第103話 奴隷と晩酌
俺は光の速さでズボンを上げると同時にブラウザを切り替えた。
掛け布団の中に隠れていたのは、白銀の長い髪で真紅の瞳のクール系美少女ウィスタシアだった。
彼女は起き上がりベッドに座る。
それから首をかしげて一言。
「何をしているんだ?」
「そ、それは……こっちのセリフだからぁ〜〜!?」
あっぶねー。始める前で良かった!マジで良かった!見られたら恥ずかしくて生きていけないよ!
「お前のことを待っていたのに帰ってきて、すぐに何処かへ行ってしまったから、こっちに来たんだよ」
俺が厨房に寄っている間に移動したのか。
待っていてくれたってことは、一緒に寝たいのか?
「ウィスタシアも寝ていると思ったけど、起きてたんだね……」
「ああ。……それで、ズボンを下ろして何をしようとしていたの?」
「おっ!?」
クールな彼女はキョトン顔で問う。本当にわからない感じだ。
「ちょ、ちょっと暑かったから。あはははは……」
「ふーん?確かに今夜は少し蒸すな」
どうやら信じたようだ!純粋な子で良かった!
「それより何か話したいことでも?」
「アストレナが今日ヴォグマン領で父上と母上に会ったと言っていたぞ。私達のことは何か話したのか?」
ああ、そのことか。それなら魔法で説明……、あっ、今、魔法使えなんだ。
すると俺の胸から火の玉が飛び出した。
「これは?」
「フルーゲルだ。俺の魔力が弱まって出てきてしまった」
ヤバいヤバいヤバいヤバい……。俺の魔力で保護しないとフルーゲルが死んでしまう。
と、そこに、転移魔法でゴロウズが現れた。この状況を見兼ねたゴロウズ二式が寄越したのだろう。
現れたゴロウズはフルーゲルの魂を取り込む。
「おおおおおッ!復活したぜぇえええええええッ!カッカッカッカッ!カッカッカッカッ!カッカッカッカッ!」
ゴロウズのボディに乗り移ったフルーゲルが高らかに笑っている。
「誰なんだ?」
「夢魔族の長、フルーゲルだよ」
「如何にも!ゴロウ、この娘はヴァンパイアか?」
「ああ、ヴォグマンの領主アルベルトの娘だ。フルーゲル、転移魔法を使える筈だ。夢魔族の里に帰るか?」
「いや、今日はここに泊まる。明日、夢魔族の里に行くんだろう?俺様も一緒に行くぜ!」
俺とゼスタの念話を聞いていたのか……。
魂だけになってもそんなことができるんだな。
フルーゲルが溶けた後、ゼスタと話して明日、無魔族の里へ行くことになった。フルーゲルが育てていた子供は、取り敢えずロロムが預かっている。
「おお、そうだ。お前の魔力、弱まっているようだから俺様が代わりに説明してやるぜ。
フルーゲルから発せられたシャボン玉のような光がウィスタシアに吸い込まれる。
「フルーゲル、これって……?」
「お前とヴォグマンの連中の会話の一部始終だ。んじゃ、俺様は風呂に入って適当な部屋を借りるぜ!構わないか?」
「それなら案内役のゴロウズを付けるよ」
コイツのことはゴロウズ二式が監視しているし、やらかしたら三式が止めてくれる。野放しで問題ないだろう。
けども、不味いのは……。
俺はフルーゲルが出ていった後、さっきから黙っているウィスタシアに視線を向けた。
俺とアルベルト達の会話を全て見聞きしている筈だ。
「あのぉー、ウィスタシア……さん?」
「ゴロウの気持ち、私にも教えてくれないか?」
アルベルトにそう問われたから、ウィスタシアの期待に応えて彼女を幸せにしたいって答えたんだよな……。
「だから幸せにしたいって」
「将来の計画じゃない。私に対する感情だよ」
そんなの……、超可愛くてスタイル良くて性格の良い子とイチャイチャしたりキスしてるんだぞ。控え目に言って、大好きに決まってるじゃないか!
「すぅ……」
「すう?」
普段サバサバした関係だから気持ちを伝えるのめっちゃ恥ずかしい!
でも、こういう事はちゃんと言わないとダメだよな……。
「す、好きだよ……。前にも言っただろう?」
そう答えるとウィスタシアは頬を染めて動揺する。
「ふ、ふーん。そ、そうか……」
彼女は立ち上がると俺に近付いてきた。
キャミソールにショートパン姿。
艶かで色白な肩やむちっとした太ももを露出している。寝る時はブラを着けないから双丘の先端にはサクランボが浮き出ている。かなり控え目に言って超エロい!
実はこのウィスタシアさん、吸血した直後から1ヶ月間で身長が5センチ伸びて155センチになった。
俺が皆のブラをネットで注文しているわけだけど、胸もCからDへ成長した。
その後、成長は止まってしまったようだが、肩やアンダーバストが華奢な彼女がDもあると結構な
ウィスタシアは椅子に座る俺に対面する形で股間の上に跨った。
「それで、私のことはいつ幸せにしてくれるの?」
「な、なるべく早く……」
酒を飲んでるし、久しぶりにセルフバーストするつもりでムラムラしてたからヤバいって。
暗い静かな部屋でこのシチュエーション。
めちゃくちゃエロい雰囲気でドキドキする。
「すまない。ゴロウが可愛くて、つい調子に乗ってしまった。私はとても幸せだからこのままでいいよ」
そう言いながら俺に胸に寄りかかった。
密着して体温が伝わってくる。鼻が彼女のおでこに当たって髪の香りが鼻腔を抜ける。
なんてエッチな匂いなんだ……!
