第30話 ある日の待ち合わせ。
あれから稲田は何も言ってこない。
元カレの一件は、一応の解決ができたようだ。
俺は家でテレビを見ている。
どの局も、ひっきりなしに紅葉狩りの特集をしている。
テレビの中の山々は、すっかり秋色になっているなぁ。
「そろそろ、親父の命日か」
この季節になると、父のことを思い出す。
だから、まひるを誘って墓参りに行くことにした。今日は、墓参りにいって、あと、俺の実家に立ち寄る予定だ。
(階段をのぼる音)
「なぎくーん」
まひるが来た。いつものようにドアの前で俺の名前を呼んでいる。近日中に苦情がきそうだよ。合鍵を渡したのに、何故か行動が改善されない。
……あぁ、そうか。
中学の時もこんな感じだったな。
真夜が呼びにきて、家の前で呼んでたっけ。
ドアをあけると、まひるがいた。
今日のまひるは、いつもとちょっと雰囲気が違う。お墓参りということで、落ち着いた色を選んでくれたようだ。
ベージュのトレンチコートに、黒のワンピースニットをきている。
胸元はV字に開いており、襟首から膝上までのびる縄模様の網目が、まひるの美しいウエストラインを引き立てているようだった。
思えば、普段、まひるは明るめの色の服が多い。
最近、まひるのことがだんだん分かるようになってきて、服のチョイスも元気に見えるように頑張ってるのかなと思ってしまうことがある。
「いつもと雰囲気違くないか?」
すると、まひるは身体を左右に振りながら言う。
「だって、ナギ君のお父さんのお墓でしょ。失礼なことできないじゃん」
そんな健気なまひるへのタブー感で、ちょっとムラムラしてしまった。
「?」
ぽかんとしているまひるを玄関の中まで連れ込み、壁を背にさせると、左腕の掌をまひるの左横に、ドンッと突き立てた。
そして、右人差し指の腹で、まひるの顎をクイッと持ち上げる。何か言いかけているまひるの口を、キスで塞いだ。
「んっ……」
口を塞がれたまひるが、声にならない声を出す。
俺は、まひるをそのまま後ろに向けると、左手でコートとニットの裾を纏めてたくし上げた。そしてそのまま、まひるの背中が弓なりになるように、左前腕で押す。
すると、まひるは不安定になり、壁に両手をついて、ヒップを持ち上げる体勢になった。
俺はまひるのショーツを乱暴に下げると、ヒップを撫でながら耳元で意地悪な質問をする。
「なぁ、まひるデンマーは使ってるの?」
「アッ。ん、使ってな……い」
「ふーん、じゃあ、デンマーを香ってみてもいい?」
まひるは、分かりやすく取り乱す。
「ダメっ。絶対ダメ!!、ダメーッ!!」
俺はゾクゾクしてしまう。
なので、トーンを落としてなぶる様に続けた。
「使ってないなら、何してもいいだろ? ほんとは?」
「使ってます……」
頻度を聞くと、「なぎくんいないときに、毎日くらい」とのことだった。
毎日くらい、ってなんだろ。
謎の日本語だ。
それにしても、思った以上にお盛んだな。
今度、まひるがいる時に、突然家に帰ってみよう。
面白いことになりそうだ。
いや、まてよ。
毎日って……。毎日、へんな機械音と住んでないはずの女性の声がする部屋。別の意味で騒音クレームが来るかもしれない。そっちの展開は、カケラほども面白くないぞ。
こんど、1人遊びは程々にするように指導しなければ。
おれは稲田のこともあり、少し意地悪したかったのかもしれない。嫉妬を性欲に転換できている自分に安心した。
おれは一通り満足したので、家を出る支度を始めた。すると、まひるが俺の腕に抱きついてくる。
「なぎくん、ね? 頂戴……」
俺は額に指をつけ、迷うフリをする。
そして、トドメの質問をすることにした。
「1人でするときは、何を想像してるの?」
すると、まひるは真っ赤になる。
さっきの会話以上に恥ずかしいことなど、世には存在しない気がするのだが。
まひるは、口を尖らせて、モジモジしながら言った。
「ナギくんの。脱いだ服とか。匂い嗅いでしてる……」
いやぁ、ベストアンサーきたわ。
なんだかマニアックな愛を感じるぞ。
ってことで、俺は大満足をして本格的に出発することにした。
まひるは放置だ。
すると、まひるは「ひどいよ〜、なぎくん。ひどい!」と言いながら、風船のように頬を膨らませて、後をついてくるのだった。
ちなみに……、我が家のサキュバスがこれで満足する訳がなく、サービスエリアで馬乗りになられて蹂躙されました(チーン)
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