第84話 奴隷と焼き芋


 皆が芋掘りをしている間、俺とレモニカは料理の準備していた。


「わわわわたしに、でででできるでしょうかっ!?」


「できるできる♪今日は俺は口を出さないから頼んだぞ、レモニカ」


「ははははいっ!」


 トラクターで畑を往復していたウィスタシアがこちらに戻ってきた。畑の幅は100メートルくらいあるから一往復するにも時間が掛かる。


 しかし、美少女がトラクターを運転している姿は絵になるな。


 俺はウィスタシアに向かって叫ぶ。


「おーい、ウィスタシアぁー、もう終わりにしよう。トラクターは後でゴロウズが使うからそこに置いといてくれぇー」


 まだまだいっぱい掘らないといけないから、残りはゴロウズ達にやってもらおう。


「了解したぁー!」


 大量に出た芋蔓の99パーセントはヴォグマン領にあげる。来年うちで植えるのは残り1パーセント程。

 毎年、大量に出ていた芋蔓ゴミも全部ヴォグマン領にあげていて、5月初旬に植え付けをした。収穫は9月末を予定している。

 他にもトウモロコシ、麦、ジャガイモ、カボチャ等を広大な面積で栽培した。おかけで今年の冬は家畜も含め食べ切れない食料を確保できている。


 ヴォグマン領の来年は更に畑を広げる予定で、これで食料不足は解決。

 ウィスタシアとシャルロットの父アルベルトも作物が順調だから機嫌が良いようで、各町や村に訪れては陽気な感じでゴロウズに話し掛けてくる。


 まぁ、奴に娘さん貰いますって言ったら機嫌が悪くなるだろうけど。


「皆もそろそろ終わりにしよう。そこの沢で手を洗ってきてくれ」


「ええー、アッチもっと掘りたいよぉー」

「ココノんも、掘りたいの!」

「ニャーはもう疲れたよぉ……」


「はいはい、これからお芋焼いて食べるからな」


「アッチ、すぐに洗う!」

「早く手洗うの!」

「待ってよ、二人ともぉー」


 子供は現金なものだ。フォン、ココノ、タマは俺と二人きりなるとベタベタ甘えてくるからマジで可愛い。

 あと1、2年経てばそういうのはなくなるのだろうなぁ。たまに、ずっと子供でいて欲しいと思ってしまう。




 片付けや準備を終えた皆に俺は言う。


「今日はレモニカが料理を教えてくれるから皆、彼女の言うことを良く聞くんだぞ。俺はゴロウズ達と作業しているからな」


「「「「「 はーい! 」」」」」


「よよよよろしくお願いしますぅーっ!で、では先ず、焼き芋にするお芋さんを選びましょう!ひひひ一人一つお好きなお芋さんをお選びくだいっ!」


 あ、噛んだ。


「す、すみません!お芋さんはここから選んでくだいっ!あわわわわ、ま、またわたし……」


 いや、めっちゃ噛むな。ちょっと緊張してるだけだから大丈夫だろう。


 レモニカは大きな籠をテーブルの上に置いた。籠の中にはさつま芋がたくさん入っている。


「レモニカ、どうして今日掘った芋を使わないの?」


 ラウラの質問にレモニカが答える。


「ささささつま芋は収穫してから1ヶ月以上保存しないと甘くならないのですぅ」


「保存しておくとデンプンが糖分に変化するんだぞ」


 とウィスタシアが補足する。


「二人とも物知りですわね」

「一人一つでしたね。では皆さん選びましょうか」


 ヒルデビアの呼び掛けで皆芋を選び出した。

 するとココノが細くて一番小さい芋を握って皆に見せる。


「これ、ゴロウのチンチンなの!」

「にひひひっ!ゴロウのチンチン小さくて可愛いねぇー」


 フォンは大喜びだ。子供たちはオナラとかオシリとか下品な言葉で大喜びする。

 皆興味深そうにココノの芋を見ているな。

 するとモモが顎に手を添えて言う。


「へぇーゴロウ先生のってこれくらいなんだ。ココノは見たことあるのか?」

「見たことないの!」

「ニャーが前に見た時はこれくらい、……だったよ……」


 と、タマが他の芋を皆に見せた。


「皆様こういう話はやめましょう……。でも……立派ですわね……」アストレナ

「はい姫様、一般的な男性と比べて、とても逞しいと思います」


 ヒルデビアはアズダールの王子を籠絡する為に母親から性的な教育を受けている。だから、うちの奴隷の中で唯一そういう知識がある。


 いやしかし、この子達何話してるんだ。俺のアレの話だろ?