「ウィスタシアの気持ちも、知りたい……」
「……秘密。恥ずかしいよ。私も前に言っただろう」
彼女に恥じらいとう感情があることに驚愕した。そんなのヨハンナの腹に置いてきたと思っていたのに!
うちに来て女性として成長したのかもしれない。
「俺だけ言うのは不公平だろ?」
「そうかな?」
「そうだよ」
ウィスタシアは少し沈黙してから、俺の耳元で囁く――。
「……すき」
正直凄く嬉しい。なんだろうこの幸福感……。酒のせいもあって脳が溶ける。
俺はウィスタシアの背中に腕を回し抱きしめた。彼女はそんな俺の頭を撫でる。
「ふふっ……硬くなってるぞ。興奮してるの?」
「うん……」
薄い布越しに、がっちり密着する俺のゴロウと彼女のウィスタシア。
蒸気でも出ているんじゃないかってくらいしっとり熱々でしかも柔らかい。
そんな感触がさっきらずっと股間に伝わってきて、どうにかなってしまいそう……。
「……する?」
やりたい……。このままお姫様抱っこでウィスタシアをベッドへ運んで押し倒せば……。
ココノが成人するまでって約束したのに、もうそんなのどうでもいい。
結局俺はレグルスの様な高潔な偉人にはなれない凡人なのだ。
でも、それでいいじゃないか……。
なのに何でヒオリやアストレナ、ヒルデビア、レモニカの顔がチラつくんだ。
あの子達が言う「大人になったら俺の嫁になりたい」って発言は子供の戯言だ。
俺はロリコンじゃないから真に受けたりしない……。
「いや、約束したから我慢する。でも今日は一緒に寝てもいいかな?」
「ふふっ、いいよ♡」
ウィスタシア、凄く嬉しそうだな……。
「ウィスタシアはエッチしなくても満足なの?」
「お前、私のことを何だと思っているんだ?……でも、吸血はしたいな」
ち◯こを吸血させてみようかな?
いや、今は回復魔法を使えないから止めておこう……。
「もちろん、たくさん吸ってくれ。ああ、そうだ。せっかくお酒があるし寝る前に一緒に飲もうよ?」
「美味しいの?」
俺もこっちの世界じゃ飲まないからな。初めてみるよね。
「果実酒ならウィスタシアも美味しく飲めると思うぞ」
「では、いただこうかな」
初めて二人で晩酌した。
ウィスタシアは酔うと性格も体も柔らかい感じになる。
で、その後ベッドでめちゃくちゃ
◇
ゴロウとウィスタシアがイチャイチャしている頃、その部屋の遥か上空で四つの人影が二つの月に照らされた。
「やっと酒を飲んだから来たのに……、オレが出現すると同時に現れたね?君達、何者?」
そう漏らすのは黒髪ロング、金眼の女、勇者ヴァレッタ。
彼女の目の前にはゴロウ三式が三体立ちはだかる。
干渉色のボディ〈
真紅の頭に白いボディ〈
ボディ全体が青い炎で燃える赤いファイアーカラーの〈
彼らはセブンランドを守護するゴロウの最高傑作である。
一際、強大な魔力を秘めた冥鶴が問う。
「ヴァレッタ、何しにきた?」
「中身はゴロウなのか?ふっ、ならば、わかっているだろう?」
「俺本体を殺して肉体を奪うつもりだな?」
「その通り♪神代レベルまでステータスを上げないと、奪っても直ぐに壊れてしまうからね。やっと手に入ると思ったのに……」
ゴロウズ逹は黙って話を聞いているが、既に臨戦態勢。必要な情報を聞き出した瞬間、ヴァレッタを殺す。
「そっちの燃えてるのって神話の魔物フェニックスの素材で作ったのかな?黒っぽいのは時を司る神界の魔物テンダロスだよね?で、赤頭の君はなに?その体って、この世界の素材なのかな?」
「答える必要はないな。で、俺の体を奪ってどうする?お前の目的はなんだ?」
「女の子の質問なのに答えず、自分が質問かぁ。相変わらずダメな男」
ん?庭でさっき野放しにしたフルーゲルがヴァレッタに向かって何かやってるな?些細なことだら無視だ。この女に集中しよう。
「答える気がないなら殺すまでだ」
「ふーん、久しぶりに会ったのにゴロウは冷たいねぇー。でも、一体がオレと同等かそれ以上。これは一人じゃきついかな?まさかこんなモノを用意しているとは想定外だよ。
はぁー……残念」
そう言い残し、ヴァレッタは消えた。
多次元空間に逃げ込んだようだ。こうなると追うのは難しい。
ただ、アイツの目的が少し見えてきたぞ。
因みに、ゴロウ本体がヴァレッタ襲来を知ったのは翌日である。
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