第30話 決戦2
黄泉活用デッキに黄泉対策するやつはクズだって言っただろ!!!
俺の魂の叫びも虚しく、『キリン』を素材にしたことで『タルタロス』は活性化状態で召喚されている。
「その驕り、叩きのめしてくれるわ! 2体で攻撃!」
『ギルタブルル』と『タルタロス』が攻撃してくる。『ギルタブルル』は権能を持たない戦闘力の60の神。『タルタロス』は脅威の戦闘力110の上に、さらに権能が発動する。
「我が父の権能『原初の混沌』が発動! 数は……『3』じゃ! もちろん貴様にくれてやるわ」
順番に処理していこう。『タルタロス』は権能によって、攻撃するたび6面ダイスの出目×10のダメージを飛ばしてくる。これはライフで受けるしかない。ライフは110に。
そして『タルタロス』の攻撃。戦闘力110。こいつは特性【地走】を持っている。【浮遊】を持つ神では防御できない。【賦活】を持つため攻撃しても不活性化しない。喰らうと死ぬ。
「ライフを30消費し、【瞬間】を持つ神『ぬりかべ』を召喚。『タルタロス』をブロック」
『ぬりかべ』は対雷特攻と言うべき神だが、【瞬間】を持つ戦闘力70の防御型の神として見ても強力だ。今回はそのまま殴り負けてしまうが……。
「そして、再び【瞬間】を持つ神、『インキュバス』を召喚。権能『クイックサモン』によって召喚時に手札を1枚黄泉へ送る。『ギルタブルル』を防御」
そして権能『めくるめく夜』によって、デッキの上から6枚が黄泉へ送られる。これで見事に手札を使い切った上、ダメージを最低限まで抑え込めた。
しかし、『タルタロス』をなんとかしないとな……。
「チッ! 小賢しいのも人の特権か……。ターン終了じゃ」
なんとか俺の2ターン目がやってきた。
開始フェイズに入ると『四足歩行1型機神』が活性化する。俺のライフは50。エキドナのライフは150。結構ヤバいのでは……?
俺は大雨の中、渋々と棒キャンディーを取り出すと、口に放り込む。空袋はポケットへ。気合を入れて、カードを6枚引く。
うむむ……とりあえずなんとかなりそうか? 勝ちまでは持っていけないが……。
「メインフェイズだ。俺は冥のソウルを40生み出し、『ニンフ』『カグツチ』を召喚。この2神の権能で秩序と天のソウルを30ずつ生み出す。余ったソウルと『四足歩行1型機神』のソウルも合わせて『黙示録のラッパ吹き』を3体合体で召喚する」
いつメンには本当にいつも助けられている。それにしてもまさか全くアライメントの合わない神を普通に手札から召喚することになるとは……。『イザナミ』と組み合わせて使おうと思っていたのに! おのれ『タルタロス』!
「素直に合体出来るとは思っておらんよな? 『タルタロス』で魔法『アースバレット』を発動。対象は『ニンフ』じゃ!」
『アースバレット』は10コスト【瞬間】30ダメージ魔法シリーズの地属性バージョン。もちろんエキドナのデッキにも全種類大量に入っていることだろう。
「ライフを10消費し、神器『雨垂れ石』を召喚。そのダメージを30分軽減する」
「……続けるがよい」
魔法を発動した『タルタロス』は不活性化される。いや、危ないところだった。毎回ギリギリの戦いで胃が痛いんだが……。今の合体阻止されてたら普通に負けてたな!?
「継承された権能『泉での出会い』によって冥のソウルを30生み出す。そしてコストとして手札を2枚黄泉へ送り『黙示録のラッパ吹き』の権能『終末』を発動」
『黙示録のラッパ吹き』は大いなるバビロンでお
しかし権能『終末』は場に居るすべての神を黄泉へ送る。敵も味方も自分も全部だ。顔に似合わずめちゃくちゃである。
天使がラッパを一吹きすると、闇を引き裂き、そこに光があった。光あれした結果、『ギルタブルル』『タルタロス』『黙示録のラッパ吹き』が吹き飛ばされた。その後にはキラキラと光る羽が降り注ぐ。俺は夜空に『黙示録のラッパ吹き』の笑顔を幻視した。無茶しやがって……!
