ハンター登録
一月三十一日。午前十時三十分。
誠也は東京の渋谷にやってきていた。
「ここがハンター協会か」
誠也の視線の先にあるのは、大きなビル。
そのビルはハンター協会本部。
モンスター討伐や薬草採取などの依頼を受ける傭兵―――ハンター。
そのハンターを管理する組織の建物にやってきていた。
今日、誠也がハンター協会にやってきた理由はただ一つ。
ハンターになりに来たのだ。
「さて……行くか」
誠也は建物の中に入った。
ビルの中には剣や弓などの武具や防具を装備した男性や女性が多くいた。
(流石はハンター協会。ハンターが多いな)
そう思いながら、誠也は受付に向かった。
「すいません」
「はい。今日は何の御用でしょうか?」
誠也が声を掛けると、受付嬢は笑顔を浮かべて接客を始めた。
「ハンター登録しに来ました」
「お名前と年齢を教えてくれませんか?」
「創造誠也、十五歳」
「創造誠也様ですね。ではあちらの椅子に座ってお待ちください」
「分かりました」
誠也は椅子に座って、スマホをいじりながら待つこと十分。
スーツ姿の女性が誠也に近付いてきた。
「君が誠也君かな?」
「はい。そうです」
「私はななみ。君がハンターに相応しいか審査する者だ」
「よろしくお願いします」
「ああ。さて早速、試験をしよう。こっちだ」
ななみは誠也を連れて、移動した。
「君、十五歳なんだって?普通の人は十八歳からハンター試験を受けるのに」
ハンターは十五歳からなれる職業。だが基本はハンター専門学校で数年間勉強してからハンターになるものだ。
なによりハンターは命懸け。
誰もがやりたがらない職業。
「どうしても早くハンターになりたくて」
「そうなんだ。でも大丈夫?ハンター試験は大人でも受かるのが難しいんだよ?」
「分かっています。でも早くハンターになりたいんです」
「そっか……と、着いたよ。ここが試験場だ」
案内されたのはとても広く、白い部屋。
壁側のほうには色々な武具が置かれている。
「武具は好きなのを選んで。準備できたら教えて」
「はい」
誠也は迷わず鉄でできた円状の盾と鉄の戦斧を装備した。
「準備できました」
「へぇ~盾と斧か……普通の人は剣を選ぶのに」
「これが一番、俺に合ってるんで」
「そうなんだ……じゃあ試験を開始するよ。〈
ななみはスキルを発動。
部屋の中心に黒い魔法陣が出現し、そこから緑色の肌をした人型モンスター、ゴブリンが五体……現れた。
「全てのゴブリンを倒せたら、試験は合格」
「分かりました」
「では……始め」
ななみが試験開始の合図を告げた。
その直後、誠也は電光石火の速さで走り出し、戦斧と盾を振るう。
斧でゴブリンの首を斬り飛ばし、盾でゴブリンの頭を叩き潰す。
たった六秒でゴブリン五体を倒した誠也に、ななみは驚愕する。
「うそ……一瞬で」
今まで多くのハンターたちを見てきたななみには分かる。
誠也は間違いなく、一流のハンター並みの実力があると。
(LVは40……いや50はある。でもこんな子供が!?)
誠也の歳ぐらいの子供は、高くてもLVは13。
LVを上限値まで上げた者は世界でも数人しかいない。
そしてその数人は、何十年もモンスターを狩りまくった実力者のみ。
「ね、ねぇ君。LVってもしかして……50?」
「え~と、はい。一応……。そんな事より試験は合格でしょうか?」
「え?あ、うん。すぐにハンター証明カードを作るよ」
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