短歌を毎日よむということ

2024年2月

2月1日　あてどない魔法ではない忘れない　夜通し踊る月も無いのに

2月2日　金継ぎ。思い出は遠くなりにけり　塞がりかけのピアスホールも

2月3日　あどけない悪意に飲まれア・プリオリ　後の祭りと蟻地獄

2月4日　書きかけの慣れない手紙握りしめ　明けない夜に抱かれていたい

2月5日　赦しは一方通行　香りだけを残して去った馬鹿

2月6日　春を待つ君も私も理非曲直　コラージュよろしく切って貼ってさ

2月7日　満たされたそのあとにある幸福論　夕焼けがまた目に沁みて痛い

2月8日　心臓を撫でる言葉が欲しいのだ　呆れてないで走って来てよ

2月9日　西日差す横顔手放せずにいる　不完全な関係性も

2月10日　不規則なリズムを刻むメトロノーム　映えない景色もまた景色で

2月11日　結末はご想像にお任せします　幸も不幸も同じことだし

2月12日　燦然と輝く孤独抱きしめて　真似してつけた指輪が抜けない

2月13日　零時嘘で満たした浴槽の　底に沈んだ顔 （直視できない）

2月14日　万が一ハッピーエンドじゃなくっても　この人生の続編希望

2月15日　たらちねの子守歌のよな梅の香が　漂う河辺幾度となく

2月16日　春は旅これまでの澱を脱ぐ旅　おのれの色を見つける旅

2月17日　自分のじゃない棘ばかり追いかけて　都合の良い夢ばかりみている

2月18日　灰色に霞んだ街も生まれ変わる　花になった君と歩けば

2月19日　Spark.もし迷惑だったなら　ドロップキックで突き放して

2月20日　少し屈む。同じ景色が見たくなった　きらりと光る風が吹く頃

2月21日　やるせない世に、夜に、欲しいのは　やさしさだけを集めた花束

2月22日　胸弾む予感がしたからこの夜は　正気のままでいたいのだけど

2月23日　カフェオレは心の栄養喫煙は　魂の栄養 (ほんとか？)

2月24日　物言わぬ信楽焼の福狸　視線の先に空飛ぶ魚

2月25日　ぼくにないものもつきみがうらやましい　きみにないものもつぼくはがんちゅうにない

2月26日　明日もまた地獄の淵で待ち合わせ　十分前には来て待っててよ

2月27日　気がついた。あなたのその視点視線が　あなたを創り上げたのだと

2月28日　あと一度だけでいいから迎えたい　慈しみの夜静謐なる朝

2月29日　絶望は鍋で煮詰めてジャムにして　瓶に詰めたら眺めていられる