第16話 奴隷の体を洗ってやる



 俺のは大人のアレなので、教育に悪いから取り敢えずタオルを巻いて入ることにする。


 風呂に入ると素っ裸の少女11人が俺を待っていた。

 ん?あ、あれ?一人だけ、少女じゃなくて大人の女がいるぞ。ヴァンパイアさんだ。

 身長は150センチ程で華奢だから子供だと思っていたが、胸はそこそこあるし、下にも歯ブラシ程の銀髪が……。


「よ、よしっ!じゃあ誰か一人、説明しながら洗ってあげるから、誰がいい?」


「ボク、洗って欲しい!」


「ラウラか、こっちに座って」


 大浴場にはシャワーが10台設置されている。その一つにラウラは座った。


「私は理解したから教わる必要はない。先に始めさせてもらうぞ」


「わたくしも理解しましたわ。ゴロウ様、先に洗っていてもよろしいでしょうか?」


「ああ、かまわないよ」


「私も理解しましたので、アンヌと一緒に始めさせてもらいます」

「り、リタ、わわわたしに教えてください!」

「もちろんです。ですが、先ずは一緒にアンヌを洗いましょう」

「はい!」


 ヴァンパイア殿、アンヌ、リタ、レナは自分達でできるようだな。


「あたしは何一つわからなかったよ」


 ゴールデンレトリバーの様な耳と髪色で褐色肌の犬族モモは一番一生懸命説明を聞いていたのだが、ふむ……残念だ。

 因みに一人称「あたし」のモモは身長が160センチ以上あってこの中で一番背が高く、胸も大きいし女性らしい体をしている。

 既に子作りできそうな体だが年齢が10歳なので俺的には無理だ。


「私は理解したけど、念の為もう一度説明を聞いてあげるわ!」


「はいはい」


 俺はシャワーを手に取り。


「さっきも説明したけど青い取っ手を捻ると水が、赤い取っ手を捻るとお湯が出る」


 俺は先ずお湯を出した。

 この旅館の湯は地下150mから組み上げている源泉で温度はだいたい45℃くらい。


 俺はシャワーを皆の足元で出した。


「皆触ってみてくれ」


「熱っ」

「熱いな」

「これで体を洗うのですか?」


「いや、これだと熱いからこっちの青い取っ手を捻るんだ。そうすると水が出てぬるくなる」


 皆の手にシャワーを当てながら水を出した。


「これくらいなら、あたし大丈夫かも」「まだ熱いの」

「私も熱くて無理」


「各自、自分でお湯を触りながら取っ手を捻って温度を調節してくれ」


 この旅館は築50年で設備は昭和なんだよな。

 少しぬるくしておくか。


「ラウラどうだ?」


「うん、丁度良いよ♪」


「じゃぁ頭からかけるから染みるようなら目を閉じるんだぞ」


「わかった」


 椅子に座るラウラの尻辺りにシャワーをかけて、腰、背中、肩と徐々に上に上げていく。


「気持ちいいね〜♪実はボクも説明全部わかったんだけど……、ゴロウに洗ってもらいたくてお願いしちゃった」


「まぁ初めてだしな、今日くらいは洗ってやるよ」


 って、さっそく甘やかしている気がするが、まぁいいか。


 俺はラウラの頭からシャワーをかけた。それから鏡の上のシャワーヘッド固定金具にシャワーを固定して、両手でラウラの髪を軽く洗う。

 腰まで伸びたピンク色のストレートヘアは細くて柔らかい髪質だ。

 それが油や土汚れで塊ができて絡んでいる。


「先ずはこうやって髪を濡らしながら軽く洗う。で、この緑色のがシャンプーで、初めにこいつで洗うんだ。こうやって押すと出てくるから、2回プッシュくらいでいいだろう」


 シャンプーで頭皮をマッサージするように洗う。


「ゴロウ殿、良い香りですな」


「シャンプーや石鹸は全て俺の手作りだ。ローズオイルを入れてるから薔薇の香りがする」


 しかし小さな頭だな。ラウラの身長は140センチくらいか。体も細いし……、これからたくさん飯を食わせて大きくしないとな。


「んっ……んあっ……気持ちいいね、ゴロウ♪」


「変な声は出さないように」


「ん??」


「良く洗ったら、お湯で流す。この時シャンプーを綺麗に流し落すように。次はリンスだ。これは髪をスベスベにしてくれる。こんな感じで髪全体に馴染ませてから洗い流す」


 するとココノがラウラの横に来て髪を触った。


「スベスベなの」


 ココノはココア色のふわっとした天パ、垂れ耳兎の獣族。身長は120センチくらいでこの中で一番小さい。


 リンスを流し終えた俺はゴムでラウラの髪を纏める。


「こうやって縛っておくと体を洗いやすいぞ。で、次は顔と体だが、ラウラ自分で洗ってくれ」


「えー、嫌だ。ゴロウに洗ってもらいたい」


 たく甘えやがって。背中は良いけど前は無理だろ。絵面的に犯罪だろ。


「じゃぁ背中だけ洗ってやる。こんな感じで石鹸を手に馴染まてだな」


 俺はラウラのコピー用紙の様な真っ白肌に触れた。取り敢えず背中から洗っていく。


「くすぐったーい。えへへへ、ゴロウの触り方、エッチだね♪」


「ぐぬ!」


「この男は真面目にやってるでしょ!」


 エルフ殿ぉ〜!俺真面目にやってまよね!つかラウラは健康体だし、何で俺が洗うんだ?


