短歌を毎日よむということ

2022年9月

9月1日　流る世に在り続く為のこの身である 次元時代も綯い交ぜにして

9月2日　くつがえす成り損ないとおもちゃ箱　いつか会うキミ夜行性の恋

9月3日　エゴイズム凍えるこころ触れない　許してほしい罪深いぼく

9月4日　見ない振り君のメイクが変わったこと　だって私の為じゃないでしょ

9月5日　いつの日も澱む河川橋梁と　水面の顔は同じであるか

9月6日　抗えず魅せられているひたすらに　白く輝く極彩色が

9月7日　授業中君は見ている僕のこと　これは恋かもいいや変だろ

9月8日　感情の境界線は今ここに　潰れた蝉と夜のコンビニ

9月9日　朝靄も昼間の月も夜更けでも　焼き立てパンとキラーチューンみたいな

9月10日　詞などとうに棄てたと嘯いて　兎見上げるそちらは蟹か

9月11日　届かない察しが悪い君だから　どストレートなラブソングさえ

9月12日　晴れたから足の向くまま思うまま　ガラ空き車両はダンスホールに

9月13日　憧憬のごとき眼差し目まぐるし　夢詠むわたし夢游ぐさかな

9月14日　縛ってるその妄言と甘言が　額縁の中踊る彼女を

9月15日　開け放つ聴きたいものは朝の声　君に言えない秘密は増えてく

9月16日　「愛なんて何処にも無いんだってこと！」　泣くなよ乙女屍体と踊れ

9月17日　正しさはとうの昔に海の底　ノイズを消すな世界を変えろ

9月18日　踵上げ爪先立ちで目を瞑る　空の深さを推し測るとき

9月19日　朝が鳴る渇いた唇突き出して　恐れも憂いも消え去るように

9月20日　信じてた神様だって朽ち果てて　未だ見ぬ明日に雨を引き摺る

9月21日　在りし日に抜錨すべき病症が　泣けど笑えどリフレイン嗚呼

9月22日　この路を曲がった先に君はいる？　チェーンスモークと吐き出す溜息

9月23日　いざさらば後ろ姿と霧の街　君の移り香消える前には

9月24日　昼日中窓辺には猫良い夢を　ぬくい肉球太陽の匂い

9月25日　増えていくあなたにだけは話せない　秘め事並べ今日も息する

9月26日　あなたへの恋恋の情連連と　漣連として涙するのは

9月27日　秋回帰諦念残念未知小径　余白淡白視線偶然

9月28日　お酒です空き缶片手にグダグダと　ナニモノであるかこれはお酒　

9月29日　ねぇダーリンここじゃなければどこだって　行きつく先は地獄でもいい

9月30日　口ずさむ世界の答えわからない　切り貼るいのち小走りで往く