短歌を毎日よむということ
マリエラ・ゴールドバーグ
2022年8月
8月1日 六辺香天に翳した掌見つめ 死者は死なないただそこに在る
8月2日 延々と酩酊暮らしさあれども 信じていたいいつか来る朝
8月3日 目に痛いほどの太陽睨み付け 幕は上がった海鳴りと灰
8月4日 流れゆく幾多のほしは銀湾の 時は経てども変わらぬ薫り
8月5日それまでの私はいわば完璧で 骸みたいにからっぽだった(けれど)
8月6日 夢現カランコロンと人熱れ 囚われている君の背に花火
8月7日 覗き込むなんにもいない金魚鉢 愚かでいたい無能でいたい
8月8日 あてもなく走り続ける薄明の 遥か彼方に俯く君が
8月9日 《青春》は僕らのことを裏切った 猫背の癖が抜けないでいる
8月10日 宙ぶらりん誰のものでも無いわたし とりあえず今日焼肉いこう
8月11日 至れない空が堕ちれば煌めいて 愛は暴力恋は傲慢
8月12日 恋破れぼくら無になる泡になる 眠らない街眠るための町
8月13日 零れ落つ褪めた魂ただ眺め 強さの価値は命の価値は
8月14日 1ミリも分かり合えずに隣を歩く 君と僕とのワンダァランド
8月15日 今日もほら眠れないまま夜の中 足りないものを指折り数え
8月16日 雨音とアルコールと杯と まだ起きてたい終わる世界を
8月17日 雛鳥のひとみにうつる世界とは さよならだけがうまくなるのは
8月18日 ずっとずうっとここにいるから願わくば 振り向いてほしいボイジャー1号
8月19日 幽霊の拙いステップ盗み見て 永遠はこのグランギニョル
8月20日 濡れた髪そんなに優しく触れるなら 暴かれたいよきみの手でいま
8月21日 無為無策跳び込んだのは水溜まり かくなるうえは汚れたっていい
8月22日 雨晒しただ独り立つ箱庭で 死に続けるは幾星霜の
8月23日 懐かしき手の届かない綺羅星よ 出来れば二度と会いたくなかった
8月24日 ゆめにみる平行世界だれのため 春の芥と鏡写しの
8月25日 手を振ってまた会おう夏セミはきっと 期待外れの夢を見ている
8月26日 ろくどごぶただしくいたいだけなのにわたしはVOIDあさはきますか?
8月27日 こんな気持ち知らない知らない知らない 溢れ出るから塞いでキスで
8月28日 日記帳幾度も書いたあの夢をインクの切れた万年筆で
8月29日 目を瞑り広い背中に肩寄せる 午後のひととき世界の真ん中
8月30日 「いかないで」縷々たる命そんなの無い 夢でも良いよ嘘じゃないなら
8月31日 始まりは偶然出会ったあの日から 来るは拒まず去るは見送る
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