第48話 なんで。
あれから1ヶ月が経った。
まひるからは一切、連絡がない。
こちらから送っても既読すらつかない。
……ブロックされているようだ。
前にフラれた時は、まひるは俺から離れたくないと
今回のようにまひるから完全に拒否されるのは、はじめてだ。
『このまま終わってしまうのかな』
うちらはセフレという関係だったが、まひるはお互いの
そんな子に、あれだけのことを言ったのだ。
きっと、もうダメだ。
それにしても、去年の誕生日といい、誕生日の度に散々だな。
あの後、あおいには、メッセージのやり取りをやめると言った。あおいが悪い訳ではないが、今はそんな気になれない。
クズ先輩は優しい。
俺の方は、どうも仕事に身が入らない。
気づけば、あの日のことばかり考えている。
何回考えても、過去に戻れるわけではないのに。
そんな俺がミスばかりしていても、先輩はいつものような茶化すこともなく、俺を心配してくれる。
……俺はそんなに酷い顔をしているのだろうか。
周りの優しさに胸をえぐられる。
そんなある日、ほのかからメッセージが入った。
「まひるのことで話があります。お時間いただけませんか?」
なんで先輩経由じゃないんだろう、と思ったが了解する。
待ち合わせの当日になった。
土曜だが、ほのかは学校帰りだろうか。
メガネをかけて大きなバッグを持っている。
近くのカフェに入る。
向かいの席に座ると、ほのかはココアを頼んだ。
こうしてみると、やはり整った顔をしている。
輪郭はまるく、目が大きい。優しそうな顔立ちだ。
原石というのかな。磨けばどんどん綺麗になりそうだ。
胸もFカップくらいあるのではないか。
まひるより大きい。
セックスの時には、どんな顔をするのだろう。
従順で大人しそうだ。
この子なら、まひるの代わりになるんじゃないか?
先輩の彼女じゃなかったら、口説いてみても面白かったかもしれない。
……いつの間にか最悪な事を考えている自分に気づく。
ダメだ。
厚意で来てくれた人に、俺はなんて事を考えているのだ。
なんか、もう全部を壊してしまいたくなっている。昔からの悪い癖だ。
今の俺は、きっとひどい人相をしているのだろう。
飲み物が出てくると、ほのかはメガネをテーブルに置き、話し始めた。
「まひるの事ですが、最近、本当に元気がなくて。ナギさんとどんなことがあったかは、大体は聞いてます」
ほのかは、まひるとは高校が同じらしく、中学のこともある程度、知っているという。
人に知られたい内容とは思えなかったので今までは黙っていたが、先輩のアドバイスで俺に伝えることにしたらしい。
まひるが心に秘めた真相についても、知っているということだろう。
ほのかはココアを一口飲む。
「これから話すこと。きっと、ナギさんはイヤな気持ちになると思います。それでも聞きたいですか?」
……俺は頷いた。
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