2024年8月
8月1日 葉落ちて風死す街はシニシズム 旧き友は帰らぬままで
8月2日 日光で作れる目玉焼き 今日は愛犬丸洗いDAY
8月3日 車窓から見上げる日差しは万華鏡 はじけて落ちたトマトは甘い
8月4日 あたらしい時代の声は瑞々しい ボールプールではしゃぐシロクマ
8月5日 ベランダは灼熱地獄。揺れる眼が君の便りを探して彷徨う
8月6日 大都会空飛ぶペンギン夢は夜 ひょっとしてもう忘れたのかな
8月7日 保冷剤握り歩く上り坂 夏の果っていったいどこなの
8月8日 指先に乗っかるくらいの雷雲と 厚焼き玉子のサンドウィッチ
8月9日 故郷の木立に揺れるハンモック くらげは夢を見るのだろうか
8月10日 女王なき蟻の行列どこへ往く あこがれの地へ一歩二歩、と
8月11日 猛暑などお構いなしのすまし顔 ゆらりゆらめくハーフムーン
8月12日 夜遊びの似合わない夜。このままでいいってことも確かにあって
8月13日 四等分のスイカ。迎え火が照らす顔の仄明るいこと
8月14日 目を閉じて数を数えるいちにさん 頭の中で始まるパレード
8月15日 気の抜けた炭酸みたいな日常も 覚えていたい結び目は固く
8月16日 手を振って別れたのは少し前 肩越しに見える送り火の跡
8月17日 日々少しのよろこびを反芻す 白桃を食む 残り香はキミ
8月18日 気の早い蜻蛉が一匹飛んでいる どこまでもいけ 夜はすぐそこ
8月19日 もう君はいないんだねと独り言つ 眠れない夜ヒツジが飛び交う
8月20日 トーストは耳が一番おいしくて 走り出したくなるよな快晴
8月21日 信号は守る。人にはやさしく。遅刻しない。 逆光の朝ここは箱庭
8月22日 深夜二時。ポテチが呼んでる。チョコレートも呼んでる。抗う術はなし。
8月23日 公平無私もろびとこぞりて夏果つる 遥か頭上をゆく飛行機と
8月24日 どこからか聞こえてくる祭囃子 アイラインは丁寧に引く
8月25日 いつもより重い煙草が狂わせる 夕立のなか途方に暮れる
8月26日 一秒ももたない線香花火 子どもみたいに笑ってみせて
8月27日 待ち合わせは百年先の池袋で 鳴らないピアノは優しく弾く
8月28日 朝顔の実がはじけた朝 来年も戻っておいでと窓越しの声
8月29日 手が届く距離にないから美しいのでしょうか。夕景は橙。
8月30日 踏切の音に混じる蝉の声 上がらなければいいこの遮断機
8月31日 なんとなく、なんとなくの繰り返し 栞を挟んで今日はおしまい
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