれながら目を閉じる。明日もまた、完璧な一日を過ごすために。





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