第38話 奴隷の家を盗撮(クラスメイトの女子とAV鑑賞ってこんな感じなんだな)


 コンコン コンコン


 俺はココノが育った家の扉をノックした。横には俺と手を繋いだココノがいる。


 ここはグラントランド王国の地方都市リャーリヤから約20キロ程離れたところにある森の中の集落で家は3軒しかない。

 ただし、ここから1キロ離れた場所に賊の本拠地となっている村や奴隷を一時的に収監する施設があり、他にもこの地域の別の場所に子供を預ける施設がいくつか点在している。


 この地域にあるこれらの施設は全てドクバック配下の人身売買組織のものだ。

 大魔帝国領から連れてこられた奴隷は一旦ここに集められてから、各地の奴隷商会に販売される。


 子供は出荷できる年齢に育つまで、この地域に点在する集落で保護している。


 ここの子供達は畑仕事や糸紡ぎをする傍ら、子供同士で遊んだり、育ての母親から言葉や文字を教わったりして、それなりに楽しく生活しているようだ。




 探知魔法で確認したところ、入れ替えの時期なのか他2件は空き家で、この家には育ての母親しかいかなった。


「はーい、誰だい?……あんた……ココノ?」


 玄関の扉が開くと中から地味な顔で豊満な胸の女が出てきた。

 彼女はレベッカ・トリル、27歳で組織の育児担当を8年やっているベテランだ。

 彼女がココノの育ての親である。


「お母さん……」


「な……あ、あんたどうして?」


 顔が引き攣り焦るレベッカに俺は笑顔で言う。


「この子、森で迷子になっていたので保護しました。家の場所を覚えていると言うので、連れてきたのですが、ココノのお母さんですよね?」


 レベッカは面倒くさいそうに頭を掻き、機嫌の悪さを顔と声に出して答える。


「そうだよ。……この服はお前さんが?」


「はい、これは差し上げますよ。ほらココノ、行きな」


「うん……お母さん……」


 レベッカの身長は170センチ前後、そんな彼女の腰に小さいココノが抱きついた。


 「ちっ」っと舌打ちしたレベッカは嫌気が差した目でココノを睨んでいる。


 ……嫌な奴だ。


「じゃ、俺はこれで失礼します」


「ちょっ、待ちなよ!お前さん何者だい!?」


「俺は通りすがりの魔法使いです」


「冒険者ってことかい?」


「まぁそんなところですね。ココノ元気でな」


「うん。ゴロウ……ありがとうなの!」


 ココノに手を振り終えた俺は地面に小型の蜘蛛ゴーレムを10体落し家を後にした。



 部屋に戻った俺は水晶を用意する。そこに蜘蛛型ゴーレムが見ている映像が写る。

 魔方陣が設置してある隣の部屋にも同じ水晶を置いてゴロウズが24時間監視しできるようセッティングした。これでココノに何かあっても直ぐに知ることができる。


 結局、俺が思い付いたのはココノを母親に預けて、ココノの気が済むまで一緒にいさせてあげるということだった。


 だって、お母さん大好きで夜眠れないなんて可哀想すぎるじゃん!


