幼馴染みにプレゼント
翌日。誠也はスマホをいじりながら、聖火の家の前で待っていた。
「遅いな聖ちゃん。もう約束の時間は過ぎているんだが」
「おまたせ~!」
「ようやく来たか。遅かったじゃん。いったいどうし……」
声が聞こえた方向に視線を向けた誠也は目を大きく見開く。
今、彼の瞳に映っているのは白いワンピース姿のエルフの少女だった。
「ど……どうしたのその格好?」
「えへへへ。実はちょっとオシャレしてみたんだけど……どうかな?」
「とても似合ってる」
「本当!嬉しいな」
花が咲いたように笑顔を浮かべる聖火。
そんな彼女を見て、誠也は一瞬ドキッとした。
「さ、行こうか」
「え?どこに?」
「色々!」
聖火は誠也の手を引っ張る。
「さぁ、とことん遊ぼう!」
それから誠也と聖火はとにかく遊んだ。
商店街で買い物。
映画館に行って映画鑑賞。
カフェで昼食。
まるでデートのようなことをしながら、誠也と聖火は楽しんだ。
「ん~遊んだ~!」
「そうだな」
空が夕陽に染まるまで遊んだ誠也と聖火は家に向かって歩いていた。
「今日は楽しかったね」
「ああ、そうだな」
「……ねぇ、誠くん」
「なに?」
「今…いったい何を隠しているの?」
聖火のその言葉を聞いて、誠也は足を止める。
「……なんのことかな?」
「とぼけないでよ。小さい頃から何かを必死にやってるでしょう?時々、怪我もしてくるし」
「……本当……勘がいいなお前」
聖火は昔から勘がいい。特に誠也に関係するのは。
隠し事しても何故かバレてしまう。
「ねぇ……本当に何をしてるの?」
「…すまんが言えない。言ったとしてもお前は信じらない」
「信じるよ」
「!」
聖火は真っすぐな目で誠也を見つめた。
「誠くんが言ったこと……私は信じるよ。例え誰も信じられないことだとしても」
「聖ちゃん」
「私は誠くんの力になりたい。助けになりたいの」
「……本当、お前は変わらないな」
聖火は誰よりも誠也のことを信じていた。
タイムリープ前もそう。誠也が困っていたら助け、力になっていた。
とても友達想いで……優しいエルフの女の子。
それが焔聖火。
「ありがとう。でも……すまん。これは一人でやらなくちゃ、いけないことなんだ」
「そう……なの?」
「ああ」
「……分かった。でももし手伝えることがあったら言ってね」
「ああ。そうするよ……あ、そうだ。今日、ちょっと家に来てくれるか?」
<><><><>
誠也は聖火と一緒に家の近くにある工房にやってきた。
「これを聖ちゃんに渡したかったんだ」
誠也は机の上に置いていた長い箱を、聖火に渡す。
「これは?」
「開けてみて」
聖火は箱の蓋を開けた。
箱の中を見て、彼女は目を見開く。
「これって……」
箱の中に入っていたのは、ルビーの如く赤い槍だった。
「お前のために作った物だ。スキル【槍術師】と【火炎術師】を持つ聖ちゃんにピッタリの槍。名前は《烈火》だ」
「綺麗……くれるの?」
「ああ。守護騎士になる聖ちゃんの役に立ちたくて作った。その《烈火》は【槍術師】と【火炎術師】の性能を上げてくれる」
「すごい……!武具としても一級品だね!」
「まぁ……一応な」
《烈火》は強力なダンジョンモンスターの素材で作られている。
そこらへんのモンスターなら一撃で倒すことができる性能を持つ。
(タイムリープ前の俺では作ることができなかったが、今の俺なら一級品の武具や防具を作れる)
両親の教育のおかげで誠也はタイムリープ前の自分よりも強力なものを作れるようになった。
「ありがとう……大切に使うよ」
嬉しそうに笑みを浮かべながら、聖火は槍をギュッと抱き締めた。
そんな彼女を見て、誠也は微笑みを浮かべる。
「聖ちゃん」
「なに?」
「夢……叶えてね。今度こそ」
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