 ただ、ここで俺が肯定や否定をするのも格好悪い。アレの話だけに。聞こえない振りて無視しよう……。


「タマは前におねしょして、ゴロウと二人でお風呂入ったの!」

「ちょっとぉー、皆におねしょバラさないでぇーー!」


 俺のもバラさないでね!


「ちょっと待ったぁーっ!!ゴロウのはこれくらいあるぞ!!」


 ウィスタシアが踏ん反り返りながら一際逞しい芋を鷲掴みして皆に見せてドヤ顔をしている。


「お姉ちゃん見たことあるの!?」

「以前、手でこう……がしっと握った時にだなぁ――」


「だぁああああ゛!言わなくていいからね!」


 ここで俺参戦!これ以上は不味い!


「ふっ、アレは状況によって大きさが変化するのですよね、ゴロウ様?」


 ヒルデビアが博識なのはわかった。でも今は余計なこと言わなくていいからね!


「なんと凶悪な太さなのでしょう……」ヒオリ

「凶器ね……」ティアニー

「チン……、ゴロウの……チン?」

「ボク、ゴロウのチンチン見てみたいなぁー?♪」ラウラ


「「「「「 ……ッ! 」」」」」


 何故、皆黙って俺の股間を見る!?

 興味津々な顔をして……。


「いやいや、見せないからね!真面目にやらない子には芋あげません!」


 そう言うと皆黙々と芋を選び出したのが。


「ウィスタシア殿、某は師匠の芋が良いです」

「悪いな。ゴロウの芋は私が食べる!」

「わ、わたくしもそのお芋がよいですぅ!」

「ええー、ボクもゴロウの芋食べたいよ」

「シャルもゴロウさんのお芋が食べたい〜」

「ココノんもゴロウのチンチン芋食べたいの!」


 何故か皆、ウィスタシアが手に持っている芋を欲しがって、じゃんけんで誰が食べるか決めていた。



 焚き火の上に巨大な鍋を置く。

 鍋の中に玉石を敷いて芋を入れる。

 芋の上から芋が見えなくなるまで玉石を掛けて芋を石の中にの沈める。

 鍋に蓋をして一時間くらい焼けば石焼芋の完成。


 芋を焼いている間、予め蒸しておいた芋でスイートポテトを作る。


 皆レモニカの指示でボールに蒸した芋とバター、生クリーム、牛乳、蜂蜜、卵黄を入れて混ぜる。

 最後に生地を金網で裏漉しして、手で一口サイズに形作り土魔法で作ったオーブンで10分くらい焼く。



 俺が刈り取った芋蔓を回収しているとレモニカに呼ばれた。


「ごごごゴロウ様ぁー!で、できましたよぉー!」


 俺が戻ると皆の前に芋が並んでいた。


「じゃ食べようか」


「「「「「いただきまーす!」」」」」


「甘くて美味し!」

「美味しいですな」

「ホカホカですわね」

「チン……ふぅーふぅー、する」

「美味しいね」


 皆、凄く美味そうに食べている。俺もいただくか。

 芋を割ると蜂蜜のような透明感のある身がでてきた。余計な水分が飛んで中までしっかり火が通っているとこうなる。


 口に入れるとホクホクでとろりと甘くて凄く美味い。


「うまい。良い出来だな」


 因みにヒオリはレモニカと交渉したようで一人で5個も大きい芋を食べていた。


 それと自分達で作ったスイートポテトはかなり気に入ったようで皆、滅茶苦茶美味しそうに食べていた。





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