第81話 奴隷と服が透ける眼鏡


 アズダール王国、四大貴族が一角、ハイデン公爵家四女ヒルデビアは妾の娘だ。妾といっても母親は侯爵だからヒルデビアの身分は非常に高い。そんな彼女は幼い頃、両親の命令でアストレナの侍女になった。王宮にて王子達と関係を持つこと目的として。


 アストレナもそのことを知っていてヒルデビアに王子を紹介したりと色々協力していたようだ。


 しかし現在、アズダール王室は崩壊寸前である。その話はアストレナ達からはまだ聞いていない。俺にいずれ打ち明けるつもりでいるようだが、俺がそれとなく聞いてもはぐらかされてしまい話してくれないのだ。


 しかし、俺には神眼、全知全能の目ガイアストローアイズがある。

 ウィスタシアとココノの件でこの星の記憶を見ているからアズダール王国で何が起きたのか、俺は知っている。



 ヒルデビアは実家や王室の呪縛から解放された。いつか恋をして結婚するかもしれない。

 そうなると男の俺にアソコを見せたことがトラウマになるかもしれない……。子供の頃の体験て大人になっても覚えてたりするし。


「ダメ……でしょうか?」


「ヒルデビア、男の俺が直接見ることはできないが怪我とか痔の可能性もゼロではないから、探知魔法で服の上から見てやるよ。上位の探知魔法なら傷や病気を発見できる」


「ありがとうございます。血がたくさん出て不安でしたので、是非お願いいたします」


 まぁ俺も初めて使う魔法だけど、たぶんこの魔法ならアソコを見ずに確認できるだろう。


 因みに最上位、第七位階探知魔法は無限記憶書庫アカシックレコードと同じ異次元空間にいるゴロウズ二式が常時発動していて、この第一ランド島の周辺を監視している。ゴロウズ二式はリヴァイアサンという巨大な竜の魔石でつくられている。魔石は直径10メートル、家くらいある規格外の巨大な魔石だ。

 そんな凄いシステムでも対象を直接見ることはできない。だから絶対に見えない筈!


「よし、行くぞ、第六位階探知魔法――オールホールドセンス!!」


 探知の対象はヒルデビアのアソコ!魔力を調整すると俺の頭の中に画像が流れ込んでくる。8Kかってくらい鮮明な画像が。


 え?いや……、ちょ、も、もろに見えるんだけども!え?これ、そういう魔法だったの!?服が透ける眼鏡的な!!


 ただ、血でよくわからないな……。魔力を調整して……。おお!汚れがクリアになったぞ。……ゴクリ。


 俺が目を開けると。


「ゴロウ様、どうでしょうか?」


 どうって……?こんなのネットで普通に見れる時代だから、成人男性で画像すら見たことがないなんて奴はに一人もいないわけで。

 当然俺もそれなりに見たことはある。本物を見るのは初めてだったけど。


 それで率直な感想は……。


「綺麗だった」


 とにかく超綺麗だった。


「それはつまり、怪我などはしていなかったということでございましょうか?」


 あ、色や形じゃなくてそっちか……!


「問題なかったよ。普通に生理だ」


「よかったです。安心しました」


 ホッとするヒルデビアを尻目に俺はこの危険な魔法を封印すると誓うのであった。


「じゃ、汚れた服は俺が洗うから脱いだら置いといてくれよ」


「それはいけません。汚いですし恥ずかしいです。……自分で洗いますから」


「いいからいいから、そんなの魔法で簡単に洗えるから。ヒルデビアは今日は何もするな。体を休めて安静にしてくれ」


「……わかりました。ではお言葉に甘えさせていただきます」


「じゃ俺は新しい着替え用意しておくよ」


「かしこまりました」


 そう言って俺は風呂から出た。



 その後、ヒルデビアに生理用品の使い方を教え、新しいズボンとパンツに着替えさせた。

 で、ちょっと落ち着いてきたから。


「レモニカが作ったパフェ、殆ど食べてなかったけど食べるか?こっちに転移する時に一緒に持ってきたぞ」


「食べたいです!パフェを食べれなくて残念でしたので……」


「そうか、あれ美味かったもんな。異次元倉庫に入れておいたからアイスも溶けてないぞ」


 女湯脱衣所の洗面台の上に食べ掛けのパフェを置いた。

 俺も殆ど食べてなくて自分の分も出してヒルデビアと一緒に食べる。


 彼女、ここに来た当初は骨と皮だけのガリガリで、その当時から比べればふっくら肉も付いてきた。身長もかなり伸びたし。どんどん成長していくな。



「今日はお祝いで夕飯を豪華にする。何か食べたいものはあるか?」


「いえ、私如きの為にそのようなお気遣いは不要でございます」


「ダメだ。お前は俺の大切な奴隷だからな。こういうめでたい時はちゃんと祝ってやりたいんだ」


「……それでしたら、姫様の話しを聞いていただけないでしょうか?」


「アズダール王国の話?」


「はい。姫様はゴロウ様を気に掛けていて、なかなか言い出せないでいるのです」


「それは、なんかすまんな。もっと言い易いように俺の態度を改めるべきだった。いつでも聞くから好きな時に話してくれ」


「ゴロウ様に落ち度は全くございません。姫様の問題ですから……。私から姫様に進言しておきます。ゴロウ様、感謝いたします」


「それはそれで、食べたい物はあるか?遠慮しないで言ってくれよ」


「それでは……、以前いただいたニンニクたっぷり激辛ラーメンが食べたいです……」


 前に豚骨と鶏ガラでこってりラーメンを作って、各自お好みで辛くしたんだけど、ヒルデビアは唐辛子ベースの辛味の元を大量に入れて激辛していたんだよな。


「あれ、次の日ケツ痛いでしょ?」


「そこも含めて良いのですよ」


 と彼女はCOOLに答える。

 この子、実はドМなのか!?


「わかった!今日はラーメンと餃子しよう!」


「はい!ありがとうございます!」


 こうして、この日は皆でラーメンを食べた。ヒルデビアの了解を貰って皆に生理のとこも伝えた。


 就寝の際、部屋がニンニク臭で緊急事態になったので今日は窓全開で眠った。





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