第22話 12階
塔の街にやって来てから5日目。1日の休養を取って体調も万全になったため、今日は塔の街の12階で金策を行う。
この階層で出てくるのはスライムなんだけど、自分からするとステータスは低めでわりと弱い。ただ、このスライムも仲間を呼ぶから戦闘時に放っておくと数がどんどん増えるし、スライム同士が合体して強くなることもあるらしい。
ちなみに合体したら12レべのスライムは16レべになるらしいよ。それでも弱いけど、もう1回合体して20レべとかになってくるとステータスは高くなってくる。調子に乗ってると自滅しそうな階層だ。
そしてこの階層一番の目玉は、黄金のスライム。これを倒せば大量の金が手に入るため、高値で買い取られる。そのお値段500万円。……初代王様が金を大量生産しているから、金の値段は高いんだけど日本の時よりかは高くないんだよなあ。
重量的には2㎏か3㎏程度だろうか。遭遇するには運が必要なようだからフィルスちゃんを先頭にするけど中々見つからない。
「というわけで仲間をひたすら呼んでもらうからフィルスちゃんは適当に、エレーナさんは鑑定スキルで敵HPを見て死にかけの奴を倒していって」
「……また袋小路レベリングするんですか?
確かに進路妨害にはなってませんけど、迷惑だと思います」
「あれ?仲間を呼ぶ魔物でレベリングするのは効率的ってマニュアルに書いてあるんだけど?」
「敵を一匹に減らしてから仲間を呼ばせるんです!複数いる状態で仲間を呼ばせたら倍々ゲームで増えていきますよ!?」
仕方ないのでスライム達を袋小路までトレインして、そこで仲間を呼んでもらう。コボルトでもやったからコツを掴んだんだけど、死なない程度に痛めつけたら仲間を呼んでくれるね。
スライムの場合は、適当に壁へ蹴り飛ばすと良い感じにダメージが入ってるようで呼んでくれる。よし、パターン入った。あとはこれを繰り返すだけ。
「エレーナさんは今日中に20レべ目標だから頑張ってね。
狩人は初級職だしどんどん上がるでしょ」
「あの……まだレベル11なんですけど」
「とにかくトドメを刺しまくって。
フィルスちゃんを育てた時も、トドメ刺しまくってたら勝手に強くなったから」
エレーナさんの鑑定スキルは、鑑定士の鑑定スキルとは違ってMPを消費しない鑑定だ。どうやらちゃんとした特典ではあったようで、無制限に鑑定を使いまくることが出来る。だからこういうレベリングの時、鑑定を使いまくってHPが低い敵を狙い続けるのも大丈夫ということだね。
エレーナさんの狩人をさっさと50レべに上げて、転職もさせてみたいけどフィルスちゃんがまだ35レべだから遠いかな。本格的に転職を繰り返してレベリングするのはもうちょっと高い階層にならないと効率悪いかな。そんなことを考えてると黄金のスライムが出た。よっし!
「500まんえん!」
「……瞬間移動しました?」
「した。
逃げ足が速い上にめっちゃ硬いって聞いたけどバターだったね」
エレーナさんに鑑定させる間もなく、自分が時間停止を使って黄金のスライムを撫で斬りにする。たぶん防御力がこの階層に出て来てはおかしいレベルで硬いんだとは思うけど時間停止しておけばサクッと斬れたね。
これだけで500万円は美味しいし、魔石も普通のスライムより二回りぐらい大きい。たった600匹程度で出てくるならひたすらに仲間を呼ばせる戦術はありだね。出現率は、0.1%から0.2%ってところかな。まあこの調子だと1000匹に1匹は出てきそう。
試行回数を増やすため、極力キープするスライムの数を増やし、外れを引いたら即殺す。そんなことを繰り返していたら剣聖レベルが25レべに到達してスキル『鷹の目』を獲得。確か命中が1.5倍になるスキルだったと思うけど命中だけ上がっても意味あるのかなこのステータス。
あ、でも目が良くなった感覚があるのは超嬉しい。かなり遠くまで見渡せるし、たぶんフィルスちゃんのダーツを投げたらかなり遠くでも中心を射貫けそう。……これ狩人とかが持つべきスキルなんじゃ?
ちなみに狩人の5レべスキルは『隠れ身』で隠れる行動に補正があるっぽいんだけどこれもそんなに便利なものじゃない。狩人レベル10で取得した『弓適正』は弓のステータスを1.5倍にするものだったからかなり強そうだったけど。
「剣のステータスが上がるスキルとかないのかな」
「あの……剣士のレベル10スキルに『剣適正』があって剣のステータスを1.5倍にするそうなんですけど、持ってないんですか」
「持ってにゃい」
エレーナさんは元々冒険者を目指していただけあって、そこそこ知識が豊富だった。剣士のレベル10スキル、本来の剣聖は転職で受け継ぐっぽいんだけどないからいずれ剣士に戻ることは確定した。そこらへんボーナスで付けてくれても良かったと思うんだけど……まあ、自分で選んだ職業だし剣聖に文句はない。
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