2023年2月
2月1日 ゆらゆらと不確かな日々みぎひだり 海を漂うクラゲみたいに
2月2日 ねぇあなた行き先なんて訊かないで 私は勝手に過ぎていくだけ
2月3日 きみが居る他にはなにもいらないよ なんて言わないもっと欲張りたい
2月4日 何もかも気付いた時にはもう遅い 枯れ落ちた花もとに戻らぬ
2月5日 青春の続きを教えてほしいだけ 大人になってもときめきたいでしょ
2月6日 不可思議な御伽噺も跳び越えて さらに可笑しい現実が好き
2月7日 つまるところどこへも行けぬ定めごと 忘れ去られたメアリー・スーは
2月8日 ほんとうは愛されるより愛したい 気づかぬうちに無味無臭の毒
2月9日 琥珀糖陽にかざしてもまだわたし 未回収の伏線ばかり
2月10日 悴んだ街を彷徨い追い求めた どこにあるんだわかめうどんは
2月11日 思い出したみたいにおもちゃ集め出し 持って来る犬香ばしい肉球
2月12日 唐突に差し出された手掴めたら いくつになっても世界はビビッド
2月13日 自分用に買ったチョコレート大抵は 当日までに無くなっている
2月14日 きみがいるただそれだけで味わえる バレンタインはいつも甘くて
2月15日 浮ついた不安定な世憂さ晴らし これにて仕舞いとんだ戸惑い
2月16日 推し移るさざめく夜は徒に この時代の名何としようか
2月17日 羨望も愁いも嫉妬も自惚れも もう引き出しにしまい込んだの
2月18日 見てみたいジンベイザメの口の中 そこにあるのはきっと万有
2月19日 繰り返し唱える呪文届くのは 祭のあとの白昼夢だけ
2月20日 どれほどの語彙を持っていたとしても 伝えたいのはただ『好きだよ』
2月21日 サイレント窓外の雪少し背伸び 踊り場で踏むステップひとつ
2月22日 君の機嫌猫の目のよう弄ばれ それでも好きだから困るよ
2月23日 指先で浜辺に書いたメッセージ 波に消え往く君に届くな
2月24日 香り立つ梅の花は春の訪れ 靴紐解いて裸足で駆けてく
2月25日 蠢動見晴らしの良い深淵で ひた隠してきた秘密と遊ぶ
2月26日 正確に狙い定めてど真ん中 動かないでね堕とされたいなら
2月27日 展覧会いろんなきみが並べられ うろんな客を待ち続けてる
2月28日 思い出す纏う時間はたおやかに ピアノの音色鮮烈な赤
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます