2024年1月

1月1日 膨らんだ鳩を数える指先が 上下に跳ねる万華鏡の朝


1月2日 ディスコースマーカーみたいな君の目が それでいいよと言っている(たぶん)


1月3日 正月が明けるまでに摂ったカロリー 総じてゼロになればいいのに


1月4日 用済みの過去は鞄に詰め込んで 目的地など知らなくていい


1月5日 コモンセンスこんな世界の片隅で 今日はおやすみまた明日から


1月6日 キッチンのリンゴがウサギになれるなら 床這う私は鳥になろうか


1月7日 過去でなく明日のために動くとき ついてくる影どこか楽しげ


1月8日 東雲のまやかしめいたロマネスク 階段をただ下りる勇気が


1月9日 てなわけであたしのためのきみじゃなく だれかのためのきみでいてってば


1月10日 檻の中機械仕掛けの白鳥が 食む魚の子もまた機械で


1月11日 どれを初詣とするかは気の持ちようで 固く縮まる足袋の中の足


1月12日 ソナチネの夜を忘れたかい バス停を照らす街灯のような


1月13日 まだ日記は続いてるかな冬旱 春が見たいね春が見たいよ


1月14日 幸せを願えるならばほんとうは ラッピングなど適当でいい


1月15日 あの時の初期衝動はフラクタル 今夜は同じ夢をみたい


1月16日 静謐な夜かじりついた液晶の 歩道橋から見える朝焼け


1月17日 冴ゆる夜に暖も取らないあまのじゃく 寝言言うイヌ枕も使え


1月18日 躓いた君を差し置きのうのうと 伏線回収するつもりはない


1月19日 空っぽで揺れるブランコとバビロン 一度だけでも振り返ってたなら


1月20日 プログラムされた回答繰り返し 集う星屑コピーアンドペースト


1月21日 防波堤金星の笑み降り注ぐ 今夜は秘密を共有しよう


1月22日 大勢を照らすような太陽より 闇に寄り添う誘蛾灯たれ


1月23日 この熱で冬は溶け出す覚えてたい 形容し難いこの一瞬を


1月24日 もうすぐに街は賑わい君は孵化する 笑うサモエド色無き鴨川


1月25日 蠢動するそれ「不毛だわ」の声 ピクトグラムみたいな恋は


1月26日 烈々たる心の臓でも有り余る 角砂糖3つ溶け切らずザラザラ


1月27日 ほんとうを捧げた覚えはないから 夢見てたいならロジカルでいて


1月28日 しゅうまつは君と二人で逃避行 蕾の開く音が聞こえる


1月29日 致死量のキミ浴びる覚悟はできている 言い訳なんか聞きたくないし


1月30日 左手の人差し指から始まって 終わりはきっと薬指がいい


1月31日 最後には歪みもバグも飲み込んで 森羅万象気の向くままに

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