第24話 教会でのバトル2
「征服してやろう! 召喚『大いなるバビロン』!」
マリアはライフを80まで減らしながら、合体召喚を行う。素材は『ネビロス』『ニンフ』『イウウァルト』の3体だ。
これも合体阻止することは出来ない。今の俺の手札に攻撃魔法はないのだ……。
3体の神が再び小さな珠に圧縮され、それはマリアと隣に居た黙示録の獣に吸収される。まるでインクを流し込むように希薄だった獣の存在感が増す。シスター服だったマリアの服が溶けるように……そして絶妙に見えない感じで変化していく。クソッマジで見えない!
「ひれ伏せ! これが余の真の姿!」
手に金の杯を持ち煽情的な赤いドレスに
「さぁ、我が権能を受けよ!」
獣が吠える。
『大いなるバビロン』は3体合体神。合体神が合体神の素材になった時は、合体神の素材からも素材を選ぶことが出来る。今回選ばれたのは『ネビロス』『インキュバス』『バイコーン』だ。
すなわち、デッキの上から16枚黄泉へ送り、10コスト以下の魔法を回収。そして10コスト以下のノーマル神を黄泉から場に戻し、大いなるバビロンの権能『皇帝の権威』によって敵の神のコントロールを奪うのだ。やりすぎじゃないか???
これでマリアの黄泉は38枚。そこから『大いなるバビロン』の2つ目の権能『汚れた金の杯』により黄泉を10枚虚無へ堕とすごとに、秩序か混沌のソウルが70出る。つまり現在210ソウル出る。出てしまうのだ。
ところで先ほどマリアが『ネビロス』の権能で回収した魔法『黙示録の裁き』を見てみようじゃないか。
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◇黙示録の裁き 秩序10
魔法 光
【追加コスト】好きな量の秩序のソウルを支払う
対象に追加コストで支払った量のソウルに等しいダメージ。
支払った追加コストの秩序のソウルが100以上だった場合、この魔法は対象が変更出来ず、軽減、無効化されない。
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10コスト以下の魔法だからってこういうの気軽に黄泉から回収されると困るんだよね……。幸いにも『大いなるバビロン』は不活性化中。魔法を発動出来る神は居ないのは不幸中のさいわ……
「喜べ! 余の権能により『バフォメット』を余の
オイオイオイ 死ぬわ俺
不活性化状態でも魔法を発動出来るバフォメットを奪われるのは非常にまずい。って言うか負ける!!! 友情コンボじゃん!?
なお友情コンボとは自分と相手のカードが思いがけずコンボしてしまうカードゲーム用語だぞ!
「そうはいかん。ライフを10消費し、『バフォメット』で魔法『蜃気楼』を発動! 『バフォメット』を対象に出来なくする」
追加コストとして手札を1枚黄泉へ送ると、『バフォメット』の周りに
「では黄泉を10枚虚無へ堕とし秩序のソウルを70生み出す。そのうち40を使い、神器『ユダの
魔法を発動しようとしていた『バフォメット』に茨が絡みつく。
「ライフを20消費し、神器『ヘカトスの矢』! それを阻止する!」
茨の根本に『ヘカトスの矢』が刺さり、『ユダの茨』は光の粒子となって礼拝堂に散っていく。
「……なかなか余を楽しませてくれるではないか。では魔法『ライトニングセイバー』を回収し、黄泉よりノーマル神『シェード』を場に戻す。残ったソウルは消滅してしまうがターン終了だ」
あ、あっっっっぶね~~~~! しかし、なんとか乗り切った。乗り切ったぞ! 背中に嫌な汗かいたわ……。
「では俺のターンだ」
俺は開始フェイズに移行する。まず『バフォメット』と『ポルターガイスト』を活性化。
現在のライフは150。マリアのライフは80まで減っており、手札は4枚。しかしそのうち2枚は割れている。『黙示録の裁き』と『ライトニングセイバー』だ。
マリアの場に魔法を発動出来る神は居ない。実質手札は2枚と言ったところか。チャンスだが、『ヘカトスの矢』を切ってしまったのは痛いな……。
俺はカードを引く前に胸ポケットから棒付きの飴を取り出し、口に放り込む。袋はもちろんポケットへ。なんか飴咥えると主人公補正が掛かる気がするんだよな。多分気のせいだけど。
俺は手札が6枚になるように4枚引く。……これならいけるか……?
