包丁を逆手に持って(楽園の女王2019初演より) mid1

雨の日に

新幹線に乗る


東京駅の階段を

大急ぎで2人駆け上がった日は

伝声管が欲しい 集合地点の距離が気になるから

乗っている 波の電車が 窓の蒸気で周囲から隔絶する

集合地点をスマホで打ち終え

武蔵野平野を、目隠しされて昔”一部だけ”東西に走るから

駿馬の名残りが運動する

足を踏み出す、オレンジの電車は

脱稿する前の、私を眠らせて


1度だけ

黒衣の剣士を闇夜に認めた。

「私は旅の者です」で済んだはずの、、

偶然すぎた、電子の反発が

互いの掌を震わす

寒い、いいえ

昼ほど暑くもないだけで

風が吹く のも

漂着物はないかと浜辺を下向いて歩いていればよかった。

見知らぬ旅人と、そして藻屑になるはずだった

血のまだ残っていた、衰弱の骸がある

剣士は その日だけの食事という条件をのまないといけない

少しづつ薄らいでゆく鮮血を自らに問いかけ、

奮い立たせ、今宵も搾り取るしかない

かたや

海から引き上げられる、不自然さを

裸のリリィを見ていれば

波打ち際で着替える姿に

平行線の双子岩の崖が、光子を目の先端で

加速させると、

さきほどの、ぬいぐるみの操りは

奇妙な舞踏会へ招待する

彼女の恍惚とした瞳を、

再び、濃い交わりを求めてる

剣士は一瞥して

翌日からは隠し酒蔵を教えて

享楽的な生活へ誘ってみるのだ

1度だけ、きつく言って。

楽園と、海は深く深いところで使者を送り交わす

ならば、

ジャングルの白亜の神殿は

個室の寮を持っている。

広すぎて暇になりそうだが

実際は積み荷の事務作業にも引っ張り出される

分業体制



朝礼は、罪の意識から

数年。いまはやらないでいい

17歳の多感は、

地球を意識していた

ドキュメンタリー プラネットアースだ。

巨人族の遺産か、旧時代の

遺構は、北朝鮮の瀬取りの旧型潜水艦のようには浮上せず島に同化する

代わりに人間をいたぶり

動物、といっても

豚と狼と兎と羊


計画は必至

二重人格になるには早すぎる

分裂で、いいこと教えてくれない

理想が高い、ライオンがぬいぐるみになることを拒んだ狼を虐めている

寒さの孤独こそ、空想の悪魔


宗教騎士団の、巡礼のパフォーマンスを見た?

傷ついた心に、彼女の強さを認めてあげて。



握りしめた包丁が

料理で捌いた、海の魚をウーロン茶に浸して光を勝手に強めたい

濁りは暗くてよくはわからず、手だけでかき回す

ボウルに煙の香りが立つ

くらっと。


性差を、切り分けた

あまいざく切り包丁は、

グンカンドリの破れた赤い頬

軍艦の意味が、通報艦宮古の、誕生


旅に出る 向こうへ行く準備

朝から心は冷たい廊下を駆け抜ける 風さ

無駄なように自分で思ってしまっても

人の思いは世界を意識させる、防波堤


穏やかにもなる、神殿の悲しみはぬめりを取るように。






1度は刺した包丁の切っ先を見やると腕が勝手に震えてくる

必死に留めよう留めようとしても、瀕死の孤児院のお友達は

世界を廻らせてくれったの。

今、目の前で息を吐いては目を隠す、眠たげな魂が

やはり包丁を赤く絡めてくる

ゾーイの離れた彼女は、今は一個の命のはず


だけど、私は刺しちゃった

永遠の友達の忠告に従わなきゃ、私の手は乾かない

誰か代わってくれるなら、とうに処女を捨てているわ

憎くて仕方ない、寮の部屋から見上げる満月

夜の楽しい空想と、淫売な

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