2023年4月

4月1日 五里霧中情熱は消え身も凍る 真っ赤に燃ゆるは嘘ばかりなり


4月2日 惨憺たる結末は言うまでもない リセットボタンは押せないままで


4月3日 望まない朝が来るとき風は吹き 魔法の歌は西から聴こえる


4月4日 一般論は聞きたくないよ必要なのは 終わること無い茶番劇だけ


4月5日 何度でもなぞる曇った窓ガラス 知らない顔は見たくないのに


4月6日 気が付けば祭りは終わり夜しじま 舞えよ徒花意味は無くても


4月7日 意味もなく価値もないけどただそれが そうであること愛していたい


4月8日 「意味もなく価値もないまま生きてても 愛されないよ」だからなんなの?


4月9日 積年を共走るふたり触れられない 嫉妬で染める爪の先は赤


4月10日 クレープの皮だけ食べたい時期がきた たい焼きもしくは最中でも可


4月11日 メレンゲに黄身を落としたあの朝を 伝えるための術が知りたい


4月12日 何にでも輝ける場所があるはずだ 檸檬は爆弾蜜柑は炬燵


4月13日 注意書き※この人生はフィクションです 綻びはまだ正せずにいる


4月14日 隣合う充足感と潮騒は よく似ていると君が言ってたっけ


4月15日 悪いのは地を這う小鳥?飛ぶ魚? あるいは自分だったかもしれない


4月16日 砂時計じっと見つめるサウナ室 天地は逆さテレビは野球


4月17日 上り坂清浄明潔朗らかに 混じり気のない白が貴方


4月18日 葉桜の間に我は輝いて 秋風吹く頃去っていくもの


4月19日 焼鳥と5つのビール囲む卓 右往左往とする灰皿


4月20日 ホーム立つ新人らしき者の群れ どうかそのままいられますよう


4月21日 思い出すつるつるすする蕎麦の味 2人だからおいしかったんだな


4月22日 火曜午後1時に並ぶ定食屋 みな一様に頼むAランチ


4月23日 突き放そうと傷つけようと罵ろうとも ひとりになれないきみのせいだろ


4月24日 次こそは次こそはって聞き飽きた 新世界への近道はない


4月25日 人形は語らないから愛でられる 物言うあなたはいつも空咳


4月26日 春霖愛は沈んだ水底に 手放せなくてごめんねごめんね


4月27日 どうしても手に入れたかった無理だった 首輪をはめた可愛い負け犬


4月28日 私だけじゃないのであればほっといて 強がり言った嘘かまってほしい


4月29日 パチパチと弾けるサイダー陽にかざし 春の祝福猫は大あくび


4月30日 辻褄を合わせるような雨景色 通奏低音は水色

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