第2話 その報酬、意義あり
「では依頼料の六千万だが、キャッシュかな?それともクレジットで?」
「あ、六千円くらいなら今払えます」
「んーその冗談はあまり面白くないですね。
六千、万、です」
「え?流石に冗談ですよね?」
「何を言っているんだい? 私は日本でたった二人しかいないダンジョン弁護人だよ?
緊急措置だったのでもちろん緊急割り増しをいただくし、示談時の報酬金額も明示されていなかったので、私の法律事務所での正規料金を請求させていただく。
それに相手は私に殴りかかってきたからね、危険手当もつくし、更に速やかに解決したことによる臨時報酬も提示させていただくよ。
端数はおまけしてあげたんだから、かなり良心的な金額だと思うけどね」
成神はスマホを計算機の画面にしてパタパタと目の前で数字を打っていった。
「そ、そんな金額払えないです」
「そうかそうか、実に君は運が良い!
今私は才能あるテイマーをさがしていてね、君はテイマーに成るそうじゃないか!
しかも、適性が他に類を見ないSSS!
君を年間1200万で6年契約で雇用しよう!
それで自動的に完済される! お互いWin-Winではないか!」
「……さっきの男の人って仕込みですか?」
「ん?何を言っているんだね?」
「だって、あまりにもタイミング良くないですか?」
「心外だなぁ、私はそんな卑怯な真似はしないよ!
私がしたことは適性検査場の人間を買収して、優秀な適性のテイマーが見つかったらどこで登録するかの情報も含めて連絡を貰えるようにした事と、どこのダンジョンにでも居る荒くれが偶然飲み放題のチケットを拾えるように細工した事くらいだよ。
そこから先は誓って何もしていない。
ここまで上手く行くのはもう偶然を超えて運命だったんだと思うよ」
「それだけしていたら、充分じゃないですか?」
「そこは見解の相違だね。
別に六千万払ってくれるでも私は全然構わないんだけど」
「痛いところついてくるなぁ」
「どうする?」
「雇われても構わないけど、僕って今テイマーになったばかりだよ?」
「あぁ、そこは気にする事はではないよ。
この契約書にサインと印鑑を無ければ拇印でも構わないよ」
「あ、はい」
「私が言うのもなんだけど、君はちゃんと契約書を読んでからサインするようにするべきだよ。
今後は気をつけた方がいい」
「え?なんかマズイ事書いてあるんですか?」
「マズイ事は書いてないよ、途中で逃げられない事と、六年経ったら年棒300万で自動更新されることが書いてあるだけだから、大した事ではないけど、世の中には悪徳な者も居るからね注意するべきだよ」
「……次からは絶対ちゃんと読みます」
「うん、そうした方がいい、では行こうか」
「え?どこに?」
「もちろんダンジョンに」
「今からですか?」
「ここはダンジョンに入るための場所だよ? 君は一体何をしに来たんだい?」
「えっと、登録だけして帰ろうかなって思ってたんですけど」
「それはとても非効率だね、私の助手になるんだから速やかにレベルを上げて貰わないとならないな。
私が牽引しよう。
なに気にしなくて構わないよ、この分も別料金として君の給料から引いておくから気兼ねなくついてきたまえ」
「え、ちょっと!お金取るんですか!」
「当たり前じゃないか、安心したまえ格安に設定してあげたから」
「いくらなんですか?」
「さ、行くよ」
そう言って助手の手を取るとダンジョンに向かって行く
「いーくーらーなーんですかー!」
「99階まで転移でお願いする」
「え!ちょっと!わたしダンジョン初めてなんですよ!」
「喋っていると舌噛むかもしれないから気をつけた方がいい」
「そうじゃなくて!」
「じゃあ、転移で」
「キャァァァァ」
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
長編も書いているので良ければ見てください!
https://kakuyomu.jp/works/16818093081579462826
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。
よろしくお願いします。
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