「ラウラ、自分で洗え。できるだろ」


「えー!冗談なのにぃー」


 ラウラは頬を膨らませたが無視だ。自分でできることは自分でやってもらわないと、どっちが奴隷かわからなくなる。


「顔もこの石鹸で洗う。こんな感じだ」


 手で顔をゴシゴシあらうジェスチャーをした。


「では各自、やってみてくれ」


「よーし!某はここでやりますぞ!」

「あたしはここで洗うよ。ココノはあたしの隣でやるか?」

「うん。ココノんとなりすわるの」

「じゃあ私はこっちね」


 さて、問題は猫と狐か。

 猫の子は離れたところでボーっと見ていたな。今の説明を理解できてるのか謎だ。

 狐の子は椅子に座ってうとうとしている。

 シャワー台は10台で一人足りないから狐の子は後にして……。


 猫の獣族は身長130センチくらいで肌は色白、灰色の髪に白いメッシュの入ったストレートヘアを背中まで伸ばしている。ぱっちりした大きな目が特徴的で将来美人になりそうだ。

 俺は猫の子に声を掛けた。


「洗ってやるからこい」


「いい、自分やる」


 クールな感じで拒否された。


「いや、体力ないんだからできないだろ」


 そう言って腕を掴むと。


「放せ、変態」


 ぐぬ。こんな子供ばかり集めて変態と思われても仕方ないけど、面と向かって言われるとくるものがあるな。しかし、この汚れをこのままにしておくわけにもいかない。


「わかった。見ててやるから自分でやってみろ。ほら、あそこ空いてるから」


 そう言うとクールな感じで俺を睨み、フラフラ歩いてシャワー前の椅子に座った。

 それから暫くボーっとしている。

 ダメだこりゃ!さっきパン粥を食べたとはいえ、一週間食事を摂っていなかった体は骨と皮だけで枯れ枝のようだし顔もコケている。


 俺は勝手にシャワーヘッドを取り蛇口を捻ってぬるま湯を出した。それを猫の子の太ももに掛ける


「熱くないか?」


「うん」


「目に入ると染みるから大人しくしていろよ」


 そう言って頭からシャワーを掛ける。片手で頭を洗うが髪は土や糞尿でカピカピに固まっていて、お湯で暫くふやかさないとどうにもならない感じだ。しかも汚れが水分を含んでかなり臭い。


 シャンプーは2回やらないとダメだな。

 それから俺は猫の子の頭をゴシゴシ洗い始めた。


 暫く洗っているとアンヌ達3人が俺のところの来た。


「ゴロウ様、わたくし達は洗い終わりましたわ。シャンプー、リンス、石鹸、どれも素晴らしい物でした。使わせていただき感謝いたします」


 3人は顔や体にべっとり粘り付いた土と油汚れが落ちて綺麗な白肌になっている。お腹に赤いインクで書いてあった値段も消えている。


「綺麗になったな。風呂は自由に使って。これから毎日入るといいよ。じゃぁあとは湯船に浸かって適当に上がってくれ」


 俺は猫の子を洗いながら答えた。シャンプー2回目で、汚れが落ちて細くて柔らかい髪が滑らかに手櫛を通すようになった。


「ありがとうございます。もしよかったら狐族の方をわたくし達3人で洗いましょうか?」


「ああ、それは助かるな。願いできるか?」


「はい、歓んで」


 そう言ってアンヌはにっこり笑う。



 リンスが終わると艶々の綺麗な髪になった。猫の子はシャワー台に設置された鏡を見て自分の髪を触る。


「……」


「次は体洗う。先ずは顔な。目を閉じて鼻で息して」


「うん」


 相変わらずクールな感じだが、なんか素直になったな。

 俺は石鹸で猫の子の汚れた顔を撫でるように洗う。そしてシャワーで石鹸を流しタオルで拭いてやるとピカピカの綺麗な顔になった。


「目を開けていいぞ」


 めっちゃ鏡見てるな。


「綺麗になったな。可愛い顔じゃないか」


「……」


 無反応だがまぁいいか。


「次は体洗うからな」


「うん」


 石鹸とタオルで体をゴシゴシ洗う。胸だろうが尻だろうがお構いなしだ。爪の隙間まで綺麗に洗う。


「よし!全部綺麗になったぞ」


 周りを見ると他のメンバーも洗い終えて湯船に浸かっていた。室内に10畳程の大浴槽と3畳程の泡風呂があり、屋外に8畳程の露天風呂がある。

 何故かヒオリとエルフ殿が二人で泡風呂に入っているが何故そうなったのかはわからない。

 ラウラとヴァンパイア殿は露天風呂に入っているようだ。


「あとは一人でできそうか?」


「……できない」


「お、おう」


 ということで、俺も序でに体を洗って猫の子と一緒に湯船に入った。


「んにゃ〜」


 俺の隣では温泉に浸かった猫の子が体を伸ばして気持ちよさそうにしている。




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