 ただ、それだけだとココノに何かあったときに、保護しなかった俺の責任になる気がするから、こうしてゴーレムで監視することにしたのだ。

 ココノには助けを呼べば、俺が助けに行くと伝えてある。


 レベッカに奴隷紋を張り「ココノを傷付けるな」と命令できたが、敢えてそうはしなかった。組織の他の奴が手を出す可能性もあるからレベッカだけ縛っても意味がない。


 それに、ココノにはできれば奴隷になって欲しくない。レベッカがボロを出しココノが助けを求めたら俺は迷わずココノを救うつもりでいる。


 まぁ、8歳児の奴隷なんて需要ないから上手くいけばこの世界の成人、15歳までレベッカと一緒にいられるかもしれない。

 そうなったら流石に保護する理由もない。ココノとはお別れだ。


 今後は監視用のゴロウズを一体用意してずっと放置するつもりでいる。何もなければやることはないが、れならそれでいい。ココノが幸せってことだ。



 風呂から出ると廊下でモモと会った。


「ゴロウさん、こんばんは。今日フォンと初めて苺食べたけど、凄く美味しかったよ」


 とモモは明るく語る。


「良かったな。タマはどうしてたんだ?」


「あぁー、タマは誘ったけど断られて、一日中部屋でゴロゴロしてたみたいだな……」


「そっか、……なぁモモ、昨日の夜寝るときに、ココノって泣いてた?」


「え?う、うん……ずーっとメソメソ泣いてた。あたし達奴隷の子供にはよくあることだけどさ。こっちも悲しくなるよな……」


「モモ」


「ん?」


「寝るときに悲しくなったら抱っこしてやるからな!」


「えっ!?いや、恥ずかしいからいいよ」


「遠慮するなよッ!!」


 俺が強く言うとモモは頬を染めて恥ずかしそうに答える。


「なっ……じゃ、じゃぁそういう時は……お、お願いします……?」


 この子達はまだ子供だから遠慮させないようにしないとだよなッ!



 部屋に戻り水晶を見るとレベッカが一人で夕食を食べていた。ココノには与えていないようだ。

 時差が3陣間程あるから向こうは今夕方か。


 あとは全てゴロウズに任せてある。俺は水晶を消して寝ることにした。

 昨日はあまり寝てないから眠かった。




 深夜、俺の部屋に近付く人の気配が……。俺は目を覚ます。


 これはウィスタシアだな……。


 ウィスタシアはそのまま俺のベッドに転がり隣にきて同じ布団を掛けた。

 ど、どういうことだ!?


「どうしたのん?」


「す、すまん。起こしてしまったな。あの……妹が……」


 申し訳無そうに語るウィスタシアの話によると――。

 妹のシャルロットがここには可愛い子がたくさんいるから、俺と一緒に寝ないと他の子に俺を取られるとかなんとか言って、強引にウィスタシアを部屋から追い出したらしい。


 たく、マセてんな。困ったメスガキだ。


「ゴロウ、ココノはどうなったんだ?」


「家に帰したよ。見てみるか?」


 俺は水晶を作動させる。

 するとそこには、ベッドで気持ち良さそうに眠るココノが写っていた。


 おっ、ちゃんと寝れてるぞ。良かった。

 これでココノとはお別れかもな。それならそれでいい。


 ベッドの端にレベッカが座り、部屋にいる男と話している。

 こいつは組織の見張り担当のトムだな。


 ウィスタシアも俺と並んで一緒に水晶を覗いている。


『おいレベッカ、早く服脱げよ』


『はいはい』


 どんどん服を脱ぐレベッカ……豊満な胸が露わになった。トムも服を脱ぐ。


『へへっ、たっぷり可愛がってやるぜ』


『なに言ってたんだい。いつも直ぐイクくせに』


 そういやこいつ等そういう関係だったな……。裸になった二人はココノが眠るベッドの横で抱き合い、激しいキスをしている。


「なぁ、ウィスタシア……もう消していいか?」


「い、いや……、も、もう少し見てみよう……」


「う、うん……!?」


『ああああ♡きもちいぃいい♡あっ……♡きもちいいよぉー♡』


 あれ?なんかめっちゃ激しいの始まってるぞ……!?


 それを食い入るように見るウィスタシア。


「ゴ、ゴロウ……すすす凄いな……」


「えっ?ああ……そ、そうだね……!!」



『相変わらず声でけーな!オラオラオラ!』


『あっ♡あっ♡あっ♡あおーん♡』


 な、何この状況!滅茶苦茶気不味いんだが!?

 クラスメイトの女子とAV鑑賞するってこんな感じなのか!?




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