第127話 再会

「ここが我らの拠点じゃ」

連れてこられたのはまるで巨大な城……。それが宇宙に浮いている場所だった。

確かに、あの日訪れた空間にあった大きな窓からはこんな感じで宇宙が見えていた気もする。


自分が死んだことに戸惑っていたり、また訪れたことに驚いていたりしたせいで、あんまりよく覚えていないけども。


「間野塔弥、ヴェルトと言ったのぅ。調べさせたところ、担当した説明神は見つかったから、案内してやろう」

「あっ、ありがとうございます」

あまりのあっさりとした展開に驚きつつ礼を言った。


あの神様とまた会えるのか。だったら聞きたいことがたくさんある。

迷宮神とは何なのか。地球が滅ぶ寸前というのはどう滅ぶ寸前なのか。なぜ俺にお守りをくれたのか。雪乃はどうなったのか。


そうそう。お守りだが、今持っている。予想通りリポップしたら持ってたんだ。

まぁここにきてしまえばお守自体への興味は後回しにせざるを得ないが。



「ここじゃのぅ」

俺は光り輝くおじさん神様に案内され、とある扉の前までやって来た。

ここにあの神様がいるのか……。


隣にも神様がいる状況では特に感じ入るようなものはないからとっとと入ろう。


そうして俺は促されるままに扉を開ける。


「ふざけないで! 私はこの仕事に戻るから、先輩は救世神をやってきてください! ほら、あの地球なんて世界はもう滅茶苦茶で、おっきな龍もいるし、なんとそこにどう見ても死霊が挑んで……もう滅茶苦茶ですから!!!」

「アホなことを言うなアホ。まだ何とかしようと現地人が頑張っているのに消し飛ばすような真似ができるわけがないし、私は転生説明神に誇りを持っている。変わることなどありえない」

神様の部屋なはずなのにどっかの職場とか高校の部室かな? と思うような呑気な声が響いて来る。

そしてその内容に聞き覚えがあるが……


「滅ぼさないで! やめてくれ!!!」

「えっ?」

「ん?」

つい叫んだら、2人……いや、神様だから2柱って呼ぶのかな?……が振り返った。

どっちも見覚えがある……。


「お前たち、なにをやっているんだ?」

「……はっ、ロデアガルド様!? 聞いてくださいよ~。私、一生懸命しゅぎょ~頑張ったから戻してほしいのに、先輩がいじわるするんですぅ」

「どうされたのですか? 確か間野塔弥くんでしたか。なぜここに?」

頭が軽そうな女神様と、真面目な神様だった。


えっと、どういうこと?

こんなに現実感ある感じなの? 転生説明神って。


「消滅させに行った世界に迷い込んでおったのじゃ。迷宮神という別の神格に飛ばされたようなのじゃが。それで話を聞いたらお前に会いたいというから連れて来た」

「そうでしたか」

「なになになになに? 君、あの子だよね!? 私がタントーして異世界に送り届けてあげた子だよね? 元気してた? 君もわかってるよね? 私ちゃんと仕事してたって! ねぇねぇねぇねぇ!」

うっ、うるさい……。なんだこいつは……。


だが、仮にも神様だ。不敬を働くわけにはいくまい。


「覚えていますとも。俺に"夜の帝王"とか、"絶倫"とかっていう戦うのにあまり関係のないスキルばっかり与えて送られたことは」

「しーーーーーーーーっ! (ダメだよ。それは内緒だよ! ちゃんと"限界突破"とか"魔導の極み"を与えたって言って! 持ってるでしょ!?)」

持ってるけどそれは異世界で俺が手に入れたもので女神様にもらったものではない……。


「なにを貰って送られたって? すまない、アホが煩くてよく聞こえなかったからもう一度教えて欲しい」

「いたいいたいいたいいたいいたいいたい、先輩いたいよ! 見てくださいロデアガルド様! これこそ横暴でパワハラなバカ先輩の姿です! くれーむです!!」

「えっと、貰ったスキルは5つで、"夜の帝王"と"絶倫"と"寝業師"と"耐性(極)"と"魅了"ですね。女神様からは転生して目の前に誰がいても支配できるからね!って言われました」

「う~ら~ぎ~り~も~の~~~」

「まったく……」

「ただ、転生先では貧乏な家に生まれたので、魅了と耐性は役に立ちました。おかげで生き残れましたし」

「でしょ~~~! もっと言ってやってよ! それに大きくなってからは絶倫と寝業師と夜の帝王でモテモテだったでしょ!? 私のおかげよね! いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい~~~~」

あえて褒め称える感じで言ったけど、1mmも褒めてないからな?

1歩間違えたらいきなり男娼まっしぐらだろうが!!!


「話が進まなそうだから、この女は我が連れて帰るぞい」

「お願いします、ロデアガルド様。この感じだと規程違反を繰り返していた可能性があるので、しっかりと罰して頂きたい」

「やめて~。そんなミス位するわよ。ねっ、ロデアガルド様。私だって頑張ってたんだから、そのミスは皆の失敗でしょ? 特に指導教官だった先輩のせいでしょ?」

「ちなみに私はそのとき別世界に落ちていたから確認すらしようがないわけだが」

「問答無用じゃな」

「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい~~~~~~~」

騒がしい女神様の頭をロックしながらおじさん神様……ロデアガルド様というらしい……は部屋を出て行った。

なんだったんだろう……。

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