「なっ! 我が父!」
すべてを吹き飛ばされたエキドナが目を見開いて驚く。一瞬こちらを鬼気迫る表情で睨んだかと思うと、すぐに落ち着きを取り戻した。
「ふーっ……妾の勝利は揺るぎない。すべてが終わった後、貴様の
素材にしていた『四足歩行1型機神』の権能『怨嗟の声』によりエキドナに10点のダメージが飛ぶが、それもまたエキドナのデッキから2枚のカードを虚無へ送ることしか出来ない。
「儚いのう、人の子」
何やら勝ち誇っているが、ついに、やっと、ようやく『タルタロス』が居なくなったことで、黄泉を活用することが出来る。ただまだパーツが足りないな……。
「……俺は黄泉の『ニンフ』と『アスクレピオス』を素材に指定し、冥のソウル20を使い主神『イザナミ』を召喚する!」
俺の目の前に黒い渦が現れると、その中から青い炎の塊が2つ飛び出した。俺の隣に居た半透明の『イザナミ』に吸収される。
黒い不吉なオーラを漂わせながら、俺の主神『イザナミ』が降臨した。
「なんじゃその神は? そんなのでどうやって妾を倒すのじゃ?」
「そのうちわかるさ。まずアクレピオスから継承した権能『神を凌ぐ医術』によって、俺はライフを70回復する。110だな」
『ニンフ』の権能『泉での出会い』によってさらにソウルが生まれるが、今のところ使い道がない。使わずにターンを終了してしまおう。
「面倒なやつじゃのう……」
こちらを見ながらヤレヤレしているエキドナ。まだ『イザナミ』の恐ろしさに気がついていないのだろうか? 素材となった『アクレイピオス』は2体合体神なんだぞ? 黄泉の合体神を素材に合体出来るんだぞ? いいんだな?
「驕るのは神の特権か? ターン終了だ」
「フンッ! 妾のターンじゃ」
俺のライフは110まで回復。手札は1枚。場には『イザナミ』。
対するエキドナのライフは150。そして手札は補充され、6枚になった。
「妾は『ケートス』と『スキュラ』を召喚! 我が子らが駆けつけてきてくれおったわ!」
エキドナは混沌のソウルを20生み出し、まずは『ケートス』を召喚した。『ケートス』もエキドナの子であり、海馬といった見た目をしている。鯨と馬とアシカを混ぜて2で割ったような感じか? なお、くじら座のモデルもある。
権能は後ろ脚がヒレの癖に『海獣の足音』。属性が3アライメント以上の合体神の素材に指定すると即素材に出来て、合体後も活性化させる効果がある。さらに召喚時には2アライメントのソウルを10ずつ生み出す。
そしてライフを30消費し、続いて『スキュラ』を召喚した。
『スキュラ』は上半身は美女だが、下半身は足が12本あり、さらになぜか犬が生えているという怪物だ。タコ娘のような姿で描かれることが多く、ソウルバインダーでもその姿で描かれる。
権能は先ほどの『ケートス』と同じ『海獣の足音』。被ってるな? しかしもう1つの権能『海神の恋心』は合体神の召喚コストのアライメント1つ毎に10減少させる効果がある。4アライメントなら合計-40になる。なお原典のスキュラさんは死ぬほどモテモテだったようだ。
「うーむ、どうしたものか……」
残った手札を見ながら唸るエキドナ。その声に答えるかのように、隣に居た巨大な黒い卵がドクンドクンと脈動した。
「どうした愛しい我が子や。……そうか……そうよな。お前もやつの腸を食いたかろう! 神器『大スフィンクス像』を使用するぞ。手札を2枚黄泉へ送り、カードを2枚引く」
何かを卵と語り合ったエキドナが手札を2枚交換する。このパターン……アニメだとピンチになるやつじゃない?
「よし! ライフを20消費し、『ケルピー』を召喚!」
タコ女の横に下半身がヒレの馬が召喚される。またか! 確かヨーロッパに伝わる水の中に棲む人喰い馬だったか?
『ケルピー』は『水無効』の神の素材にすぐなれる権能『水妖の鱗』を持つ。
「覚悟しやれ人の子! おいで!『ヒュドラ』!」
素材の神々が炎になり黒い卵に吸い込まれると、卵に
その誕生を祝福するように落雷が響き、それに応えるように『ヒュドラ』は咆哮をあげる。雨足が強くなった。
9本の首を持つ巨大な邪竜からは猛毒の瘴気が溢れだしており、『イザナミ』が不快そうに
「さぁお仕置きの時間じゃ、人の子」
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◇ヒュドラ 天20 冥20 秩序20 混沌20 中立20
3体合体
〇9つの首【常時】
この神に火属性以外のダメージが与えられるか、敵の魔法や権能によって黄泉へ送られるたび、それを無効化し、代わりにこの神の戦闘力を+10する(永続・累積)
〇猛毒の雷嵐【常時】
この神が存在する間、すべての敵の神の戦闘力はー20される。
(この効果で神の戦闘力が0以下になる場合、神は黄泉へ送られる)
戦闘力120 無効 水光闇 弱点 火
「『ソウルバインダー・ゼロ』のラストでエキドナが召喚した主神。
初の4アライメント神として破格の性能を持つ。
1つ目の権能のせいで正攻法ではまず倒せず、さらに戦闘力が上がっていく。
2つ目の権能はシンプルながら強力。戦闘力の低いノーマル神を素材にすることすら困難になる。
召喚するまでが大変なので、ヒュドラの召喚をサポートするカードを多めに入れるとよいだろう。天敵はアネテラス」
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