2024年7月

7月1日 ゴミはゴミ箱へ。君のこと、考えるには夜は短い。


7月2日 浅ましいその口から透明な嘘が聞きたいここは梅雨の日


7月3日 好きだった漫画が打ち切られたから オムライスにはなにもかけない


7月4日 とどのつまりあたしはきみの続きだし あしたはきょうの続きだし


7月5日 戸惑いは正当性の証明で 君の呪いは何色だろうか


7月6日 終わること考えなくてもいいからさ ときめきだけの前夜祭を


7月7日 始まれば終わってしまうと知っている それでも明日を諦めきれない


7月8日 上り坂うつむき歩く。歩く。走る。 コンクリートと落ちた空蝉


7月9日 置いてきたはずのため息引き摺って 日傘は街に溶けてゆくだけ


7月10日 創作は癒しであり創作は暴力である 肝に銘じる


7月11日 憧れはいつも眩しい。 口ずさむのは古いラブソング


7月12日 どうしたい?雨は止まない、なんてことない。ファミマの灯りに集まる虫らよ


7月13日 今日もまた宇宙のどこかで待ち合わせ 一等光っているから見つけて


7月14日 つくるより壊すほうが簡単で それでもこの手は離さぬように


7月15日 乗るはずの電車見送り海へ行こう きみへの愛も置き去りにして


7月16日 ひび割れた背から見える透明な命脈がこの夏の標


7月17日 明日から秋ってことにしませんか 神さまおねがいおねがいおねがい


7月18日 濃紺は褪せていくだけ 好きだった歌の名前も思い出せない


7月19日 白昼夢遠くに見える鉄塔と この夏買ったTシャツの君


7月20日 息狭む文色も見えぬ夜の闇 アンチテーゼみたいな月光


7月21日 遠雷が聞こえる見える迫りくる 今日のところはこれにて終了


7月22日 豆電球のたりのたりと熱帯夜 夢の中でも働いている


7月23日 平成は遠く、午前でさえも涼しくない お気に入りのパジャマはほつれて


7月24日 見逃してきたものの多さよ 見知らぬ土地の知らぬ声を聴く


7月25日 私には関係のない花火。 祭りの後の満員電車


7月26日 いつまでもわかり合えない人等より LOVEを含んだアルファベットパスタ


7月27日 おそろいの傷はきみのだけ消えて 瓶ラムネが似合わない夏


7月28日 去るきみの後ろ姿が眩しくて 思わず差した日傘 暑い


7月29日 ひとりでは埋められなくてもふたりなら 横たわるもの仲夏の秘密


7月30日 青空が雲の輪郭であるように 私も誰かのそれでありたい


7月31日 今日明日で残量ゼロの香水瓶 新たな出会い/既知の喜び

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る