エピローグ
「ん……ここは」
目を覚ました誠也の視界に映ったのは、知らない天井。
そして、
「誠くん!」
幼馴染の聖火の顔。
「聖ちゃん……」
「よか……った……目が覚めて」
瞳からポロポロと涙を零しながら、聖火は笑みを浮かべた。
「もう……目覚めないんじゃないかと……」
「……ここは?」
「病院。……誠くん、三日も寝てたんだよ」
「そうか……街は?」
「無事だよ。誠くんのおかげで」
「そっか……守れたのか。よかった」
ホッと安堵の息を吐いた誠也。
そんな彼の頭を聖火は手刀で殴った。
「イッタ!ちょ……聖ちゃん?」
「よくない」
「え?」
「ぜんぜん…よくない!誠くん、ボロボロになって……死んじゃうんじゃないのかって思って……すっごい心配した」
「……すまん」
「教えて。誠くんは知ってたんだよね?今回のこと」
「……ああ」
誠也は否定するのでもなく、誤魔化すでもなく……正直に答えた。
「俺は……知っていた。モンスターの大群が街を襲うのを」
「どうして……それを知っていたの?」
「……言っても信じられない話だぞ?」
「信じるよ。誠くんが言ったこと」
真剣な表情を浮かべて、聖火は真っすぐな目で誠也の目を見た。
「……分かった。全部……話す」
それから誠也は全て話した。
自分は全てを失ったこと。
死んでタイムリープしたこと。
皆が死ぬ未来を変えるために強くなったこと。
そして……命を懸けてでも全てを救おうとしたこと。
「これが……すべてだ」
「……どうして…どうして……そこまでしてくれるの?なんで私を……助けようとしたの?友達だから」
「そんなの決まっているだろう」
誠也は微笑みながら、告げた。
「聖ちゃんのことが……好きなんだ。異性として」
「!」
「こんな陰キャラの俺と仲良くしてくれるお前が好きだ。幸せになってほしかった。好きな人と恋をして、笑顔でいてほしかったんだ」
それは誠也の偽りのない言葉。
好きな人には生きてほしい。幸せになってほしい。愛する人と……ともに笑っていてほしい。
それが……誠也の願いだった。
「聖ちゃん……好きな人と一緒になって……幸せになってくれ」
「……バカ」
「え?」
「バカバカバカ!!誠くんのバカ!!」
「えぇ!!なんで怒るの?なんか悪いことを言っ……!」
誠也が喋っている時、彼の唇に聖火は自分の唇を重ねた。
突然の事に……誠也は目を見開く。
聖火は唇をゆっくりと離し、誠也を見つめる。
「気付いてなかったの?私の好きな人は……誠くんだよ」
「……え?冗談?ドッキリ?」
「キスしたのに分からないの?」
「いや……ごめん。ただビックリして……え?マジ?」
「マジだよ」
「そっか……マジか。ハハハ」
誠也は頬を赤く染める。
「なんというか……めちゃくちゃ嬉しいな」
「私もだよ。誠くん」
「……」
「……」
顔を赤く染めながら、見つめ合う二人。
「えっと……誠くん」
「な、なに?」
「好きです……私の……彼氏になってください」
「……俺でいいのか?こんな陰キャラで」
「誠くんがいいの」
「そっか……俺も好きです。聖ちゃん……俺の彼女になってください」
「はい」
誠也と聖火は手を繋ぐ。
「……絶対に幸せにする」
「私も……誠くんを幸せにする」
二人はゆっくりと唇を近づけ、キスをする。
とても甘く……そして幸せな味を彼らは感じた。
「えへへへ……嬉しいな」
「俺も…うれ……し……」
「誠くん?」
「ごめん……なんか眠く」
「寝てていいよ」
「ああ……すまな…い」
誠也はゆっくりと目を閉じ、眠りについた。
<><><><>
「寝ちゃった」
眠りについた誠也の顔を見て、聖火は微笑む。
「……ねぇ、誠くん。私の夢って何か知ってる?私の夢はね―――」
「誠くんを私だけのものにすることだよ」
瞳を黒く染めながら、彼女は誠也の耳で囁く。
「私ね。誠くんのことが大大大好きで誰にも渡したくないんだ。誠くんの血も汗も尿も髪もぜ~んぶ私だけのもの。……誠くん知ってる?誠くんって女の子たちにモテてたんだよ。だから私……誠くんに近付こうとした女の子たちは脅迫したりして転校させたの。もしくは心を壊して自殺に追い込んだんだ~……私が守護騎士になりたいのは権力が欲しいからなんだよ。戦場で成果を上げればお金だけじゃなく権力や地位も手に入る。その権力と地位を使って誠くんを逃げられないようにする予定だったけど……フフフ。まさかこんなに早く恋人同士になるなんて思ってもみなかった」
口元を三日月に歪めて、聖火は誠也の頬を撫でる。
「愛してるよ……誠くん♡」
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リトライ~過去に戻った鍛治師は幼馴染みと家族を死なせないため、めちゃくちゃ強くなります!~ @gurenn1950
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