2024年4月

4月1日 騙すより騙されるほう四月馬鹿 そうじゃなくとも馬鹿でいたいね


4月2日 振り返る栞を挟む何度でも 撫でられるよう愛でられるよう


4月3日 忘れたいことほど忘れられなくて 私の箱庭いつも曇天


4月4日 何者でもないことの難しさ レッテルとカテゴライズと


4月5日 訣別は通奏低音 二十二世紀もどうか元気で


4月6日 変わらないつぼみ五分咲き花盛り 散りゆく姿も確かにそれで


4月7日 しゃぼん玉光る飛んでく割れる消える 泣きたくなった夜は長い


4月8日 君という物語のノイズになりたい 傷ついても傷つかれても


4月9日 年月は魔法ではないいつだって 要らない空き缶潰すみたいな


4月10日 夜半過ぎ覗く路地裏水溜まり 冷たい冗談ぬるい真実


4月11日 救われたい救われたくない宙ぶらりん 夢は燃えたら花になるけど


4月12日 雨上がり春に誘われ夢うつつ 近所の猫はにゃおと鳴いて


4月13日 翌日のために仕込む味付け玉子 愛するように憎むように


4月14日 欲しいのはぬいぐるみ的思い出で 痛みだけでは生きられないし


4月15日 ああ過去の私がまさしく君である こちらに来るなスターゲイザー


4月16日 水底で揺れる心臓丸腰の かなしみは今洗い流して


4月17日 君のこと許せないまま生きていい? 廃れた街の観覧車は廻る


4月18日 春だから、で出来ること 慣れない道もたまにはありか


4月19日 ささやかな初音聞こえる帰り道 間違ってない。間違ってない。


4月20日 引き留める勇気がなかった少なくとも グラスの氷が溶けるまでは


4月21日 エンディング。まださよならは言わないよ 忘れるまでは永遠だから


4月22日 『エモ』のまたその先が見たいいつだって 憧れだけで終わらないよう


4月23日 最後には笑っていたと思いたい 荒寥とした浅瀬の影よ


4月24日 君のこと全くもってわかんない わかんないまま過ぎてほしいよ


4月25日 充電は10パーセント残り花 愛するだけの余裕を持ちたい


4月26日 知らぬ街十四時半のナポリタン 粉チーズ下さい愛も下さい


4月27日 せいかつはめんどくさい むかいのまどからきこえるはなうた


4月28日 投げ捨てた夢が描いた放物線 皮肉めいた輝きを湛えて


4月29日 愛用の靴だけでいい本当は 最後の旅を今夜始める


4月30日 この星の端の端の端っこで 出会うための口実がほしい

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