「メインフェイズだ。天のソウル20を生み出し、『キリン』を召喚。さらにバフォメットから冥40を生み出し、そのうち冥30を消費、追加でライフから10ソウル。『素体5型機神』を召喚!」
『キリン』はお酒で有名なあの麒麟だ。実はここに来る前に大宰府天満宮をお参りしたのだが、でっかいキリンの銅像が居てびっくりした。そのお陰で繋がりが出来て解禁されたカードだ。本当にずっと欲しかったんだ。ありがとう、道真公……。
権能は『
そして『素体5型機神』は瓶詰にされた脳のような、素材にすること以外使い道がない機神だ。攻撃、防御、魔法の発動。ソウルを生み出すことも、機神以外の素材になることも出来ない、機神専用の素材だ。コストは重めだが、権能『素材最適化【機神】』を持つため即機神の素材に出来てありがたい。誰の脳みそかは考えないことにしよう……。
「素材は『キリン』『ポルターガイスト』『素体5型機神』! 俺は残りの天のソウルを20生み出し、『ポルターガイスト』と『バフォメット』の冥のソウル20とライフから中立のソウルを10生み出す! 出番だ!『天使型機神』!」
素材となった3体の足元に『バフォメット』の五芒星が現れ、素材たちが融合していくと、俺の横に静かに立っていた白い鎧姿の機神に吸い込まれていく。
「ほお、なかなかやるではないか。もっと余を楽しませよ!」
俺が主神『天使型機神』を召喚しても、マリアはいまだ余裕である。……これは何かあるな? ちょうどいい。
「まず天使型機神は権能『科学的祝福』を持つ。敵の黄泉のカードは全て虚無へと堕ちる」
マリアのそばで渦巻いていた黄泉がジュッと音を立てて蒸発するように消滅した。
「なっ!? ローマの富が! ぐぬぅっ……ウァールスの如き男よ!」
いちいち例えが難しいからもうちょっとわかりやすく言ってくれません?
「さらに召喚された時、『素体5型機神』から継承した権能『瓶詰めの精神感応体』が発動!」
権能『瓶詰めの精神感応体』は素材となった時、敵バインダーの手札を見て、その中から1枚黄泉へ送ることが出来る。さぁ、見せてもらおうか。
「よ、余がこのような辱めを受けるとは……やはりお前は余にとってのシャープールであったか……」
理解出来ない罵倒を受けながらマリアの手元から飛んできた4枚の手札を見る。まずはわかっていた『ライトニングセイバー』と『黙示録の裁き』。そして魔法『
魔法『
そして問題の『三日月の護符』である。これを握っていたから余裕があったんだなこいつ……!
神器『三日月の護符』は【瞬間】を持ち、次にバインダーが受けるダメージを反射する消耗品だ。俺が以前使っていた神器『雨垂れ石』なんて3回使わないと反射しないのに……。これがレアリティの差か……。
マリアが顔に出やすいタイプで助かったな。何も考えずに殴りかかってたら反射されたダメージで『天使型機神』が自滅していたところだ。前方確認は大事!
ちなみに前方確認とは、カードゲーム用語で大きな行動を起こす前に相手の手札を確認することを言うぞ!
こんなの『三日月の護符』一択である。俺がそのカードに手を伸ばそうとすると……。
「と、ところで……相談なのだがな?」
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◇天使型機神 天20 冥20 中立10
3体合体 【浮遊】
〇科学的祝福【常時】
この神が場にいる間、敵の黄泉にあるカードを全て虚無へ送る。
〇壊神剣【瞬間】
コスト:デッキの上から1枚虚無へ送る
この神はターン終了時まで、戦闘力+40され【貫通】を持つ。(ターン中1回)
戦闘力70 無効 光闇 弱点 ー
「4期アニメと同時に発表され、新パック発売前に雑誌の付録として先行配布された対抗アライメントの顔見せカード。
天使とロボとヒーローを掛け合わせたような男心をくすぐる見た目をしている。
性能は黄泉利用対策も出来て、戦闘力もかなり高い。いわゆる歌って踊れる浮遊アタッカー。
機神の余りの人気のなさにテコ入れとして作られたのではないかと噂されている」
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【マリアのセリフ雑解説】
ポエニ:カルタゴ人のこと
ハスドルバル:カルタゴ最後の将軍 ローマにカルタゴが滅ぼされたあとローマに連行されて晒し者にされたらしい
アウグスタ:アウグストゥス(皇帝の尊称)の女性形 女性貴族に用いられる敬称
サーサーン:サーサーン朝ペルシア ローマ帝国をボコった
ウァールス:ゲルマン人にボロ負けして、アウグストゥス(皇帝)に「なくした軍隊返せ!」って言われたかわいそうなローマの将軍
シャープール:シャープール1世 戦争でローマに勝って皇帝を捕虜にしたりしたサーサーン朝の王
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