第158話 攻撃しなきゃ始まらない

「間に合ったようじゃの」

「オア?」

:!?!?

:だれ?

:先生! リッチ君がまた浮気してます!

:なにぃぃぃいいいぃぃいいいいいい!?!?

:詩織ちゃん、レファたん、ひめのんとゆめのんのお母さん、私に加えて、そんな野生系美人さんまで!?

:なんでお前入ってんだよwww

:野生というか自然系?

:あぁわかる。丘陵地帯で両手広げて空見ながら歌ってそう

:とりあえず騒がずに見守ろか

:んだんだ


そっちかよ。いや予想外だよ。

白いお守が光ったからてっきり……。


「えっと、別の世界……俺の前世の世界で世話になった神様だな。助けに来てくれたんだろう」

助かるのは間違いない。力はいくらあってもいい上に、元デバウラーという変態女神様だ。

しかも異世界と何がしかのつながりを作ったのか、軍団系スキルのバフが上がった。

 

:おぉぉぉおおぉぉおおおお

:女神が助けに来る色男・リッチ

:先生! きっとリッチ君はエロいことしました!

:wwwwwww


「いや、襲われただけだし」

:キェェエエェェエエエエエエエ

:色男め。あんな美女神に襲われただとぉぉおお!?

:しおりんにレファたんにお母さんに美女神に私だと!?!?

:君もこりないねぇ……


どうしろって言うんだよ。


「くっくっく。いいね、餌が来たよ」

「誰が餌だ!」

一言でブチ切れたオアがやつと同じような攻撃を放って全て相殺した。


「なに???」

さすが元同族だ。デバウラーは知らないから驚いたんだろうけど、白き神になったにもかかわらずデバウラーの攻撃を放っているオアにもびっくりだ。むしろだからこそゲシャを消しまくってたのかな?


そこからは互角の戦いが展開される。

さすがに自信満々で『間に合った』とか言うだけあって、オアは強い。

もちろんたとえ多少弱くても助けに来てくれたその気持ちが嬉しいけど、強いのにこしたことはない。


何万年、何十万年と戦い続けて来ただけのことはあるな。

互角の力だと思ってみていればよくわかる。戦闘スキルに雲泥の差がある。


魔法の使い方が美味い。そしてなんで普通にデバウラーを蹴り飛ばしてんだ?


「くっ、やるねぇ」

「お前はよわよわだな」

「ぐっ」


:美女神が強すぎて草

:美女神に好き放題ボコられる竜司とかご褒美じゃん

:はぁはぁしてるのかと思いきや、めっちゃ睨みつけてるけど?

:どう見ても竜司じゃないよな

:いや、あれこそが竜司さまの本当の姿なのだ!

:どうした?

:今こそ復活するのだ。栄光の八咫烏を!!!

:ないから

:湊皇一なんていうまがい物の言葉になど惑わされぬぞ! 我は信じていた。八咫烏の! 四楓院の再興だ!!!

:通報しました


「ぐぬううううううう」

「ん?」

コメント欄が遊んでいるが、そろそろ見るのやめてもいいだろうか。あとは勝手に盛り上がってくれ。


「ううううううう……ぱっ!」

「は?」

「ん?」

全身に力を入れて……いかんな。竜司の姿でやられたらうんこ踏ん張ってんのかなと思ったけど、突然すっきりした顔になったと思ったら竜司が2人になった。


「分身したじゃと?」

「デバウラーだからか?」

「「ふふふ。その通りさ」」

:分身だと!!!???

:えっ、やばくね?


当然ながらそこからは防戦一方になった。

これもう一回やられたらやばくね?

そんな思いもあるけど、考えてる余裕はない。


慌てて俺も参戦してなんとか踏ん張る。


「ふふ。まだ冷静だね。こんな状況下で足手まといを逃がすなんて」

思いっきり気付いていたよな。でも見逃してくれるならいい。戦女神と早紀……あとは皇ちゃん以外の探索者はここまで来るのに使った輸送機で離脱させた。

さっきから光り続けている白いお守が守ってくれたんだろう。


しかし、デバウラーが2体になっただけで一気に押し込まれるな。


俺はお守りを横目に、この状況を打開するために切り札の2つ目をきることを決める。


「フラン、行けるか?」

「あぁ……」

切り札は"剣"による一撃だ。今度はデバウラーへのダメージを期待して振ってもらう。


「"斬"」

効いてくれ!

頼むぞ"剣"。効かなくても効いてくれ。信じてるぞ!


「ぐはっ……」


迷宮神とデバウラーを切り裂いた力をデバウラーに叩き付けてもらう。

このために皇一も残らせたんだから効いて欲しい。というか効いてくれ。そうしないと皇ちゃんは犬死にだ。


「なかなかの攻撃だよね。変質させて受け止めさせたけど、それでも僕を1体は倒したんだから相当だ。神でもないもののなしたことだ。驚異的だ」

しかし仕留めたのは1体だけだ。もう一体残っている。


「畳みかけるのじゃ!」

「あぁ!!!」

それでも勢いはつく。攻撃が効くかどうかなんてやってみなきゃわからない。放つ勇気。少なくともそれは湧いたぜ!?


「悪いけどもう増殖完了だよ?」

「関係ない!!!」

デバウラーがどうかなんか気にしている余裕はそもそもないんだから気にせず攻撃するだけだ。


:再生持ちの敵とか無限ループだよな

:総力戦ね!

:どうでもいいけどここに混ざって戦ってるフランやべぇな。

:早紀さんすら手の出しようがなくなってるもんな。

:きっと軍団系スキルを維持してるはずの会長とゆめのんを早紀さんとレファとしおりんで守ってるんだ

:しかし、さっきまで全く通用しなかったのにリッチ様の攻撃や防御がデバウラーに効いてるのはなんでだ?


しーーーーーーーーーーーー





「そろそろいいでしょうか? 手を増やすべきだと思うので」

「あぁ! いっけぇええぇぇええええええぇええええええ!!!!!!」

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