第3話 そのダンジョン、意義あり!
「さて、99階に着いたんだが、ちょっとした疑問なんだが、えーと…」
先程サインさせた書類を確認する。
「あゆむ君で良いのかな? 君はもしかして女性なのかい?」
「あゆみです! 歩って書いてあゆみって読みます! 怖い人多いから男のフリしてたんです!」
「これは失礼した! いやぁ完璧な変装だったので気づかなかったよ! どこから見ても女性らしさのカケラも無いその姿には感服した!」
「なんか嬉しく無い」
「そんな事より、このスリングショットを貸してあげるから、あのモンスターに攻撃してもらえるかな」
「人の話聞かないって言われませんか?」
「言われるけど特に支障は無いから気にして無いかな、あのモンスターはライノサウルスと言ってサイのようなモンスターで、接近戦しか出来ない割に足が遅くてね、レベル上げに丁度良いんだよ」
「もう! このスリングショットであれに攻撃すれば良いんですね!」
「当たらないと経験値入らないから、確実に当てるように」
「生まれて初めてなんですよ! そんな上手くいくわけないじゃないですか!」
「うん、それはそれとして早く打ちたまえ、時間は有限なんだよ」
「なんだろ、すっごくムカつく!」
そう言いながら、歩はスリングショットで攻撃をした。
「ふむ、外れたね。 早く次を撃たないと当たる前に相手が追いついてしまうよ」
「そんな事言ったって! やった事ないんですよ!」
半泣きになりながら次弾を装填する。
「反論する前に撃たないと、間に合わないよ」
「もう!」
慌てて撃つが当たらない。
「ヒィィィ」
ドンドン近づいてくる。
その迫力に気圧されながらも必死にスリングショットを撃つ。
「あ! 当たった」
「おめでとう、これでレベルアップだ」
成神はそう言うと、一瞬でライノサウルスに近づき鼻っ柱を拳で思い切り叩く。
その一撃でライノサウルスは沈んだ。
「え!なにこれ!なにこれぇ」
歩は一気にレベルアップする感覚に戸惑いを覚える。
「今ので一気にレベルが上がったはずだから、次からはもう少し簡単に当てれるようになるはずだ! さ、あと99頭狩ったら目的地に移動するからテキパキ行こう」
「あ、ちょっと! 引っ張らないでください!」
ー4時間後ー
「よし、これで目標数クリア」
「お、終わった……」
「じゃあ、次のダンジョンいくよ」
「えぇぇ!まだ続くんですか!?」
「安心したまえ、次は君にテイムしてもらうだけだから、すぐに終わるよ」
「あ、それなら」
ーとあるダンジョン内ー
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁ」
「君の実力ならあれくらい一度にテイムできるはずなんだから、早くテイムしてもらえないかな?」
「無理です! なんなんですかアレは!」
「マダラヒトタケっていうダンジョン産のキノコだね。
アレもモンスターだから、テイム出来るのは確認済み」
「そういう問題じゃない!」
「こちらから攻撃しなければ、向こうから攻撃してこないダンジョンにしては平和的なモンスターなんだがね」
「そこじゃない! だから、なんなんですかアレは! 人間からキノコ生えてるし! どう見ても死体だし! 動いてるし!」
「死んだ探索者に寄生するモンスターだからね、キノコで人がマダラに見えるからマダラヒトタケって名前だし。
あぁ、でも完全に成長するとキノコだけで人間の形を保つようになるからマダラじゃなくなるかな」
「そこじゃない! そこじゃないんです! 動く腐乱死体じゃないですか!」
「おー、なかなか上手い表現だね、端的に特徴を捉えている」
「私今日が初めてなんですよ!ダンジョン入ったのも!モンスターに遭遇するのも!」
「それは知っているよ、君の事はちゃんとリークしてもらったからね、そんな事より早くテイムしてくれないか?
時間は有限なんだよ?」
「嫌です!」
「じゃあ、罰金として即金で六千万用意してくれないか?」
「は?意味わからないんですけど!」
「君がサインした契約書にちゃんと書いてあるよ、私の提示したモンスターをテイムしない場合は罰金として報酬総額と同額の罰金を払う事になってる」
そう言って成神は先ほどサインさせた契約書を見せて、当該部分に指をさす。
「ふぐぅぅ、鬼ぃぃ」
「君の感想は求めてないから、早くしてくれないかな?」
「おにぃぃぃぃ!」
そう言いながら歩は四体のマダラヒトタケをテイムした。
「ふむ、ギリギリ間に合ったな、テイムしたモンスターはテイマーのスキルで収納出来るようになっているから収納して明日に裁判に参加するように。
今日はこれで解散しよう」
「え、あ、はい」
こうして彼女の怒涛の一日が終わった。
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
長編も書いているので良ければ見てください!
https://kakuyomu.jp/works/16818093081579462826
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。
よろしくお願いします。
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