子ウサギ兄弟モルとモモ
エアポート快特
子ウサギ兄弟モルとモモ
モルとモモは子ウサギの兄弟です。
二匹はとても、とても仲良しでいつも喧嘩ばかりしていますが、すぐに仲直りします。
「モルが食べちゃったんでしょ!?」
「オイラは食べてない。モモが寝ぼけながら食べたんだ!」
ある日のことです。
モルとモモのお母さんが街へ買い物に出かけて行きました。
「いってらっしゃーい!」
「気をつけてね!」
二匹は元気な掛け声でお見送りしました。
兎のお母さんの姿が見えなくなると、二匹は互いにうなずき合いました。
「よし、それじゃあ、とっておきのパンケーキを作ろう」
「うん、お母さんの素敵な誕生日にするんだ!」
モルとモモはそう言って、お互い別々の方向に移動し始めました。
モルは隠しておいた材料を、モモは道具を取りに行きました。
モルは、ネコマタじいさんという、この辺りで最も大きな猫のおじいさんの家に行きました。
「ネコマタじいさん! 材料を取りに来たよ!」
モルの背より大きい大きな扉をノックすると、扉がゆっくりと開きました。
「おお、モルか。そうか、今日がお母さんの誕生日なんだね?」
中から出てきた大きなおじいちゃん猫は、そう言って笑いました。
「うん。おじいさん、材料ちょうだい!」
「ああ、ちょっと待っててね。はい、どうぞ」
そして、モルは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねて
「ありがとう、ネコマタおじいさん! おじいさんもお母さんをお祝いしに来てね!」
「ああ、モルとモモのお母さんの誕生日会、楽しみにしているよ」
モルは、駆け足で跳ねて家に帰りました。
一方、モモはこの辺りで一番美人なたぬきのお姉さん、ぽん吉ねえさんに会いに行きました。
「ぽん吉ねえさん! 道具を取りに来たよ!」
ゴージャスな家の中から出てきた優しい目の女性が、ぽん吉ねえさんです。
「いらっしゃい、モモ。今、道具を持ってくるね」ぽん吉ねえさんが家の中から持ってきたのは、大きなフライパンと大きなボウルでした。
「ありがとう、お姉さん! これでとーってもおっきなパンケーキを作ることができるよ!」
すると、ぽん吉ねえさんはとても嬉しそうに笑った。
「私は、モモの笑顔が見れただけで幸せだよ。さあ、多分モルが待ってる。美味しいパンケーキをお母さんのために作ってね」
「うん! お姉さんもお母さんの誕生日会にお祝いに来てね!」
モモは、大きな道具を抱えながら家に帰りました。
家に帰ってきたモルとモモは、パンケーキを作り始めました。
「よし、卵を割って……」
モモはたくさんある卵、いっぱいある牛乳、山のようなパンケーキ粉を大きなボウルに入れていきます。
「よし、いっぱい混ぜて美味しくしてやる!」
モルは、台に乗ってボウルの上からパンケーキを混ぜ始めました。
「あっ!」
突然、台がぐらって揺れました。
モルはバランスを崩してしまい、その衝撃で混ぜたパンケーキの材料がひっくり返ってしまいました。
「ああ……」
モルは、ショックで言葉が出てきません。
そんな時です。
「大丈夫? モル」
モモはモルに手を差し出しました。
「材料はまだ残ってるよ。作り直そう?」
モモはやさしく、モルの手をつかみました。
「……やめて!」
なんということでしょう。
次の瞬間、モルはモモの手を振り払いました。
「え?」
モモは、モルの行動に驚いています。
「ボクが全部作るからいいもん!」
モルはそう言うと、再びボウルの中に入った材料を混ぜ始めました。
「モモはそこで見てて! 失敗したのは僕なんだから!」
「モル……」
しかし、モルはパンケーキをうまく作ることができません。
とうとうモルは泣き出してしまいました。
代わりにモモがパンケーキを作り始めました。
「準備ができたら一緒に作ろう、モル」
モモはそう言ってにっこり笑いました。
モルとモモのお母さんが帰ってきました。
「あれ? なんだか美味しそうな甘い匂いがする」
モルとモモが駆け寄ってきました。
「お母さん見て見て!」
「パンケーキ作ったんだ!」
そう言って二匹は、自分の後ろにある巨大なパンケーキを見せました。
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