第62話 発覚
「あぁ?なぜ貴様がここに……」
81層に設置してある倉庫に入ると、大量の青い宝石……エネルギー結晶が置いてあり、そしてラガリアスがいた。
「それはこっちのセリフよ!なんであなたがここにいるのよ?」
「なぜだと?モンスターの支配者である私がダンジョンのどこにいようと私の勝手だ」
いつ支配者になったんだろうか。
『迷宮神様!』とか言ってたはずじゃなかったか?
「青い宝石。すべてエネルギー結晶だな。これを使っていたのか。だからこのダンジョンだけ1層ボスを置かなかったんだな」
フランが鋭く指摘する。鑑定したんだろう。
ここでは何らかの手段でエネルギー結晶を取得することができ、それを貯めていた。
81層に倉庫があるということは、80層ボスのドロップか?
「くくく。バレてしまっては仕方がない。人間どもの事情なんてどうでもいいしな。どうせお前たちには意味のないドロップ品だ」
ラガリアスは座ったまま偉そうに喋っている。
:こいつにとっては意味がないかもしれないが、八咫烏にとってはまずいんじゃないか?
□八咫烏の赤坂事務所(白鳥姫乃)
私はお父さんと話した後、八咫烏の事務所に戻った。
全員敗走ということでその日は特に何もなく解散し、翌朝私たちは呼びつけられた。
そこではお父さんの魔法で溶かされたメンバーたちがむすっとした顔で座っていて、八咫烏のトップである四鳳院竜司が喚き散らしていた。
「あのリッチにあっさりと全滅とはどういうことだ!!?」
「残念ながら1人では無理だ。できる限り戦ったが負けた」
「使えんやつらめ!」
100層ボスを、しかもあのリッチであるお父さんを1人で倒すなんて無茶だ。
誰も答えないし、私に向かって話しかけてくるから答えたが、そんなこと、世界ランキング1位の探索者でも無理なんじゃないだろうか。
そこへ……
「たっ、大変です!赤坂ダンジョンに!」
「なんだ?」
「なにがあった?」
竜司の部下が慌てて飛び込んできたのに対し、竜司は怒鳴り、黒田は冷静に問いただす。
「はい、赤坂ダンジョンに探索者チームとリッチが入り込み……」
「なんだと!?!?」
耳を疑った。
お父さん、行動早いのね。嬉しいけど、夢乃は……。
「あのくそリッチ!モンスターのくせに自分のダンジョンから出て他のダンジョンを攻略するとはどういうことだ!!?」
竜司は座っていたソファーに拳を叩きつけて破壊する。
見た目は肉塊でも元世界ランカーの探索者だ。
割と高そうなソファーだったのに。
「今どこにいる?あまり進ませるとまずい」
「はっ、はい。それが……すでに81層に」
「「はぁっ???受付や警備員はなにをやってる!!!?」」
お父さん、早すぎるよ。
竜司も黒田も顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。
「現場からの連絡はありません。私は配信を確認していて……」
「配信だと?まさか、あそこを配信してるのか!?」
「どけ!?」
竜司は口から泡を吹いて倒れそうだ。
黒田は配信を確認するようだ。
『くくく。バレてしまっては仕方がない。人間どもの事情なんてどうでもいいしな。どうせお前たちには意味のないドロップ品だ』
画面の中ではラガリアスというモンスターが座ったままお父さんたちに向かって偉そうに喋っている。
:こいつにとっては意味がないかもしれないが、八咫烏にとってはまずいんじゃないか?
:どう考えてもこの倉庫を作ったのは八咫烏だろ。
:そもそも80層までとか偽って登録してる時点でアウトだろ。
:もし登録した後で発見されたんだとしても報告義務があるだろ?国に対して。
皇ちゃん:証拠はすでにダンジョン管理局に送ったぞ
:さすが会長!
:会長乙
:会長流石!仕事が早い!
「ふっ、ふざけるな!ダンジョン協会がモンスターを使って他の組織が管理しているダンジョンを調査するとはなにごとだ!?」
竜司が放心してしまったからか、この場で怒り狂っているのは黒田だけになった。
塔ちゃん:えらい勢いでエネルギー結晶が減ってるけどいいのか?各地でアンノウンが倒されてるからだろうけど。
:ほんとだ。映ってるやつが消えて行ってるな。
『なに?うーむ、アンノウンが倒されているなら仕方がないが……』
ラガリアスはその様子を確認すると、スマホを取り出してどこかに電話する。
プルルルルルルルル
鳴ったのは黒田のスマホだ。
『おい。もっとエネルギー結晶を持ってこい。足りなくなったぞ?』
「さすがにそれは。30年近くかけて1,000個ものエネルギー結晶を貯めていたのです。こんな短期間で補充できません」
:誰に電話してんだ?
:そりゃあ八咫烏の誰かだろ。完全なモンスターとの内通だな。
:アウト―!
塔ちゃん:いや、モンスターと話しただけでアウトだとすると、俺と話してるやつもまずいが……
:あっ。それもそうだった。
:リッチ様は英雄よ!?問題ないわ♡
:リッチこそこの世界の害悪……
:久しぶりに見たなアンチ
:アンチ乙
『ふざけるな。お前らはエネルギー結晶を提供するというから優遇してやったのだ。できないならこの話はなしだ』
:八咫烏がエネルギー結晶をラガリアスに提供して日本中の探索者に嫌がらせしてたってことなのか?
:それがリッチ様によって称号獲得の道具にされてしまった悲劇wwwwwww
***
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