第39話 100階
「ちょっ、心の準備をさせなさいよ!?」
「何の躊躇もなく開けたら戻れない扉開けたな!?」
「いやだってここで止まる方があれだし。
……向こう側の扉が閉まっているということは、完全に入りきらないといけないのかな」
100階の扉を開けた先の空間に入ると、ゆっくり後ろの扉が閉まる。この扉の開閉を邪魔しても良いんだけど、ここで出てくる敵が強すぎる、というのは考えにくい。塔の魔物は、順当に強くなっていってた。あのグリッチ行為大嫌いな運営が、ここでバランス崩壊気味のボス敵を配置するわけがない。
そう思っていると天井部分が光り、そこから天使みたいな存在が現れた。外観は15歳程度の美少女で、羽が生えている。鑑定すると『光の神の下僕』って出てくるんだけど、ステータスが視れない。ただ、レベルは100だ。
「鑑定結果、全ステータスオール500です!」
「……うーん、強いかな?一応強いね?っと、攻撃は弓か」
「試しにこっちから一撃入れてみるぞ」
エレーナさんの鑑定はやっぱり特別性のようで、こういうボス敵でも鑑定が貫通する。その結果がオール500とのことだけどまあ順当に強い程度。バランスが良いだけで、500よりステータスが高い敵というのは99階より下で出て来ていたからね。
天使の目が開いたと思ったら、即座に矢が飛んでくるけど全部叩き落せるのでそこまで強いと思わない。いつも通り時間停止を使うと相手は固まるし、そこにシュヴァルツさんの破壊のオーラぶん投げが当たり、天使はあっさりと鮮血を撒き散らす。人型相手にも躊躇ないねこの人。
「うわ、こうなるのかよ……」
「一撃で沈んだね?ここから第二形態とかあるかも?」
「……何か、来る?全員退避!」
100階のボスっぽい敵を倒したと思ったら、向こう側の扉が開き始め、レクアさんは退避を命じたけどその前に時間停止を使う。さっきはパーティーメンバー全員を対象外にしたけど、今回はエレーナさんのみ時間停止させてない。
「……扉の向こう、何人居てどういう人が多いかだけ教えて」
「……ステータスに世界の欄が追加されて、扉の向こう側に居る人達は全員第1437世界と書かれています。
えっ、騎士レベル107!?」
「ああ、ということはこちら側は第1438世界になるのかな?
いや、エレベーターに触るまでは確定しないとか?
まあいいや、全員倒すけど一番弱い人だけ連れて帰るから教えて」
扉の向こう側、そこには冒険者みたいな風貌の人が16人ほど待機しており、全員扉の方を注目しているってことは警戒していたってことだね。中には強力な魔法攻撃の準備をしていた人もいるし、中々に殺意が高い。
間違いなく、何も警戒せずに扉を潜り抜けたら蜂の巣にされていたね。というかむしろこっちに突っ込んで来る人とかもいたのかな?ただ、今は全員時間停止により固まっているからこちら側から攻撃し放題だ。とりあえず危険性の高い人から順番に殺していく。
……よく考えたらこれが人生で初めての人殺しなんだけど、完全に敵対ムードだったしこいつらが100階を攻略出来なかった要因なんだから容赦なんてしてられない。エレーナさんの鑑定で、1人だけ初級職の戦士でレベルも70代の人が居たのでこの人だけ身包み剥がして拉致ろう。
一通り処理が終わって、時間停止を解除するけど残りMPは260程度。結構危ない水準になったけど、直後に5レべほどレベルが上がったのでたぶん15人ほど殺した経験値が入った。
「……何か、あったか?」
「扉の向こうに第1437世界の住民が居てこっちを狙って来ていたから1人を除いて全員殺したよ」
「おま、それ大丈夫なのかよ!?」
「……いえ、それがたぶん正解ね。
カリンが処理しなかったら私達が全滅していたでしょうし」
改めて扉を潜り、血の絨毯を突き進むといつものように中央にはエレベーターがある。……反対側にも扉があって、そこから第1437世界に入れるのかな?
「これエレベーターで帰って良いよね?」
「反対側の扉を覗くのも手ではあると思うけど、一旦エレベーター使って帰る方が良さそうね」
とりあえず中央にあるエレベーターに乗り込もうとして、開閉ボタンを押すとエレベーターが光り輝く。それと同時に例の男か女か分からない音声が聞こえてくる。
『おめでとうございます。あなた達の世界は第1438世界と登録されました。同時に、第1437世界との接続が確定します』
『これより30分間、第1438世界に説明が行われ、その後24時間に渡るアップデートが行われた後、互いの世界の人間は相互に行き来出来るようになります』
『まずは第1438世界の住民のレベルアップ上限を100レべから200レべまで解放します』
『ただ今、第1439世界が登録されました。一時的に説明を中断します。再開は30秒後です』
……何というか、予想はしていたけど自分達がクリアしたそのあとすぐに第1439世界が登録されるってことは無数に世界があって、100階をクリアした順番に番号を割り振っているということかな。
つまりは自分達の前に1437個もの世界が100階をクリアしていて、どんどん次の階層に行っているということで……これ相当出遅れてそうだね。今のトップって、何階まで攻略しているんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます