第19話 低階層
2階をちょっと覗いた日の翌日。1階から10階までの地図は持っているため、その地図を利用して低階層をさっさと突破しようと考えたんだけど早くも6階でエレーナさんが危うくなって来た。フィルスちゃんはまだステータスが高いから何とかなっているけど、エレーナさん特にレベリングをしていないからね。狩人レベルは4だしもう敵のレベルの方が高くなっている。
「序盤の難所、かな。
……いやでも相手ゴブリンだよ?最悪ヤクザキックで何とかならない?」
「弓兵に近接戦闘させないで!?」
エレーナさんの弓矢での攻撃は、相手の回避が高くなってくると当たらない上に当たっても威力が出ないというちょっと微妙な感じになっている。一応狩人の命中は高い方なんだけど相手の回避が高いのかな。……ここでレベリングしても良いんだけど、ここでレベリングするぐらいならどっかでウルフ探す方が早い。
「エレーナさんはもうフィルスちゃんの後ろに隠れながら攻撃して。
この辺でレベリングをする気はないからさっさと10階までは行くよ」
「ええ!?10階でレベリングするんですか!?」
「いや、レベリングするならお金を稼げる12階だよ。
……12階は敵が12レべになるけど、出てくる敵が弱いから何とかなるでしょ」
エレベーターは10階にあるため、10階まではノンストップで進む予定だったんだけどゴブリンは投石もしてくるのでエレーナさんにダメージが入る。……最悪の場合、HPが0になって死ぬから10階まではもうフィルスちゃんの影に隠れさせるしかないね。
時間停止は極力使わず、遠くにいるゴブリンを見かけたら斬撃を飛ばすことで対処しながら6階を攻略。そのまま7階に行くけど今度はインプが出てくる。小さい羽根で飛んでいる小人だね。地味に槍を持っているからこの階層辺りから魔物による殺意が見え始める。
まあインプの持っている槍が石槍の時点で負けようがないというか自分とフィルスちゃんは大丈夫。問題はエレーナさんだけどちゃんとフィルスちゃんの影に隠れてるね。この調子で、12階までは待っていて欲しい。12階に着いたら金策ついでにレベリングしよう。
「12階って……スライムですよね?」
「うん。スライムの核はそれなりの値段で売れるしたまに金色のスライムが出て金がドロップするらしいからお金稼ぎに良いって」
「……私の両親が死んだ階層です」
「……スライムが大量発生したらベテランでも死ぬとは聞いたけど、そんなに危険なんだ」
地図を頼りに、7階の四隅を目指すけど連続で外れを引くとちょっと辛いね。6階の階段が右下の隅にあったから、7階の階段は左下、左上、右上の3か所のうちのどこかなんだけど時計回りに移動して左下、左上と外れを引く。うーん。これ日付が変わると同時に階段の位置が移動するらしいんだけど、その場面をちょっと見てみたいな。
「……1階毎が広いせいで10階層分を1日でクリアするのは結構難しいんだね」
「普通の冒険者なら10階層分進む場合、大体3日と聞きました」
「ちなみにエレーナさんの両親ってどこまで行ったの?」
「……49階層です」
「ああ、50階の中ボス倒せなかったんだ」
この塔は100階に、引き返すことが不可能と推測されるボスがいるけど、50階にも中ボスというかそれなりに強い魔物がいる。その魔物の名前はビッグベアー。……自分がこの塔の街へ来る前、ウルフの次に狩っていた魔物である。
まあ塔の街以外に出没するビッグベアーより、塔の50階にいるビッグベアーの方が強いらしいけどね。元居た街のビッグベアーが何レべなのかは知らないけど、塔の50階なら50レべ固定だし。……まあでも確かに大きい熊さんだから、自分も時間停止がなかったら挑むのを躊躇するぐらいには強い。
7階を突破したら、8階はリトルスネークという蛇が出てくる。毒蛇なのでこの辺からフィルスちゃんも怖がり始めるけどそんなに大量には出てこない魔物だし、たまに数十匹が絡み合って1つの大きな塊になっていることもあるけど斬撃飛ばしたら全部まとめて吹き飛ばせるので今までとあまり変わらない。
「ひぃ!?」
「おお、ダーツを蛇に当てられるのは結構凄いね。
……エレーナさん、リトルスネークの攻撃力っていくつ?」
「……レベルは8、攻撃力は26です」
「ああ……エレーナさんが噛まれたら重傷になるかもね。フィルスちゃんは、背後から敵が近づいてこないか注意しておいて。エレーナさんはもう真ん中で」
「ケホッ……了解です」
リトルスネークの毒は、HPを徐々に減らすもの。ただし流石にこの階層だと弱い毒のようで、HPがみるみるうちに減るような毒じゃないらしい。まあ自然回復分が無くなる程度かな。
8階は右上の隅から、7階の時と同じように時計回りで移動しようとして、フィルスちゃんにコイントスで時計回りか反時計回りか決めて貰うと反時計回りが出る。その通りに、まずは左上の隅を目指すと、今度は1発で階段を見つけた。これは今日中に10階へ行けるかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます